『教員不足 ~誰が子どもを支えるのか ~ 』の詳細情報

教員不足
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タイトル 教員不足
サブタイトル 誰が子どもを支えるのか
著者 [著者区分]佐久間 亜紀 [著・文・その他]
出版社 岩波書店 レーベル
本体価格
(予定)
960円 シリーズ 岩波新書
ページ数 254p Cコード 0237
発売予定日 2024-11-22 ジャンル 一般/新書/教育
ISBN 9784004320418 判型 新書(B40)
内容紹介
新学期に担任の先生がいない、病休の先生の代理が見つからない……。そんな悲鳴が全国の学校で絶えない。少子化にもかかわらず、事態が深刻化するのはなぜか。過密化する業務、増大する非正規、軽視される専門性など、問題の本質を独自調査で追究。教育格差の広がるアメリカの実態も交え、教育をどう立て直すかを提言する。
目次
 はじめに

第1章 教員不足をどうみるか──文科省調査からはみえないもの
 ある先生の「絶望」
 「妊娠してしまいました」
 それでも先生になりたい
 「もう職員室で子どもの話ができないんです」
 子どもたちへのしわ寄せ
 文科省の教員不足調査
 際立つ特別支援学校の教員不足
 文科省調査の意義
 文科省調査の課題
 教員不足の再定義

第2章 誰にとっての教員不足か──教員数を決める仕組み
 「先生はいませんが、不足はしていません」?
 文科省調査の定義とは──配当定数を基準にした不足
 誰が教員定数を決めるのか──国と地方の中間型
 教員定数を決める仕組み
 教員数が学級数と連動する仕組み──日本方式の特徴
 義務標準法の理念
 アメリカの教員数決定方式
 アメリカ方式の特徴──複式学級の常態化
 学級という教育方法
 社会を反映する学校、学校を反映する社会
 基礎定数と「乗ずる数」
 加配定数とは
 条例定数と予算定数
 配当定数──義務標準法の運用をめぐる問題
 端数切り下げによる教員削減
 自治体独自の解釈と定数措置
 「プール定数」「浮き数」
 配当定数を基準にすることの課題──誰にとっての教員不足か

第3章 教員不足の実態──独自調査のデータから
 独自の調査を実施
 実態に迫るための調査設計
 教員不足をとらえる五つの視点──未配置を把握するために
 視点① 何を基準にした誰にとっての不足か
 視点② いつの時点での不足か──三学期の不足数は一学期の約二倍
 視点③ どの自治体・地域の不足か
 視点④ どの学校種・教科の不足か
 視点⑤ どの雇用形態の不足か
 非正規雇用教員とは
 非正規雇用は大別すると三種類
 教員不足には四段階ある
 不足は教員の自己犠牲でカバーされている
 教員不足を生んだ教員配置体制
 教員不足の原因──非正規依存の末に
 教員不足を再定義する必要性
 なぜ正規雇用が減ったのか──少子化による採用控え
 特別支援学級の増加と採用控え
 教員採用試験の応募者の減少
 思わぬ欠員の増加
 非常勤講師の高齢化
 学校現場への影響は

第4章 なぜ教員不足になったのか(1)──行財政改革の帰結
 正規雇用教員の削減
 教職員定数改善計画の中止
 教員の非正規化
 国の主導的役割の維持
 加配定数と実態の乖離
 教員数の地域格差の拡大
 教員の数を保障する仕組みの喪失
 教員給与の削減
 教員給与を保障する仕組みの喪失
 国庫負担を三分の一に減少
 地方公務員の削減と非正規化
 行政改革の帰結としての教員不足

第5章 なぜ教員不足になったのか(2)──教育改革の帰結
 効率性を追求する組織改革
 教員評価体制の導入
 教員免許更新制度による教職の不安定化
 教育内容の増加
 教員一人あたりの担当授業時数の増加
 授業方法改革とテスト対策
 学習評価作業の増加
 教員自身の学習機会の縮小
 授業をめぐる価値観の対立
 子どもと社会の変化
 長時間労働の深刻化
 教員の健康状態とメンタルヘルスの悪化
 時間外勤務は「自主的な活動」
 志願者の減少と「教員離れ」
 小学生の「将来つきたい職業」でランク外に
 そもそも教職の魅力とは
 教員不足に至ったプロセス

第6章 教員不足をどうするか──子どもたちの未来のために
 行政はどう対応してきたか
 実態調査から不足の原因を分析する
 非正規需要の急増を防ぐ──国がすべき対策①
 教員の労働環境を改善する──国がすべき対策②
 余剰にみえても必要な人員
 少子化はむしろチャンス
 地方自治体の対応策
 病休・育休復帰支援──地方自治体がすべき対策①
 標準授業時数の運用改善──地方自治体がすべき対策②

第7章 教員不足大国アメリカ──日本の未来像を考える
 教員不足大国アメリカの現実
 不足率の格差
 窮地に立つ公立学校
 軍人を教壇に迎える
 海外から先生を「輸入」
 コロナ禍による大量退職
 アメリカにおける教員不足の背景
 分断の最前線としての教育現場
 教員養成機関にも批判の矛先
 女性化された教職
 教育政策の地方分権と個人主義
 広大な国土と地域格差
 生まれた境遇で一生が決まる社会
 ミドル・クラスの苦悩とセーフティ・ネットとしての学校
 富裕層の私立学校

第8章 誰が子どもを支えるのか──八つの論点
 自分の立場・視点を相対化する
 公立学校は社会のライフライン
 日本の教職員数は先進国で最少
 論点① 教員数の地域格差をどこまで容認するか
 論点② IT技術は教員の代わりになりうるか
 論点③ 教員数の決定方法をどうするか
 論点④ 教員の待遇をどうするか
 論点⑤ 教員の数をどう確保するか
 論点⑥ 教育予算をどうするか
 論点⑦ 今後も公務員数を削減し続けるのか
 論点⑧ ケア労働を社会にどう位置づけるか

 おわりに
 参考文献
著者略歴(佐久間 亜紀)
佐久間亜紀(さくま・あき)
1968年東京生まれ
早稲田大学教育学部卒業.東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学後,博士(教育学).東京学芸大学准教授,上越教育大学准教授,スタンフォード大学客員研究員などを経て
現在,慶應義塾大学教職課程センター教授.日本教育学会・日本教育方法学会・日本教師教育学会理事
専門は教育学(教育方法学,教師教育,専門職論)
著書に『アメリカ教師教育史』(東京大学出版会,第13回平塚らいてう賞受賞),共編著に『公教育を問い直す』(世織書房),『現代の教師論』(ミネルヴァ書房),共著に『教員不足クライシス』(旬報社),『教育論の新常識』(中公新書ラクレ)など
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