りり、りり、りり……草雲雀は恋の歌を唄う──
「ひとはひとりでは生きていけませぬ」
剣の腕は一流ながら地味で控えめな清吾。 愛する者と親友のため、剣を抜く。 秘太刀「磯之波」が闇に煌めく!
媛野藩栗屋家の三男坊に生まれた清吾は、地味で控えめな性格だが、剣の腕はめっぽう強い。 女中のみつを妻としたものの家長の長男には認められていない。 そんな時、道場仲間の山倉伊八郎から自分の用心棒になるよう頼まれる。 伊八郎の実父が元家老の国東武左衛門であることがわかり、 その後を継ぎ、藩の筆頭家老になるには清吾の剣の技が必要だという。 「子どもを持ちたい」というみつの願いに応えるためにその申し出を引き受けたものの、 伊八郎の出世を阻もうとする敵からの刺客が次々と襲い掛かり……。
人の心を動かす名手による絶品時代小説。
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