夢枕獏、恩田陸両氏推薦! 新たな山岳小説
緑里はアラスカに向かっていた。旧友シーラと北米最高峰デナリに登るためだ。 シーラの幼馴染、リタ・ウルラクは新鋭の女性登山家として名を馳せていた。二人の故郷、サウニケは北極海の小さな島だが、地球温暖化の影響で海に浸食されている。このままでは島は海に沈む――故郷の危機を世界に知らしめるため、リタは登山家として有名になるべく冬季デナリ単独行を計画した。写真家としての先行きに悩んでいた緑里はリタの果敢な言葉や行動に励まされ、彼女がそれを成しえたら真っ先にポートレートを撮ることを約束した。だがデナリの下山中、リタは消息を絶ってしまう。山頂から“完全なる白銀”を見た――という言葉を残して。 リタの登頂を疑うマスコミは彼女を〈冬の女王〉ではなく〈詐称の女王〉と書き立てた。緑里とシーラは、デナリに挑み、リタの登頂を証明することを決意。しかし、世界最難関への登攀は一筋縄にはいかない。ブリザード、霧、荷物の遺失、高度障害……二人の信頼関係も揺らぐ。困難を乗り越え北米大陸で最も高い地へ手を伸ばす緑里。その先に見えたものとは。 極限の地だけでなく、社会でも闘う女性たちを描きだす、気鋭の著者の新境地。
【編集担当からのおすすめ情報】 「山岳小説の新しい傑作がここに出現した。読者よ、岩井圭也に瞠目せよ!」――夢枕獏氏(作家) 「タイムリーなのに普遍的。理知的なのにエモーショナル。」――恩田陸氏(作家) 「現実離れなし。緻密にして壮大!」――栗秋正寿氏(登山家) 2024年、『われは熊楠』で直木賞に初ノミネート。注目の作家・岩井圭也が手がけた、山岳ミステリーの新たな傑作がついに文庫化! 解説は、日本人では植村直己に続いて冬季デナリ単独登頂を果たした栗秋正寿さんに執筆いただきました。
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