『象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む』の詳細情報

象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む
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タイトル 象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む
サブタイトル
著者 [著者区分]原 武史 [著・文・その他]
出版社 岩波書店 レーベル
本体価格
(予定)
960円 シリーズ 岩波新書
ページ数 254p Cコード 0221
発売予定日 2024-10-21 ジャンル 一般/新書/日本歴史
ISBN 9784004320388 判型 新書(B40)
内容紹介
昭和天皇と側近たちとの詳細なやり取りを記録した「昭和天皇拝謁記」。貴重な史料からは、政局や社会情勢、戦争について饒舌に語る昭和天皇の等身大の姿が浮かび上がる。歴史上はじめて象徴天皇となった人物の言動とは、いったいどのようなものだったのか。私たちにとって「象徴」とは何なのか。第一人者による天皇論。
目次
序 章 『昭和天皇拝謁記』とは何か
 あらわになった昭和天皇の肉声
 「拝謁記」が書かれた時期
 『拝謁記』の読みどころ
 本書の構成

第1章 天皇観
 退位もあり得ると考えていた
 退位しないと再び立場を変える
 「おことば」での決意表明
 過剰な警備に対する批判
 巡幸と一般参賀
 天皇の象徴観
 教育勅語はあったほうがよい

第2章 政治・軍事観
 天皇の民主主義観
 政党政治に対する不信感
 保守政党の大同団結を提言
 社会党右派への期待
 議席ゼロになっても安心できない共産党
 後期水戸学のキリスト教認識との類似点
 朝鮮人学校はつぶした方がいい
 再軍備は絶対に必要

第3章 戦前・戦中観
 時勢には逆らえない
 張作霖爆殺事件と満州事変
 二・二六事件の忌まわしい記憶
 日中戦争と太平洋戦争
 米軍は空襲の標的を定めていた
 条約の信義を重んじたから戦争終結が遅れた
 ソ連参戦が戦争を終わらせた

第4章 国土観
 どこまでが日本の範囲か
 北海道に対する認識
 九州に対する認識
 沖縄に対する認識
 内灘や浅間山を米軍に提供すべき

第5章 外国観
 米国の評価すべき点
 米国の批判すべき点
 天皇の英国観
 天皇のソ連観
 天皇の中国観
 天皇の朝鮮半島観

第6章 人物観1――皇太后節子
 意見が違う
 「虫の居所」によって違ったことを言う
 時流におもね、話し上手を好む
 皇太后が見た天皇
 怖くて宮中服の廃止を言えない
 蚕糸業視察はやめてほしい
 大正天皇との仲が悪かった
 皇太后の遺書の謎1――「家宝」とは何か
 皇太后の遺書の謎2――秩父宮への言及と一〇月二二日という日付
 ケガレに厳格

第7章 人物観2――他の皇族や天皇
 皇后をどう見ていたか
 皇太子明仁に対する不安
 秩父宮に対しては同情的
 戦後も終わらない高松宮との対立
 三笠宮は我がままに育った
 正仁親王がキリスト教の信仰をもってもよい
 少ない明治天皇と大正天皇への言及

第8章 人物観3――政治家・学者など
 マッカーサーとの会見
 吉田茂に対する相反する感情
 鳩山一郎と岸信介に対する批判
 近衛文麿よりも東条英機を評価
 南原繁・清水幾太郎・平泉澄への否定的な評価

第9章 神道・宗教観
 皇大神宮のアマテラスによる「神罰」
 「祖宗と万姓に愧ぢる」
 宮中祭祀は宗教でないが宗教性はある
 明治神宮と靖国神社
 キリスト教への改宗の可能性
 「御寺では礼拝はせぬ」

第10章 空間認識
 皇居は移転せず、御文庫をそのまま使う
 皇居前広場を活用すべき
 赤坂御用地と新宿御苑
 那須御用邸・沼津御用邸・葉山御用邸
 軽井沢と箱根
 東京大学・京都大学・結核療養所
 お召列車という空間

終 章 『拝謁記』から浮かび上がる天皇と宮中
 天皇は何を信じていたのか
 イデオロギーとしての「反共」
 関連資料から浮かび上がる一九六〇年代の宮中
 昭和天皇が残した「負の遺産」

 あとがき
著者略歴(原 武史)
原 武史(はら・たけし)
1962年,東京に生まれる.早稲田大学政治経済学部卒業後,日本経済新聞社に入社.東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材.東京大学大学院博士課程中退.東京大学社会科学研究所助手,山梨学院大学助教授,明治学院大学教授,放送大学教授を経て
現在―明治学院大学名誉教授,放送大学客員教授
専攻―日本政治思想史
著書―『昭和天皇』(岩波新書,司馬遼太郎賞受賞)
   『「昭和天皇実録」を読む』(岩波新書)
   『平成の終焉――退位と天皇・皇后』(岩波新書)
   『大正天皇』(朝日文庫)
   『皇后考』(講談社学術文庫)など多数
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