『調査する人生』の詳細情報

調査する人生
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タイトル 調査する人生
サブタイトル
著者 [著者区分]岸 政彦 [著・文・その他]
出版社 岩波書店 レーベル
本体価格
(予定)
2300円 シリーズ
ページ数 308p Cコード 0036
発売予定日 2024-12-02 ジャンル 一般/単行本/社会
ISBN 9784000616720 判型 46
内容紹介
長い年月をかけて対象となる社会に深く入り込み、そこで暮らす人びとの人生や生活を描くフィールドワーカーたちは、自分たちの人生もまた調査に費やしている。生活史調査で知られる著者が、打越正行、齋藤直子、丸山里美、石岡丈昇、上間陽子、朴沙羅の卓越した6人のフィールドワーカーたちと「調査する人生」を語り合う。
目次
 序

第1回 打越正行×岸 政彦
相手の一〇年を聞くために、自分の一〇年を投じる
 暴走族の中でパシリをはじめる
 「大学生のくせによく頑張ってるじゃないか」
 「地元」はどうやら優しい共同体ではない
 ネットワーク全体の中に埋め込まれて関係性や作業が進んでいく
 地元の実践感覚を数年かけて身に付けていく
 パシリを引き継ぐ後輩が入ってこない
 製造業は「書かれた言語」、建設業は「話し言葉」のコミュニケーションが中心
 リスクを最小限にしてうまく生き残り続ける能力
 暴走族が一〇年間で激減
 ストレートな地元愛を聞くことはほとんどない
 敬意を持つ相手は、妻や彼女を殴る男でもある
 調査の初日にパクられる
 いつまでたっても自分はよそもの
 関わり続けたら完全に中立的ではいられない
 本は燃えてもフィールドノートは燃えなかった
 沈黙に耐えきれずカラオケで曲を入れてしまう
 「別世界のビックリ話」で終わらせないためにどう書くか
 暴力の問題を自分の問題として書く
 調査対象でもフィールドワークでもなく、人生である

第2回 齋藤直子×岸 政彦
生活そのものを聞き取り続けて見えてくること
 社会学との出会い
 複数の「しんどさ」がつながったとき
 生活史の第一人者たちから学ぶ
 部落問題の調査でなにを聞くのか
 生い立ちを肯定するための「自分史」運動
 テーマだけを聞くのはもったいない
 「何をされたか?」ではなく「どう思ったか?」 からの広がり
 質的調査も量が大事
 詳しくなるのはストーリーやインタビューの技術ではない
 当事者と当事者でないところの接点
 「社会問題が実在する」とは
 差別する側のパターン化
 部落問題と結婚・家制度
 「結婚には反対だが差別ではない」の疑わしさ
 差別する側の非合理的で過剰な拒否感
 やればやるほど離れられなくなる

第3回 丸山里美×岸 政彦
簡単に理解できない、矛盾した語りを掘り下げたい
 ホームレス研究から排除された女性
 調査をお願いする勇気
 畳の上で寝ることよりも大事なこと
 「改善」より先に「理解」したい
 人は矛盾を抱えて生きている
 これまでの研究は「男性ホームレス研究」だった
 問いの前の問い
 社会学者が「責任解除」をすること
 語りを理由に還元しない
 語りの矛盾や飛躍こそもう一度聞く
 理論がないと何十人聞いてもわからない
 一つの行為に一つの理由、ではない

第4回 石岡丈昇×岸 政彦
生きていくことを正面に据えると、なかなか威勢よく言えない
 「咬ませ犬」ボクサーに話を聞く
 フィリピン、マニラのボクシングジムへ
 なぜボクサーになるのか?
 泣き真似、豪雨、ヘビ
 立ち退きは「宿命」か
 威勢よく言えることを可能にする条件
 まだまだわかる部分があるはず

第5回 上間陽子×岸 政彦
調査する人生と支援する人生
 沖縄の女性たちの調査をはじめる
 インタビューって面白いな、と思った
 「沖縄は絶対にやらない」と決心した院生時代
 「強いコギャル」の話を書きたかったはずなのに
 「話がまとまるまでいなきゃ」って思う
 支援に振り切りシェルター開設
 私がやっているのは、それぞれを特別扱いすること
 加害者の語りをどう書けるのか
 調査相手との距離・関わり方
 しつこさが大事

第6回 朴 沙羅×岸 政彦
人生を書くことはできるのか
 親族の生活史を聞く
 テーマや問いを設定して……あれ、設定できなくない?
 インタビューはコントロールできない
 その場で言語化された言葉の解釈
 一時間、二時間の人生、九〇年の人生
 「酒がうまい」論文
 「わかる」ことと「共感する」こと
 「中の人」の体験の面白さ
 歴史的事実と個人の語り
 「歴史的な出来事」の拡張
 ジャーナリズム、カウンセリング、社会学
 相手が泣いてしまう経験

 著者紹介
著者略歴(岸 政彦)
岸 政彦(きし・まさひこ)
一九六七年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。社会学。専門は沖縄社会研究、生活史、社会調査方法論。主な著作に『断片的なものの社会学』(朝日出版社、二〇一五年、紀伊國屋じんぶん大賞二〇一六受賞)、『マンゴーと手榴弾――生活史の理論』(勁草書房、二〇一八年)、『100分de名著ブルデュー「ディスタンクシオン」』(NHK出版、二〇二〇年)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、二〇二二年)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、二〇二一年、紀伊國屋じんぶん大賞二〇二二受賞)、『大阪の生活史』(編著、筑摩書房、二〇二三年)など。「岩波講座社会学」編集委員。
戦後沖縄の本土就職とUターンにおけるアイデンティティの歴史的構築、沖縄的共同性と階層格差という二つの大きな調査プロジェクトを終えて、現在は沖縄戦の生活史調査をおこなっている。あわせて『街の人生』『東京の生活史』などのスタイルで「生活史モノグラフ」を書いている。
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