『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』の詳細情報

古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。
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タイトル 古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。
サブタイトル
著者 [著者区分]■前田 賢一 [著・文・その他]
■勝又 基 [著・文・その他]
■渡部 泰明 [著・文・その他]
■猿倉 信彦 [著・文・その他]
■福田 安典 [著・文・その他]
■飯倉 洋一 [著・文・その他]
出版社 文学通信 レーベル
本体価格
(予定)
1800円 シリーズ
ページ数 220p Cコード 0095
発売予定日 2019-09-13 ジャンル 一般/単行本/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN 9784909658166 判型 A5
内容紹介
古典否定派・肯定派の本物の研究者があつまって論戦に挑んだ、2019年1月の伝説のシンポジウム「古典は本当に必要なのか」の完全再現+仕掛け人による総括。古典不要論を考える際の基本図書となった本書を、これから各所で真剣な議論が一つでも多くされていくことを祈りながら刊行します。

2015年のいわゆる文系学部廃止報道以来、人文学や文学、古典の危機について論じる会合は少なからず開催されて来たましたが、編者は疑問を持っていました。それらはすべて身内の怪気炎にすぎなかったのではないか。本当にインパクトのある議論をするためには、反対派と対峙しないまま、必要論だけを語っていてはダメだ…本物の反対派を招聘し開催せねば。そこで開催されたのが、2019年1月のシンポジウム「古典は本当に必要なのか」です。登壇者は、【否定派】猿倉信彦・前田賢一【肯定派】渡部泰明・福田安典【司会】飯倉洋一の各氏です。
このシンポジウムは、インターネットでも中継され、使われたハッシュタグ「#古典は本当に必要なのか」は、センセーショナルでもあったため、シンポを離れトレンド入りし、多くの人がこのタグで、自らの古典観を語ることとなりました。

このシンポジウムで否定派が張った論陣はどのようなものだったのか。これに対して古典の研究者や中高の国語教員はどう反論したのか。その議論から浮かび上がった問題は何だったのか。本書はその様子を再現したうえで、当日のアンケート、インターネットによるコメント投稿を収録し、登壇者のあとがきを加え、最後に編者自身の総括「古典に何が突きつけられたのか」(3万2千字)を収録します。本書全体で、より深い議論への橋渡しにしようとするものです。人文学や文学、古典の危機について考えていく際の必読書にはからずもなっています。

【このシンポジウムを一書にまとめたいま、筆者が望むことは二つある。
 第1に、「古典は本当に必要なのか」という問いに対して、それぞれが独自の回答を考えていただきたい、ということだ。筆者が提示したのは、一つの案でしかない。できれば登壇者のようなキャリア半ばをすぎた人々ではなく、20〜30代のこれからを担う世代にこそ、真剣に考えてほしい。この世代は、「世も末だな」と嘆くだけで済まない。放っておけば先細りが確実な古典の担い手として、実際に世の中を動かさなければならないのだから。
 第2に、古典不要派、文学不要派と対峙する試みが、このあとも別の場所で開催されてほしい、ということだ。今回登壇いただいた否定派の方々は、決して特異な少数派ではない。サイレントマジョリティは、われわれが考えるよりはるかに多いのである。もちろん、登壇し、名前と顔とをさらして堂々と意見を述べてくださる否定派を探すことは、大変難しいだろう。しかし、それがもう一度叶えば、議論はまた別の深まりを見せるにちがいない。】…あとがきより
目次
はじめに

Part.1
シンポジウム「古典は本当に必要なのか」全記録

・前口上
・パネリスト・司会者・オーガナイザー紹介

■第一部 パネリスト発表

高校生に古典教育は必要か?(不要 選択科目にすべき)
猿倉信彦[否定派]
古典はなぜいらないか─結論から/この議論にのったモチベーション/私の履歴書/教育とは高校大学においてどうあるべきか?(議論の前提1)/現状の変化─自分が高校生のころとの変化(議論の前提2)/古典はなぜいらないか─ほかの科目に時間を譲るべきか/どうすればいいと思っているのか(哲学は現代文、情緒的古典は芸術科目選択に)/問題点(縦割り、前例主義、既得権益)/これから(確認作業、意見交換、教育政策への反映)/最後に

古文・漢文より国語リテラシー
前田賢一[否定派]
定義─古典と古文とは違う/古文なしで文化を理解できない?/源氏物語(桐壺)冒頭/ニュートン『プリンキピア』/古文でないと伝わらないというものがある─古文を勉強したら伝わるか?/バカとアホは同じか?/「ハム」という言葉を聞いて何を思い出すか/古文を知らないと一流ではない?/古文は教養である?/国語にはリテラシーと芸術がある/芸術としての文学/リテラシー─これを教えてほしい/リテラシー─日本語と論理/まとめ

古典に、参加せよ
渡部泰明[肯定派]
和歌は日本文化の歴史を貫くほど続いた/古典は主体的に幸せに生きるための智恵を授ける/主体的な幸福─良い仕事を責任ある立場で成す/では何を学ぶのか─『徒然草』137段を例に/冒頭の部分から/兼好はこの発想をどこから得たのか/失敗は成功のもと─『徒然草』の思想を生み出す原動力としての和歌/固定観念を否定する、『徒然草』137段/『徒然草』137段のラスト─逆転の論理ととらわれない発想/授業活動例─古典に参加させよ!

BUNGAKU教育を否定できるならやってみせてよ
福田安典[肯定派]
私の立ち位置 その1/私の立ち位置 その2/理系/文系の区別は誰のため、何のため?/どちらが医学書でどちらが文学書?─知られていなかった日本の古典を発掘して発信する/医学書と文学書の両方を知っていることが必要だった時代─近代以前の日本/江戸時代の時代背景─実学や教育/再び理系と文系を考える/国際関係をつなぐ日本の古典芸能─フィリピン大学との学術交流から/最後に

■第二部 ディスカッション

はじめに
1.パネリスト同士のディスカッション
コンテンツビジネス/納税者は別に古典を読みたいと望んでいない/漢文の医学書を読まなくてはならない現代の医師はいない/医者の心得は愁訴に応えること──すべての学問は人間を相手にしている/目指すべきことは何か。抜本的に日本の古典教育は変えていくべきか
2.フロアの否定派1人目
議論やプレゼンよりも古典とか古文とかがなぜ必要なのか/古典には「心を預ける」という作業が入る/実用的なものは古びるのが早い/「だから古典は必要である」に至る論理にあるギャップ/議論のためのユニバーサルスキルは古くならない
3.フロアの否定派2人目
古典の優先度を可視化できるものはあるか─「幸福」というキーワード
4.フロアの否定派3人目
現代語訳で古典を解釈して教えることは不可能なのか
5.ポリティカル・コレクトネス(political correctness)の問題
6.多文化化していく社会で、教育の対象は誰か
7.古典に触れる機会を残しておきたい
8.古文・古典の意義とメリット
9.リベラル・アーツとしての古典を起点に、ユーザー目線の制度設計を考える
10.その他のフロアの意見
11.まとめ

■第三部 アンケート集計─全体の議論を聞いて、最終的にどうお考えになりましたか

■登壇者・司会者あとがき
・「古典は本当に必要だ」と言えるために/飯倉洋一
・否定派は肯定派に圧勝した/猿倉信彦
・まだ明確な回答を得ていない/前田賢一
・シンポジウムの、その後/福田安典
・個体発生は系統発生を繰り返す/渡部泰明

Part.2 
古典に何が突きつけられたのか
勝又 基

1.開催まで─身内の怪気炎にすぎないシンポを越えるために
1.否定派と対峙するために/2.さまざまな反響/3.「古典はこんなに面白い」は通じない
2.パネリスト発表を振り返る
1.否定派 猿倉信彦氏/2.否定派 前田賢一氏/3.肯定派 渡部泰明氏/4.肯定派 福田安典氏
3.古典の優先度はどの位置がふさわしいか
1.必修古典の縮小はすでに決まっている/2.人文学軽視の背景/A.Society 5.0/B.人文学の業績は計測できるのか/C.数学における行列の廃止
4.古文を学んでも幸せになれないのか
1.教育が与えられる「幸せ」は何か/2.日本を経済奴隷の工場にしたいのか/3.「役立つから必要」なのか、「役立たないけれど必要」なのか/4.高校教育は何を目指しているのか/5.高等学校の学びを低く見積もりすぎなのでは?/6.古典は「我が国の一員としての責任と自覚を深める」?
5.古文は日本語力向上に役立たないのか
1.プレゼンに役立たない古文・漢文/2.豊かな語彙は必要ないのか/3.古い言葉は現代語の豊かさを育むのか/4.韓国人はかわいそう?/5.今こそ現代語訳だけでは不十分/6.古文は現代文化の発展にも役立つ
6.古典文学は倫理的に問題があるのか
1.ポリティカル・コレクトネスと古典/2.古典を重んじる中国
7.限られた古文の時間をどう生かすべきか
1.このまま、というわけにはいかない/2.助動詞活用表をテストに貼り付けてはどうか/3.何度も習う同じ古典作品/4.平安文学と説話文学への異常な偏り/5.古文文法と文学史に完全を求めない/6.大学入試共通テストに『源氏物語』はやめてほしい

おわりに
著者略歴(前田 賢一)
・高校3年生でパターン認識の道を志す。
・東京工業大学大学院修了後、東芝に入社。パターン認識、人工知能、計算機の研究に従事。研究開発センター技監、関西研究センター長など。
・前回の人工知能ブームの時、エジンバラ大学AI応用研究所に駐在。
・学会では、電子情報通信学会 和文D論文編集委員長、技術担当副会長を担当。
・定年後は、フリーのコンサルタント、中央大学客員研究員、次世代センサ協議会技術委員。
著者略歴(勝又 基)
九州大学大学院博士後期課程修了。ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員等を経て、現在、明星大学教授。著書に『落語・講談に見る「親孝行」』(NHK出版)、『親孝行の江戸文化』(笠間書院)、共編著に『怪異を読む・書く』(国書刊行会)など。孝子伝、落語・講談、写本文化、昔話絵本などを専門とする。また早くから国際的な研究交流の重要性に注目し、海外での学会発表、資料調査、英語での論文執筆を積極的に行う。
著者略歴(渡部 泰明)
・東京大学大学院博士課程中退、現在東京大学大学院人文社会系研究科教授。
・専攻は、和歌史・中世文学。著書に『和歌とは何か』(岩波新書)、『中世和歌史論 様式と方法』(岩波書店)ほか。1999年より明治書院の高等学校国語科教科書の編集委員。
・非常勤先で演劇の授業を10年担当し、それをふまえて本務校で「古典教育の試み」と題する、参加型の模擬授業を行う授業を開設。
著者略歴(猿倉 信彦)
・某指定国立大学 理工系研究所教授(個人としての意見であること の明確化のため大学明記せず)。
・1963年富山県生れ。アポロ計画で科学技術に感動。
・国立附属高校で3年間、古典教諭のクラス。
・東大理一、物理工学科。修士で黄金期のNTT基礎研究所就職。
・東大M時代とNTTの研究のヒットで国立研究所の助教授に32歳で就任。
・42歳でいまの大学の研究所の教授にリクルートされる。
著者略歴(福田 安典)
・大阪大学文学部、同大学院を修了後、愛媛大学教育学部などを経て現在は日本女子大学「文学部」。
・三省堂『明解国語総合改訂版』という教科書作成に関わり国語科教育についての論文もある。
・専門は平賀源内を中心とする近世文学で、源内のように多方面に手を出している。その一つが医学書で、「医史学に貢献した」とのことで「醫譚賞」を受賞、その方面での発言の機会が増えている。
・主著『平賀源内の研究』(ぺりかん社)、『医学書のなかの「文学」』(笠間書院)など。
著者略歴(飯倉 洋一)
・九州大学大学院博士後期課程中退。山口大学を経て、現在大阪大学大学院文学研究科教授。
・専攻は日本近世文学。主要著書に『秋成考』(翰林書房)、『上田秋成 絆としての文芸』(大阪大学出版会)など。
・2016年、科研チームで、くずし字学習支援アプリ KuLA を開発、10万回以上のダウンロード数を記録し、各種メディアでも話題となった。現在、ハイデルベルク大学・国文研とともにデジタル文学地図プロジェクトを進めている。
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