『中野武営 渋沢栄一と双璧と呼ばれた男』の詳細情報

中野武営 渋沢栄一と双璧と呼ばれた男
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タイトル 中野武営 渋沢栄一と双璧と呼ばれた男
サブタイトル
著者 [著者区分]石井 裕晶 [著・文・その他]
出版社 岩波書店 レーベル
本体価格
(予定)
2600円 シリーズ
ページ数 286p Cコード 0023
発売予定日 2024-09-10 ジャンル 一般/単行本/伝記
ISBN 9784000241861 判型 46
内容紹介
明治から大正半ばまで政治家と実業家の二刀流で活躍、渋沢栄一の後を継いで東京商業会議所会頭に就任、日本経済の発展と平和の実現のため、政府と堂々と渡り合い、軍事力から経済力中心の国家の発展を目指した中野武営(1848-1918)。「士魂商才」の気骨あるラストサムライの生き様を、同時代の政治経済の実相とともに綴る。
目次
 はじめに

第一章 生い立ちから中央へ
 1 出生から高松藩士へ
  剛健の士風
  家厳の四教訓
  武道に励んで恨みをはらす
  書巻を懐にしながら漢籍を修める
  名前からして「士魂商才」
  朝敵となった高松藩
 2 官吏の時代
  ふり出しは地方官吏
  地租改正で地方を巡る
  近代の情報戦で奮闘
  本省に登用される
  開庁とともに農商務省へ
  「明治十四年の政変」で下野

第二章 政党政治をめざし、香川県の独立に東奔西走
 1 民権運動の闘士として
  立憲改進党結党に参加
  政党の苗は大木とするまで培養する
  代言人となって世界を広げる
  趣味は謡曲
 2 香川県独立に東奔西走
  一年中製塩できるように
  浮遊した香川県
  政変により準与党に
  香川県独立に走る愛媛県会議長
  最後の置県
  香川県会議長は逃す
 3 財政通の論客
  衆議院議長候補にも
  実業家の利益よりも国家の利益を
  命がけの衆議院議員選挙
  病歴
  勝海舟を屈する
  衆議院予算委員長に就任
  政局への関心を失う
 4 香川県と松平家への貢献
  旧藩士のネットワーク
  信頼できる人しか紹介しない
  君辱しめられれば臣即ち死す
  讃岐を愛す

第三章 実業家と政治家の「二刀流」
 1 鉄道実業家として奮闘
  初めての鉄道経営
  天下に名を知られるに至った登竜門
  重役は株主から大切なものを託されている
  まず実地を示して東京に鞭打つべし
  電車鉄道経営の第一線から手を引く
  競争ほど世に恐ろしきものはなし、また競争ほど世に善きものはなし
 2 実業界の第一流の立役者へ
  「二刀流」発揮の場
  武営の経済思想
  「泣く子と地頭には勝てない」時代ではない
  お上と素町人
  恐れるのは武断政治
  経済界で第一流の立役者の一人
  日本興業銀行を設立
 3 東京株式取引所理事長として
  誇りとするところは限月制度
  東株の基礎を築き上げる
  晴天の霹靂の「取引所打壊令」
  大臣と局長の引責辞任
  大きな犠牲
  私は酒を妾としている
  「不思議の買い物」
  東株理事長辞任

第四章 偏武的政治との闘い
 1 渋沢栄一の後任として
  無給の東商に力を注ぐ
 2 日露戦後経営
  ロシアの謬信迷想
  二つの「臥薪嘗胆」
  商議所連合会を活動の舞台に
  官業は非効率である
  損をしても動じない株主
  職工適材教育の推進
  平和の戦場
  国策ホテル構想から東京ステーションホテルへ
 3 三悪税廃止運動と増税反対運動
  三悪税廃止運動
  不況の中での増税方針決定
  国民全体の休戚につき忍びざる
  実業を離れた政治はなく、政治を離れた実業はない
  空砲から実弾へ
  戊申倶楽部の結成
 4 古武士、米国を動かす
  米国大統領への警告書
  失敗すれば切腹する

第五章 大正デモクラシーの旗手
 1 初めての大きな挫折
  三税廃止法案の否決
  商業会議所撲滅令
  権宜術策なし
 2 国民的外交の実践
  平和の戦士
  国民的外交に臨む決意
  二十六州、五十三都市を巡る
  碑に眼鏡ぬぐふや初時雨
  健剛なる自治思想による地方分権制
  税制整理の実現
  武営の憂慮
  サーベルとピストル
  衆議院議員選挙への不出馬
  贅沢は罪悪なり
 3 陸軍二個師団増師問題と大正政変
  大整理を命ずる
  減税か陸軍増師か
  大正政変の火蓋を切る
  増師反対運動から政変へ
  満洲を我が勢力範囲に置くことは百害あって一利なし
  強い味方の存在
  大日本国防義会会長
  威武も屈する能わず
 4 営業税は最大悪税なり
  排日土地法案阻止に向けて
  山本内閣への期待
  内閣の方針を見極める
  猛然と廃税に舵を切る
  政局を動かす商議所連合会

第六章 晩年の総決算
 1 戦時経済への対応
  一六年ぶりの大隈内閣
  重化学工業化に本腰を入れる
  独創的発明による工業の発達を
  実業界の双璧
  大隈内閣支持を貫く
  実業は平和の畑でなければ成木しない
  引退時に政府が介入
 2 東京市に貢献する
  しゃがれ声の議長
  新たな御代を奉祝する
  市政最大の問題の解決
  明治神宮と乃木神社の造営
  東京に田園都市を
  武営の子どもたち
 3 一点の私心を挟まず
  徳義裁判所の最終審判官
  時に応じて宜しきを制す
 4 巨星隕つ
  新しき富豪振りが見たい
  「平和の戦争」に向けて
  唐崎の松も老たり我も老たり
  巨星隕つ

  引用した中野武営の論考一覧
  参考文献一覧
  関連年譜

 おわりに

  写真・図版出典一覧  
  人名索引
著者略歴(石井 裕晶)
石井裕晶(いしい・ひろあき)
歴史研究家.
1956年生まれ.
東京大学経済学部卒業.1980年通商産業省入省.在米日本大使館公使,内閣府政策統括官(経済財政運営担当)などを経て2014年退官.1986年プリンストン大学公共・国際関係大学院修士.2011年早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了.博士(学術).
専攻―近代日本政治経済史.
著書―『中野武営と商業会議所』(ミュージアム図書),
   『制度変革の政治経済過程』(早稲田大学出版部),
   編著書に『中野武営著作集』(早稲田大学出版部)など.
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