『人種の母胎 ~性と植民地問題からみるフランスにおけるナシオンの系譜 ~ 』の詳細情報

人種の母胎
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タイトル 人種の母胎
サブタイトル 性と植民地問題からみるフランスにおけるナシオンの系譜
著者 [著者区分]■エルザ・ドルラン [著・文・その他]
■ファヨル入江 容子 [翻訳]
出版社 人文書院 レーベル
本体価格
(予定)
5000円 シリーズ
ページ数 416p Cコード 3010
発売予定日 2024-06-05 ジャンル 専門/単行本/哲学
ISBN 9784409041277 判型 46
内容紹介
解きがたく結びついた性と人種

17・18世紀のフランスでは、女性はか弱く虚弱な身体を持つゆえに劣っているとされ、その不健康さは男女の不平等を正当化するものであった。この性的差異の概念化が、いかにして植民地における人種化の理論的な鋳型となり、支配を継続させる根本原理へと変貌をしたのか、その歴史を鋭く抉り出す。

「女性医療なくして人間〔=男性〕科学はない」というのが、私の仮説の一つとなる。言い換えれば、《人間〔Homme:男性〕》は、みずからを自分自身の知の対象とすべく、主に自らを脱中心化するという間接的な手段で、徐々に構築されていった。つまり、人間〔=男性〕が最初に対象にしたのは自分自身ではなく、まさに伝統的にサバルタン〔従属的地位にあるもの〕として見なされていた身体――女性の身体――を対象としたのである。
(「プロローグ」より)

原書:Elsa Dorlin, La Matrice de la race. Généalogie sexuelle et coloniale de la Nation française,
Édition la découverte, 2009.

◎目次
Ⅰ 女性たちの病気
 第1章 気質
  性(セックス)の発明/性(セックス)平等の哲学

 第2章 病気に性別はあるのか
  鬱(うっ)血した者、窒息した者、取り憑かれた者
  ヒステリー――プロテウスか、あるいはキメラか

 第3章 突然変異の身体――娼婦、アフリカ人女性、女性同性愛者
  先例――《悪魔の雌ラバ》/異常興奮者と女性同性愛者

 第4章 異常興奮と罰
  異常興奮からニンフォマニアへ/ヨーロッパ人女性を再女性化する

Ⅱ 国民(ナシオン)の生成
 第5章 階級闘争という悪気
  たくましい農村女性――過渡期の健康モデル
  ニンフォマニアのメイドとヒステリーのブルジョワ女性

 第6章 《母》の誕生
  女性の健康概念の創出/出生主義派医師たちによるフェミニスト・レトリック

 第7章 産科学知の歴史的認識論(エピステモロジー)
  産婆(マトロヌ)と助産婦/女性の秘密vs産科学知

 第8章 母乳、血、大地
  怪物的造物主(デミウルゴス)――乳母たち/人口減少から退化 
  諸民族の交雑性と奴隷市場

Ⅲ 人種の発明
 第9章 植民地に試される《国民(ナシオン)》
  土着性の問題/植民地の身体から国家の身体へ

 第10章 …
目次
プロローグ

Ⅰ 女性たちの病気
 第1章 気質
  性(セックス)の発明/性(セックス)平等の哲学

 第2章 病気に性別はあるのか
  鬱(うっ)血した者、窒息した者、取り憑かれた者
  ヒステリー――プロテウスか、あるいはキメラか

 第3章 突然変異の身体――娼婦、アフリカ人女性、女性同性愛者
  先例――《悪魔の雌ラバ》/異常興奮者と女性同性愛者

 第4章 異常興奮と罰
  異常興奮からニンフォマニアへ/ヨーロッパ人女性を再女性化する

Ⅱ 国民(ナシオン)の生成
 第5章 階級闘争という悪気
  たくましい農村女性――過渡期の健康モデル
  ニンフォマニアのメイドとヒステリーのブルジョワ女性

 第6章 《母》の誕生
  女性の健康概念の創出/出生主義派医師たちによるフェミニスト・レトリック

 第7章 産科学知の歴史的認識論(エピステモロジー)
  産婆(マトロヌ)と助産婦/女性の秘密vs産科学知

 第8章 母乳、血、大地
  怪物的造物主(デミウルゴス)――乳母たち/人口減少から退化 
  諸民族の交雑性と奴隷市場

Ⅲ 人種の発明
 第9章 植民地に試される《国民(ナシオン)》
  土着性の問題/植民地の身体から国家の身体へ

 第10章 人種主義(レイシズム)の系譜学
  近代概念としての「人種」の誕生/性的気質から人種的気質へ

 第11章 「ニグロの病気」
  植民地医学と奴隷制医学/奴隷制、保健体制/病理化から人種化へ

エピローグ――人種を解体する

訳者あとがき
文献一覧
索 引
著者略歴(エルザ・ドルラン)
【著者】エルザ・ドルラン
Elsa Dorlin/1974 年生。哲学者。2004 年ソルボンヌ大学(旧・パリ第四大学)で博士号を取得後、パンテオン・ソルボンヌ大学哲学科で准教授として哲学史および科学史を講じたのち、パリ第八大学政治学科教授を経て、2021年からトゥールーズ・ジャン・ジョレス大学哲学科教授。フランスへのブラック・フェミニズムの紹介者としても知られ、2000年中葉以降のフランスにおける新たなフェミニズムの潮流をフランス科学認識論(エピステモロジー)の立場から思想的に支える最も重要な哲学者のひとりである。本書の他、現在のところ未邦訳であるが『性・ジェンダー・セクシュアリティ〔Sexe, genre et sexualités〕』(2008年/第2版2021年)、フランツ・ファノン賞受賞の『自己防衛――暴力の哲学〔Sedéfendre. Une philosophie de la violence〕』(2017年)等がある。
著者略歴(ファヨル入江 容子)
【訳者】ファヨル入江 容子
1978 年生。甲南大学文学部人間科学科専任講師。専門は、現代フランス哲学、フェミニズム・ジェンダー思想史。2010 年フランス国立レンヌ第一大学哲学科Master2 課程修了(Master2・哲学)。2018年一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了(博士・学術)。主な論文に« A Reading of the Atomic Bombing of Nagasaki-Urakami with Nagai and Girard » ( in Apocalypse Deferred: Girard and Japan, Jeremiah L. Alberg (éd.), Indiana: University of Notre Dame Press, 2017) 、« “Janus double face” de Kofman et sa judéité intime : une étude des manuscrits de Rue Ordener, rue Labat » (in Sarah Kofman : philosopher aut…
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