『運命の子 トリソミー 完全版』の詳細情報

運命の子 トリソミー 完全版
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タイトル 運命の子 トリソミー 完全版
サブタイトル
著者 [著者区分]松永 正訓 [著・文・その他]
出版社 小学館 レーベル
本体価格
(予定)
670円 シリーズ
ページ数 288p Cコード 0195
発売予定日 2024-12-06 ジャンル 一般/文庫/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN 9784094074161 判型 文庫(A6)
内容紹介
障害者受容の在り方を問う小児外科医の記録

人間の生命は、両親から一本ずつ染色体を受け継ぎ誕生しますが、染色体が三本に増えている病気がトリソミーです。異常のある染色体の番号により、「13トリソミー」「18トリソミー」「21トリソミー(別称・ダウン症)」などがあります。13トリソミーの赤ちゃんは心臓の奇形や脳の発達障害があるため、半数が1か月ほどで、ほとんどが1歳までに亡くなってしまいます。本書は、小児外科医である著者が「地元の主治医として13トリソミーの赤ちゃんの面倒をみてほしい」と近隣の総合病院から依頼され、朝陽(あさひ)君とその両親に出会うところから始まります。朝陽君の両親は我が子を受け容れ、自宅へ連れて帰り、愛情を注ぎます。そして、障害児を授かったことの意味を懸命に探ります。著者は朝陽君の自宅への訪問を繰り返し、家族と対話を重ねます。また、そのほかの重度障害児の家庭も訪れ、「障害児を受容する」とはどういうことかを考えます。やがて、朝陽君の母親は、朝陽君が「家族にとっての幸福の意味」を教えてくれる『運命の子』であることに気づきます。出生前診断の是非が問われる中、本書は「命を選ぼうとする考え方」に大きな一石を投じる一冊です。

【編集担当からのおすすめ情報】
2013年度 第20回小学館ノンフィクション大賞・大賞受賞作品です。
著者は現役小児外科医・松永正訓さんで、開業医として診療活動を行うかたわら、命の尊厳をテーマとし、取材・執筆活動を続けています。
また、がんを克服した子どもたちの支援も行っています。
本書では、染色体の異常「トリソミー」の乳児およびその家族と松永さんの交流が丁寧に描かれています(文庫化にあたって、文庫本のための最終章「それから一年を過ぎて」が加筆されました)。
出生前診断の広まりにより、ともすれば「命を選ぶ」という考え方も生じます。本書はそうした考え方に大きな一石を投じます。
目次
運命の子 トリソミー 完全版


はじめに

第一章 十八年ぶりに出会う患者
1 クリニックへの電話
2 酸素モニターを付けた赤ちゃん
3 危険な肺炎

第二章 眠り続ける子、眠らない母親
1 徹夜の呼吸ケア
2 栄養補給と入浴
3 呼吸が止まる
4 レスパイトと訪問看護を利用する
5 朝陽君を外へ連れ出す

第三章 朝陽の誕生
1 家族の始まり
2 夕刻の緊急帝王切開
3 スマートフォンで知った病名
4 朝陽に出会う
5 兄への告知
6 試験外泊から退院へ

第四章 短命という名の運命
1 手術をしないという選択
2 人工呼吸器を拒否する
3 短命だからこその人生

第五章 五回の手術を受けた13トリソミーの子
1 不思議な論文
2 手術目前の突然死
3 手術してくれないのですか?
4 一人ひとりが違う子

第六章 兄の心の中にあるもの
1 親族の協力
2 兄の言葉
3 よそで弟の話をしない

第七章 祖母の独白
1 怖くて抱けない
2 心配なのは兄
3 展利と父の関係

第八章 母親の揺らぎ
1 時間外の受診
2 相反する心
3 指をしゃぶる

第九章 在宅人工呼吸で幸福を得る ゴーシェ病の子
1 自宅で人工呼吸器を付けた子
2 二歳までに死亡
3 受け容れるのに二年
4 人に何かを与える人生

第十章 我が子を天使と思えるまで ミラー・ディッカー症候群の子
1 「親の会」を脱会した母
2 あまり泣かない子
3 自分の染色体
4 人生をやり直したい
5 孤独の中に見付けた幸福
5 我が子を産むために自分は産まれた

第十一章 退院して一年を越える
1 インフルエンザ・ワクチンをうつ
2 初めての痙攣
3 祖父との会食
4 一家四人の散歩
5 血清マーカー診断

第十二章 親亡きあとの障害児の将来 「しあわせの家」で
1 心身障がい者ワークホームを訪れる
2 サリドマイドを飲んだ母
3 高齢化する親子
4 人生で最悪のこと

第十三章 誕生死した18トリソミーの子
1 ダウン症という生き方
2 羊水検査を受ける
3 絶望の病室
4 もう一つの病院
5 誕生と死と
6 産湯に浸る子

第十四章 二歳の誕生日
1 幸福の形
2 出生前診断は受けない

第十五章 それから一年を過ぎて(文庫本のための最終章)

あとがき~何を感じながら執筆したか~

文庫本のためのあとがき

解説 竹内修一
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