日本建築写真家協会50周年記念企画。鉄道草創期から昭和中期に建てられた駅を被写体に、旅情と郷愁を喚起する鉄道駅舎の写真集。
全国の日本建築写真家協会有志会員34名が1年半をかけて撮影した駅舎の写真は全289駅、2,496カットにも及ぶ。全国各地、四季折々の姿を捉えた写真からは、訪れたことがなくともどこか懐かしさを感じさせる原風景的な魅力がある。しかし一方で、この企画の期間中にも老朽化のために取り壊されてしまった駅舎もある。地元住民の厚意や愛着によって管理され、生かされているものも少なくない。抗いようのない時代の流れを前にして積極的に残していかなければいずれは忘れ去られてしまうものである。 長い年月を経て今なお使われる駅舎の日常風景を捉えた写真は、単なるレトロ趣味的な心地よさに留まらない誠実な現在の記録である。
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