「進化のすべて」をめざした日本進化学の金字塔! 生命が誕生してから40億年という膨大な時のながれの中で,多種多様な生物が出現しました。このすべてが進化であり,生命を知るには進化の理解が必須なのです。日本における進化の研究は,明治時代以来の長い伝統があります。20世紀後半には現代進化学の根幹である中立進化論の確立に,木村資生をはじめとする多くの日本人研究者が貢献しました。1999年に日本進化学会が設立されました。
本書は,学会の創立10周年記念事業の一環です。『進化学事典』には,進化学の多様な成果を盛り込み, 301項目を170名の著者が執筆しました。 第一部「進化史」,第二部「進化のしくみ」,第三部「進化学とそのひろがり」という三部構成です。 第一部は生命の起源から始まり日本列島の生物まで,生物進化によってもたらされた生命の多様性を示しました。第二部は,遺伝子,タンパク質,ゲノムからはじまり,動物の行動,形態と発生,種,環境との相互作用まで,進化のしくみを広範なレベルで紹介しました。第三部は,古生物学をはじめとする進化学と他分野との関係や進化解析の技法,進化学の歴史を取り扱っています。
これまでに日本では事典が多数出版されていますが,進化学に関しては,本事典がはじめてです。この進化学事典が,21世紀を担う若い人々にとって進化学を学ぶよい機会となれば幸いです。
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