雪の神秘、優しさ、無情、はかなさに触れる
太宰治は『津軽』で七つの雪名を書いていますが、 雪深い土地が多い日本には、 各地特有の名前が沢山あります。
雪花、銀花、玉塵、桜隠し、不香の花、餅雪……
降り積もる雪は、人々に苦労をさせますが、 舞い降りるその姿、ひと晩で地上を覆い尽くす大胆さなど、 人々に感動も与えてきました。
いにしえより受け継がれてきた 「雪」の美称・異称を 美しき情景写真とともに紹介します。
本書は、雪の名前325語と写真146点を収録し、 その他、詩やエッセー、ことわざや紋章など、 雪にまつわるあらゆるものを多数集めました。
地域差はありますが、1年のうち、およそ4分の1は雪が舞う季節。 本書を片手に、雪を愛でてみませんか。
著者紹介
高橋順子(たかはし・じゅんこ) 詩人。1944年生まれ。佐藤秀明との共著『雨の名前』『風の名前』『花の名前』『恋の名前』は発売以来重版を重ねるロングセラーにしてベストセラー。
佐藤秀明(さとう・ひであき) 写真家。1943年生まれ。北極、チベットなど、世界各国の人々と自然をテーマにした作品を発表。長年、故郷新潟の降雪地帯の撮影を続けている。
【編集担当からのおすすめ情報】 「まほろ歳時記」シリーズの第1弾『雨の名前』は、 2001年に発売され、23年たった今でも重版を重ねている 超ロングセラーの人気タイトルです。
前作『恋の名前』から8年ぶりの新作となる本書も、 注目を集めています。
高橋先生は雪国生まれではないので、 豪雪地域に足を運んで取材し、 自らの力で名前を集めてきました。 まさに“力作”です。
作中の表現や、エッセーから皆さんとの交流の様子が垣間見え、 温かい気持ちになります。
雪国生まれの佐藤先生が書いたあとがきも印象深いです。 「吹雪の中を背丈ほどもある雪を掻き分けて仕事や買い物に出掛けてゆく 両親の姿を見て、無事に帰ってきて欲しいと心から願いながら雪への 恐怖心で震えた」
担当編集の私も雪国出身なので、雪の美しさも怖さも身にしみています。 様々な表情を持つ「雪」を、本書でご堪能いただければ幸いです。
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