弟はなぜ死んだのか。 殺したのは自分なのか。
酒と女とギャンブルに溺れてその日暮らし―― 男の魂は平安を求めて彷徨い続ける。
「ほらその目だ。昨夜と同じ目だ。あんたは酒を飲みはじめると、目がおそろしく冷たくなる」 競輪場に向かうタクシーで相乗りになった男が、そう言って私のグラスにウィスキーを注ぐ。 弟の死と家族の問題に苦しむ私は、罪悪感から逃れるために地方を転々とするその日暮らし、酒と女とギャンブルにまみれた生活を続ける。 男の魂は何処へ辿り着くのか。 そして弟の死の真相は――。 伝説の無頼小説。
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