『ヤンバルの深き森と海より《増補新版》』の詳細情報

ヤンバルの深き森と海より《増補新版》
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タイトル ヤンバルの深き森と海より《増補新版》
サブタイトル
著者 [著者区分]目取真 俊 [著・文・その他]
出版社 影書房 レーベル
本体価格
(予定)
3000円 シリーズ
ページ数 518p Cコード 0036
発売予定日 2024-04-30 ジャンル 一般/単行本/社会
ISBN 9784877145002 判型 46
内容紹介
〈大国の武の論理に飲み込まれるとき、沖縄はいいように利用され、犠牲を強いられる。先島への自衛隊配備にしても、そこに見られるのは日本=ヤマトゥを守るために沖縄を利用する現代版「捨て石」の論理である。軍隊が守るのは領土ではあっても住民ではない。沖縄戦の教訓を思い出したい。〉(本文より)

歴史修正や沖縄ヘイトで世論を煽りつつ、貴重な自然を平然と破壊、民意無視の有無を言わせぬ圧力で辺野古新基地建設や自衛隊配備を強行し、琉球列島の軍事要塞化を推し進める日本政府。これに対峙し、再び本土の〈捨て石〉にはされまいと抵抗する沖縄の名も無き人びとの姿を、森に分け入り海でカヌーを漕ぎ最前線で共に闘いながら著者は記録する。
2006年から2019年までの14年におよぶ論考を厳選した初版本(2020年刊)に、ヘリパッドや新基地建設阻止闘争の現場の詳細などを語ったインタビュー6篇と仲里効氏との対談を増補した新版。
沖縄への差別と無関心を続ける「本土」の日本人=ヤマトゥンチューに送る、強靭な批評精神に貫かれた評論集。
目次
2006年

沖縄戦の記憶
「癒しの島」の軍事強化
過去の反省のない教基法「改正」
基地問題と知事選

2007年

防衛相昇格 心すべきは……
イラク戦 私たちも当事者
内側の「病」(上)――遠のく自立 深部で退廃
内側の「病」(下)――政府依存思考から脱却を
地を這う声とナショナリズム
ヤマトゥへの警戒心
「復帰」35年目の現実――無視される「構造的矛盾」
久間防衛相辞任――戦争犠牲者めぐり二極化
〝琉球の自治〟とは何か
「集団自決」(強制集団死)訴訟――貫かれる危険な狙い
教科書検定問題――日本軍強制の明記を
9・29県民大会――くり返されない仕組みを
事実ねじ曲げる小林氏――「軍命」否定に家族愛利用
伝えられる言葉
小林よしのり氏の反論に答える――軍命令・強制 曖昧に/住民に責任転嫁する手法

2008年

新春カメ・ルー時事漫談――気張らんねーならんどー
「関与」という表現の危険性――事実をひっくり返す詐術
教科書検定問題を読み解く――大江・岩波裁判から見えてくるもの
基地集中 際立つ異常さ
「疑惑」――曖昧なままでは許されず
大江・岩波裁判を傍聴して――いまも生きる皇軍の論理
疎外される北部――差別の歴史は克服されたか
加害と被害――問い、問われる二重性
3月25日の出来事――記憶の曖昧さ浮き彫り
梅澤氏の発言――大きな矛盾はらむ主張
宮平証言の宣伝――「藤岡意見書」の問題
独立や、すーしがましんでぃ思いしが――アジア情勢にちゃーし対応すーがんでぃる問題やんばーてー
謝花昇没後100年――理論追求し政治を実践
自決問題・藤岡氏反論をただす――本部壕歩哨の有無は
大江・岩波裁判控訴審判決――控訴人側の主張 完全に破綻
横たわる溝

2009年

知事訪米――自立のシナリオ描く時
上意下達の縦の構造――〈玉砕方針〉の強制力
辺野古環境アセス――台風時の調査欠落
ゴーマニストに告ぐ――まやかしだらけの右翼扇動家
有事=戦争体制づくり――実態と懸け離れた報道
天皇コラージュ作品排除――危険な「事なかれ主義」
サトウキビ畑から
問われる政治家の責任――発言力の低下進む
平和なき島で続く5・15平和行進

2010年

名護市長選の結果を受けて――傲慢な政府の沖縄政策
沖縄民衆の声にヤマトゥはどう応えるのか
沖縄から見た密約――核再持ち込みと土地の原状回復費
安保体制に組み込まれた沖縄差別――普天間基地移設問題の本質を衝く
たたかいの落差について

2011年

沖縄と中国 重い歴史――対立から友好の年に
アメで歪んだ認識――即座の抗議 大きな意義
非現実的な基地「移設」 安波区案の狙いは
高江の森にて
彼に与えられた任務――高江―先島の基地強化

2012年

オスプレイ配備とは何か――危険認識故の隠蔽
削除と隠蔽――第32軍指令部壕説明板問題について
「復帰」40年の現在
沖縄と朝鮮 かの地で感じた五重の脅威――被害者にも、加害者にもなってはならない
尖閣諸島問題とオスプレイ
普天間基地は撤去できる
基地機能マヒしかない――犠牲封じ込める深い断絶
高江のオスプレイパッド建設を許してはならない
ヤマトゥ防衛の〝捨て石〟として沖縄を利用させてはならない

2013年

護憲運動は反安保の声を大きく
高江のオスプレイパッド建設反対に連帯行動を!
高江のオスプレイパッド建設現場から
ヤンバルの自然を破壊する米軍基地
沖縄の「戦後史」と沖縄の主権回復
沖縄県民を冒涜する橋下徹大阪市長
「玉砕の島」に建つ沖縄の塔
踏みにじられる〝平和〟――再び惨禍に巻き込まれる前に
「オール沖縄」の強調の裏で進んでいること
容認は基地集中を肯定――知事は埋め立て拒否を

2014年

名護市長選に勝利して思うこと――この選挙から何を学ぶか
ヤンバルの森に人殺しの訓練施設はいらない!
沖縄・辺野古で続く陸と海でのたたかい
沖縄の同胞意識解体――北部の過疎化が加速
基地こそが経済の阻害要因

2015年

辺野古の反基地の闘いと選挙の結果をめぐって
沖縄県知事選雑感
美しい辺野古の海、いのちを守るたたかいの地より
「命懸け」という言葉をめぐって――海上抗議カヌーチームの現場から
いまは「戦前何年」なのか
日米安保条約そのものを問い返していく必要がある
文学者の戦争責任――抵抗は次世代への義務
監視から弾圧、戦争へのシステム

2016年

海上行動から見えること――基地あるが故の貧しさ
不屈の市民運動 国動く――非暴力の抵抗 大きな力に
狙い撃ちの標的となって(上)――米軍が直接弾圧へ
狙い撃ちの標的となって(下)――監禁状態の8時間 基地の治外法権露呈
弾圧続く東村高江――島ぐるみで抵抗を
どこにもいらない基地を沖縄に押し付けているこの現実
「戒厳令下」の高江――暴力に次ぐ暴力/社会の戦時体制化先取り
米海兵隊に拘束されて
沖縄の米軍犯罪の根を問い糾す
破壊される森 北部訓練場――市民が暴く杜撰工事
高江「土人」発言を考える――沖縄への無理解噴出
「土人」「シナ人」発言――沖縄差別が公然化

2017年

大浦湾の海上作業再開――米軍に奉仕する海保/72年前と変わらぬ「捨て石」
日本人はいつまで沖縄に犠牲を強要し続けるのか――高江・辺野古の現場から
辺野古護岸着工――知事は埋め立て撤回を
K9護岸工事の着工が迫るなかで
東京MXテレビによる「沖縄差別」番組問題について
砕石投入――いま、現場で行動を/進む国の違法工事
沖縄の戦争体験
真夏の辺野古の海で
沖縄を「捨て石」にする構造
沖縄の現代史を体現した大田昌秀氏を悼む
政治弾圧裁判に勝利し、山城博治さんを現場に復帰させよう!
若者と政治――新基地抗議、広い世代で

2018年

頻発する米軍機事故に高まる不安
沖縄は日本政府の強権と圧力に屈しない――名護市長選挙敗北の意味するもの
韓国・済州島「4・3事件」シンポジウムに参加して
天皇皇后の来沖――慰霊の裏、軍事化進む
辺野古のたたかいは、極めて重要な局面に
国強行 知事追いつめる――闘った姿、県民は忘れない
基地集中という沖縄差別と翁長知事の死
県知事選 玉城氏当選――「勝利の方程式」通用せず

2019年

ヤマトゥから海を渡ってきた者たち
あなたはどうするのか?
豊かな海 汚濁広がる――辺野古土砂投入1カ月 現場で阻止行動を
ジュゴンの死――希少種の保護に逆行
日本人はいつまで沖縄に米軍基地を押し付けていくのか
利益目的のお祭り騒ぎ――騒動の裏で新基地建設強行

◉増補 インタビュー/対談

沖縄戦 記憶紡ぐ文学
対立の海で
沖縄県民の怒りはやがて日本全体に向かい離反意識が強まっていく
行動して訴えろ――くり返される深刻な事件を終わらせるには全基地撤去しかない
「土人」発言の真相
琉球人遺骨問題――地域が納得できる返還を
行動すること、書くことの磁力――対談 目取真俊×仲里効
   *
 初版あとがき
 増補版へのあとがき
著者略歴(目取真 俊)
1960年、沖縄県今帰仁村生まれ。
琉球大学法文学部卒。
1983年「魚群記」で第11回琉球新報短編小説賞受賞。1986年「平和通りと名付けられた街を歩いて」で第12回新沖縄文学賞受賞。1997年「水滴」で第117回芥川賞受賞。2000年「魂込め」で第4回木山捷平文学賞、第26回川端康成文学賞受賞。2022年に第7回イ・ホチョル統一路文学賞(韓国)受賞。
著書:(小説)『魂魄の道』、『目取真俊短篇小説選集』全3巻〔第1巻『魚群記』、第2巻『赤い椰子の葉』、第3巻『面影と連れて』〕、『眼の奥の森』、『虹の鳥』、『平和通りと名付けられた街を歩いて』(以上、影書房)、『風音』(リトルモア)、『群蝶の木』、『魂込め』(以上、朝日新聞社)、『水滴』(文藝春秋)ほか。
(評論集)『沖縄「戦後」ゼロ年』(日本放送出版協会)、『沖縄/地を読む 時を見る』、『沖縄/草の声・根の意志』(以上、世織書房)ほか。
(共著)『沖縄と国家』(角川新書、辺見庸との共著)ほか。
ブログ:「海鳴りの島から」
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