『さくらの谷』の詳細情報

さくらの谷
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タイトル さくらの谷
サブタイトル
著者 [著者区分]■富安陽子 [著・文・その他]
■松成真理子 [イラスト]
出版社 偕成社 レーベル
本体価格
(予定)
1300円 シリーズ
ページ数 32p Cコード 8793
発売予定日 2020-02-07 ジャンル 児童/絵本/日本文学、小説・物語
ISBN 9784033330006 判型 A4変形
内容紹介
かつて、わたしが一度だけ行ったことのあるふしぎな谷のお話です。
まだ山が枯れ木におおわれる春の手前、林の中の尾根道を歩いていたわたしは、のぞきこんだ谷を見ておどろきました。そこだけが満開の桜にうめつくされていたのです。
聞こえてくる歌声にさそわれてくだっていくと、谷底で花見をしていたのは、色とりどりの鬼たちでした。鬼なのに、ちっともおそろしいという気がしません。まねかれるまま、わたしは花見にくわわります。目の前のごちそうは、子どもだったころ、運動会の日のお重箱に母がつめてくれたのとそっくりです。
「かくれんぼするもの、このツノとまれ」
ふいに、一ぴきの鬼がとなえると、鬼たちはたがいのツノにつかまって長い行列になりました。列の最後の鬼のツノにつかまったわたしは、かくれんぼの鬼をすることになります。わたしは、林の中をかけまわってさがすのですが、なかなか鬼たちをみつけることができません。
そのうちに、だんだんふしぎな気持ちになってきました。わたしがおいかけているのは、ほんとうに鬼なのでしょうか。だって、いま、あの木のうしろにかくれたのは、わたしのおばあちゃんのようでした。こっちの木のかげには、おかあさんが。そこの木のうらには、おとうさんがかくれました。それは、みんな、みんな、もうこの世をさってしまった人たちなのでした。
でも、そうか。みんな、ここにいたのか。桜の谷であそんでいたのか──。
そうわたしが思ったとき、風がふきわたり、谷じゅうの桜がいっせいに花びらをちらします。
気がつくと、わたしはひとりぽつんと雑木林の中に立っていました。満開の桜はきえていましたが、ヤマザクラの枝さきに、大きくふくらんだ花のつぼみが見えました。どこかで、あの鬼たちの歌声が聞こえるようでした。
目次
著者略歴(富安陽子)
富安陽子 1959年、東京都生まれ。『クヌギ林のザワザワ荘』により日本児童文学者協会新人賞と小学館文学賞、「小さなスズナ姫」シリーズにより新美南吉児童文学賞、『空へつづく神話』により産経児童出版文化賞、『盆まねき』により野間児童文芸賞と産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。絵本に『まゆとおに』『オニのサラリーマン』等の作品がある。
著者略歴(松成真理子)
松成真理子 1959年、大分県生まれ。『まいごのどんぐり』により児童文芸新人賞を受賞。自作の絵本に『じいじのさくら山』『せいちゃん』『ころんちゃん』『たなばたまつり』『きんぎょすくいめいじん』、絵を担当した作品に『雨ニモマケズ』『蛙のゴム靴』『手ぶくろを買いに』『ひまわりのおか』『ヒョウのハチ』等がある。
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