1999年、河口湖町の廃ホテルで起きた母娘の死体遺棄事件。 犯人と目された少年の裁判の最中、被害者の夫は謎の手記を発表し失踪。 10年後、ジャーナリストが再取材を行うが、関係者達の告白は事件の構図を次々と塗り替えてゆく……。
読者を幻惑・酩酊させる仕掛けで、純文学×ミステリ×フェイク・ドキュメンタリーの歴史的達成として小説界を騒然とさせた衝撃作、ついに文庫化。 本作ははたして、現代の「藪の中」か、ミステリを逆手にとった奇書か、あるいは小説の極北か――
文庫化にあたり、ボーナストラックとして、著者独自の犯罪小説二篇(「トンちゃんをお願い」「わたしの娘」)を書籍初収録。
【諸氏から絶讃の声、続々!】
脳をマドラーで掻き回されるように読んだ。 それから十数年経っても、撹拌された言葉は渦巻き続けている。 ――酉島伝法(小説家・イラストレーター)
生きる自分への責任の取り方と、誰かに向けられた嘘や演技。 ふたつが奇跡的に同じものとして重ねられる文体に、その残酷に、私は吐きそうなくらい救われた。 ――山本浩貴(いぬのせなか座/小説家・デザイナー)
途方もない饒舌のうちに真実は沈みゆく。 こんなに恐ろしい小説はそうそうない。 ――蛙坂須美(怪談作家)
【目次】 Ⅰ 埋葬(2010) Ⅱ トンちゃんをお願い(2011)/わたしの娘(2019) 〈解説〉岡和田晃
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