『愛と欲望のナチズム』の詳細情報

愛と欲望のナチズム
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タイトル 愛と欲望のナチズム
サブタイトル
著者 [著者区分]田野 大輔 [著・文・その他]
出版社 講談社 レーベル
本体価格
(予定)
1360円 シリーズ 講談社学術文庫
ページ数 336p Cコード 0122
発売予定日 2024-10-10 ジャンル 一般/文庫/外国歴史
ISBN 9784065374092 判型 文庫(A6)
内容紹介
《すべての性欲を解き放て!》
第三帝国が企てた「快楽」と「生殖」をめぐる大衆動員の実態とは?
ナチズム研究をリードする著者による衝撃的論考の増補文庫化!

産めよ殖やせよ。強きゲルマン人の子らを━ナチスは人間の欲望、とりわけ性欲を解放させることで、人々を生殖に駆り立て、社会を支配せんとした。
「厳格で抑圧的なナチズム」という通説のイメージを、膨大な同時代資料を渉猟することによって覆し、性と権力、快楽と大衆操作が絡み合い展開した「欲望の動員」の実態に光を当てる、決定的研究!

【本書「はじめに」より】
本書はこのような観点から、第三帝国下の「性-政治」の実態を描き出そうとするものである。そこでの性と権力の複雑なからみ合いを、体制側の狙いと個々人の実践との齟齬や矛盾にも留意しつつ、性教育、同性愛、裸体文化、婚外交渉などの争点ごとに検証していきたい。その際とくに、従来の一般的な見方とは異なって、ナチズムが市民道徳への反発から性的欲求の充足を奨励し、ある種の「性の解放」を促進したプロセスに注目する。ダグマー・ヘルツォークの研究が明らかにしているように、彼らにとって性は生殖のためだけのものではなく、快楽や喜びをもたらす一種の刺激剤でもあったのであり、それを徹底的に活用した点にこそ、この運動の動員力を説明する手がかりがあると考えられる。その意味で本書は何よりも、生殖と快楽の問題にとりつかれた体制の「欲望の動員」のメカニズムを解明することをめざしている。

【本書の内容】
はじめに
第一章 市民道徳への反発
第二章 健全な性生活
1 性的啓蒙の展開
2 性生活の効用
第三章 男たちの慎み
1 男性国家の悪疫
2 結婚を超えて
第四章 美しく純粋な裸体
1 裸体への意志 
2 ヌードの氾濫
3 女性の魅力
第五章 欲望の動員
1 新しい社交 
2 悪徳の奨励 
3 道徳の解体 
おわりに 
補章

図版出典 
あとがき
学術文庫版あとがき
索引

*本書の原本は、2012年に講談社選書メチエより刊行されました。
目次
著者略歴(田野 大輔)
1970年,東京都に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。現在,甲南大学文学部教授。博士(文学)。専攻は歴史社会学,ドイ
ツ現代史。著書に『魅惑する帝国 政治の美学化とナチズム』『ファシズムの教室』『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(共著)『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』(共著)など。
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