探偵小説と大量死を結ぶ、ミステリ界史上最も先鋭な批評体系!
第一次世界大戦における「大量死=匿名の死」への抵抗こそが、死と生の「必然性」への希求としての「探偵小説」を興隆させたのではないか――探偵小説作家にして評論家である笠井潔によって一九九〇年に着想されたこの大胆な仮説は、「探偵小説=二〇世記小説」論として発表されるやいなや、日本ミステリ界を席巻した。イギリス・アメリカ・フランス・ドイツ・ロシアおよび日本の時代精神に照らした作者論・作品論により、縦横無尽の史的検証を積み重ねられた「探偵小説=二〇世記小説」の理論大系を、二一世記の来るべきミステリのために、ここに集成。
*本書目次 はじめに
<1> 探偵小説と世界戦争
<2> 探偵小説と二〇世紀精神
<3> 戦後探偵小説作家論 1 横溝正史論ーー論理小説と物象の乱舞 2 高木彬光論ーー屍体という錘と戦争体験
<4> 大量死から大量生へ 1 探偵小説と二〇世紀の「悪魔」 2 異様なワトスン役 3 「魂」を奪われた小説形式 4 大量生と「大きな物語」のフェイク 5 アメリカニズムと「小さな物語」
あとがき
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