『消費者と日本経済の歴史 ~高度成長から社会運動、推し活ブームまで ~ 』の詳細情報

消費者と日本経済の歴史
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タイトル 消費者と日本経済の歴史
サブタイトル 高度成長から社会運動、推し活ブームまで
著者 [著者区分]満薗勇 [著・文・その他]
出版社 中央公論新社 レーベル
本体価格
(予定)
880円 シリーズ 中公新書
ページ数 256p Cコード 1233
発売予定日 2024-08-20 ジャンル 教養/新書/経済・財政・統計
ISBN 9784121028150 判型 新書(B40)
内容紹介
応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清二とセゾングループのビジョン、セブン‐イレブンの衝撃、お客様相談室の誕生などを通し、日本経済の歩みとともに変貌していく消費者と社会を描き出す。
目次
まえがき

序 章 利益、権利、責任、そしてジェンダー
画期としての一九六〇年代/本書の観点


第1章 消費者主権の実現に向けて―一九六〇年代~七〇年代初頭

1 高度経済成長と消費革命
経済成長のメカニズム/戦後日本社会の編成原理/消費革命という用語/変化にともなう不安と問題
2 消費者主権という理念
経済同友会の修正資本主義論/生産性向上運動とは何か/東西冷戦下の消費者主権/「消費者は王様である」/家政学者の実感を超えて
3 日本消費者協会とかしこい消費者
消費者団体の発足/日本消費者協会の商品テストと花森安治の眼差し/日本の消費者団体の特徴/かしこい消費者の育成/買物上手を教育で生み出す?/かしこい消費者の限界/権利なき主体化のゆくえ
4 ダイエー・松下戦争の構図
価格決定権をめぐって?/中内功の安売り哲学/松下幸之助の水道哲学/バリュー主義の行く末


第2章 オルタナティブの模索と生活者―一九七〇年代半ば~八〇年代半ば

1 石油危機後の日本経済と生活の質
石油ショックから安定成長へ/消費水準の向上と中流意識の定着/社会的緊張に対する深い危機意識/高畠通敏の整理/食品公害のインパクト/消費者から生活者へ
2 生活クラブの消費材
創始者・岩根邦雄/起点としての牛乳/消費材とは何か/班別予約共同購入という方法/生き方を変える/フェミニズムからの批判
3 大地を守る会と有機農業運動
学生運動経験者たちによる設立/大地を守るという共同性/有機農業運動の価値体系/産消提携の思想/互恵的贈与関係の隘路/日本有機農業研究会からの批判/株式会社という選択と事業内容/運動とビジネスのあいだ
4 堤清二のマージナル産業論
セゾングループを築いた男/資本の論理と人間の論理/イメージ戦略と記号的消費/無印良品の歴史的前提/コンシューマリズムへの理解


第3章 お客様の満足を求めて―一九八〇年代後半~二〇〇〇年代

1 長期経済停滞への転換と消費者利益
平成バブルから長期経済停滞へ/格差社会の不安と生きづらさ/規制緩和と消費者利益/求められる自己責任/消費者団体の戸惑い/消費者基本法が意味すること
2 顧客満足の追求とそのジレンマ
CS元年以降―ヤマト運輸からユニクロまで/サービス経済化の難題/お客様と消費者の違い
3 セブン-イレブンにとってのお客様
鈴木敏文の直感/日本型コンビニの革新性/POSシステムのデータ/お客様の立場の先鋭化
4 お客様相談室の誕生
ACAPの設立/消費者対応部門の設置とその課題/ACAPの組織と活動/消費者からお客様へ


終 章 顧客満足と日本経済―二〇一〇年代~

1 現代史から見えたもの
消費者の時代/生活者の時代/お客様の時代
2 新たな潮流―エシカル消費、応援消費、推し活
カスハラなどの新たな問題/エシカル消費とSDGs/応援消費と推し活の隘路/顧客満足の社会的責任

あとがき
参考文献
著者略歴(満薗勇)
満薗勇
1980年千葉県生まれ.東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了.博士(文学).日本学術振興会特別研究員,立教大学講師などを経て,北海道大学大学院経済学研究院准教授.専攻は日本近現代史.
著書『日本型大衆消費社会への胎動――戦前期日本の通信販売と月賦販売』(東京大学出版会,2014年/政治経済学・経済史学会賞),『商店街はいま必要なのか――「日本型流通」の近現代史』(講談社現代新書,2015年),『日本流通史――小売業の近現代』(有斐閣,2021年),『消費者をケアする女性たち――「ヒーブ」たちと「女らしさ」の戦後史』(2022年,青土社).
共著『日本経済の歴史――列島経済史入門』(2013年,名古屋大学出版会)ほか.
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