現代の日本の法律家の大部分は──おそらく世界の法律家の大部分も──カントやヘーゲル など読んだこともないし、そんなことを意識したこともないのではないでしょうか。それでも、 過去の思想は意識されることもなく、現に生きている人々の思考を捉え、束縛しているもので す。カントやヘーゲルに捉えられているのはましな方で、訳の分からない三流思想家に操られ ていることも少なくありません。それと意識することもなく過去の思想に操られるよりは、自 分がどのような立場を取っているか、それを明確に意識した上で、とるべき行動を判断する方 が望ましいはずです。(「あとがき」より)
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