『双極性障害の診断・治療と気分安定薬の作用機序』の詳細情報

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タイトル 双極性障害の診断・治療と気分安定薬の作用機序
サブタイトル
著者 [著者区分]■和田 明彦 [著・文・その他]
■寺尾 岳 [著・文・その他]
出版社 新興医学出版社 レーベル
本体価格
(予定)
2800円 シリーズ
ページ数 148p Cコード 3047
発売予定日 2010-05-25 ジャンル 専門/単行本/医学・歯学・薬学
ISBN 9784880028118 判型 A5
内容紹介
(序文より抜粋)
 周知のごとく、本邦においては1998年から自殺者数が3万人を突破し、2009年も依然として高い自殺率を記録しています。先進国首脳会議(G7)の時代には第1位、最近では主要8ヵ国首脳会議(G8)の中ではロシアに次いで第2位と不名誉な自殺頻発国に位置づけされています。その背景には、経済的な問題もさることながら、自殺に結びつく危険性のあるうつ病がきちんと診断・治療されていないことが指摘されています。そうは言っても以前と比較すると、新聞やテレビなどでうつ病を取り上げる機会も増え、うつ病に関する講演会も各地で開催され、書店はうつ病の啓蒙書であふれています。しかしながら、その一方で抗うつ薬による治療で良くならずむしろ悪化したなどの批判も増え、さらには精神医学や精神医療全体を批判する動きも出てきています。
 このような混沌とした状況の中で、私たちはうつ病と同じ「気分障害」というカテゴリーに属し、うつ病との鑑別がしばしば問題となる躁うつ病について焦点をあててまとめてみようと考えました。(中略)双極性障害自体はうつ病と比べるとはるかに少ないと言われてきたために、今まで精神科専門医以外が関心をもつことは少なかったように思います。ところが最近、意外に多いことが推測されています。その理由として、少しぐらい元気がよいほうが調子良いと感じる方が多いので、軽い躁状態が本人には病気として認識されにくいということも影響しているかもしれません。
 以上の状況を踏まえて、本稿においては双極性障害に関して最新の知識を提供することを目的にしています。まったくの憶測を取り上げることはなく、基本的には科学的根拠(エビデンス)重視の立場をとりますが、場合によっては広く認められていない概念や所見も掲載して、医学の進歩における新しい方向性を示すことに努めました。(後略)
目次
第Ⅰ部 双極性障害の診断・治療
A 双極性障害の歴史
B 双極性障害の診断と分類
1)躁病エピソード
2)混合エピソード
3)軽躁病エピソード
4)大うつ病エピソード
5)双極Ⅰ型障害
6)双極Ⅱ型障害
7)気分循環性障害
8)特定不能の双極性障害
9)気分変調性障害
10)大うつ病性障害
11)双極スペクトラム
12)双極性うつ病の見つけ方
C 双極性障害の病態生理
1)背外側前頭前野(Dorsolateral Prefrontal Cortex : DLPFC)
2)眼窩前頭皮質(Orbital Frontal Cortex : OFC)
3)前部帯状皮質(Anterior Cingulate Cortex : ACC)
4)海馬(Hippocampus)
5)扁桃体(Amygdala)
6)基底核(Basal Ganglia)
7)白質(White Matter)
1. 神経伝達物質や細胞内情報伝達機構、神経栄養因子など
D 双極性障害の遺伝
E 双極性障害の疫学
F 双極性障害の経過
1. 米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health : NIMH)の長期追跡研究
1)双極Ⅰ型障害の長期予後
2)双極Ⅱ型障害の長期予後
2. 双極性障害から認知症への移行
3. 自殺
G 双極性障害の入院
1)患者側要因
2)家族側要因
H 双極性障害の薬物療法
1. 気分安定薬
2. リチウムの投与
3. バルプロ酸やカルバマゼピンの投与
4. 気分安定薬の副作用
Ⅰ 気分エピソードの種類に応じた薬物の使い方
1. 躁病エピソード
1)気分安定薬を用いる場合の留意点
2)気分安定薬と第二世代抗精神病薬の併用療法
3)さらなる治療
2. うつ病エピソード
1)双極性うつ病の新しい治療薬
3. 再発予防
1)気分安定薬を用いる治療の留意点
2)気分安定薬と第二世代抗精神病薬
3)ラピッドサイクラーの治療
J 双極性障害の治療アルゴリズム
K 双極スペクトラムの治療
L 認知症や自殺に対するリチウムの予防効果
M 双極性障害の非薬物療法(対人関係・社会リズム療法)と生活指導

第Ⅱ部 気分安定薬の作用機序
N 治療薬の歴史は、「セレンディピティ」の連続です
1. インド蛇木レセルピンと三環系抗うつ薬イミプラミン
2. 統合失調症治療薬クロールプロマジンとイミプラミン
3. パーキンソン病治療薬 L-ドーパ
O 薬は特定の部位に作用する
1. Claud Bernardの歴史的実証(1856年)
2. 医聖ヒポクラテスも用いた「ヤナギの樹皮」-その薬物成分の同定、作用点・作用機序は、19世紀以降、初めて解明され始めた
3. 薬物作用の特異性-治療薬は特定の部位にのみ作用する
4. 細胞間情報伝達物質の受容体-治療薬が作用する標的分子
5. 生理活性物質による細胞機能の調節-細胞間情報伝達機構と細胞内情報伝達機構のダイナミックな制御
P リチウムの作用点・作用機序
1. リチウム治療の幕開け-試行錯誤
2. リチウムの作用点・作用機序の模索-生体情報伝達機構研究の「夜明け前」
3. リチウムの神経細胞保護作用
Q リチウムの標的分子:glycogen synthase kinase-3β(GSK-3β)とβ-catenin経路
1. GSK-3βは、多くの疾患治療薬の標的分子である
2. リチウムによるGSK-3α/3β抑制機序-直接的抑制と間接的抑制
1)直接的抑制機序
2)間接的阻害機序
3. 治療的投与によるリチウムの血中濃度-GSK-3α/3β抑制
4. リチウムによるGSK-3β抑制-気分安定化に関与
5. 驚くべきブレイクスルー-成人ヒト脳・海馬で、新たに神経細胞が誕生している
6. 気分障害は、単なる神経伝達の機能異常ではない-神経細胞可塑性の構造的異常を伴う
7. GSK-3β抑制・β-catenin活性化-神経精神病治療の共通の標的
8. β-cateninの下流に位置する神経栄養因子
R 遺伝子転写のエピジェネティク(epigenetic)調節
1. エピジェネティク調節と神経精神疾患
2. 気分障害の発症・維持・治療:エピジェネティク調節とその可逆性
3. エピジェネティク調節の可逆性:神経精神薬、電気けいれんによる修飾
S 気分安定化抗けいれん薬
1. 抗けいれん薬-多彩な疾患治療への応用
2. 第二世代気分安定化抗けいれん薬
1)バルプロ酸
2)カルバマゼピン
3. 第三世代気分安定化抗けいれん薬
1)ラモトリギン
2)トピラマート
3)ガバペンチン

おわりに
第II部 気分安定薬の作用機序:用語省略形
文献
第Ⅰ部文献
第Ⅱ部文献
索引
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