『木本植物の被食防衛 ~変動環境下でゆらぐ植食者との関係 ~ 』の詳細情報

木本植物の被食防衛
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タイトル 木本植物の被食防衛
サブタイトル 変動環境下でゆらぐ植食者との関係
著者 [著者区分]■小池 孝良 [編集]
■塩尻 かおり [編集]
■中村 誠宏 [編集]
■鎌田 直人 [編集]
■小池 孝良 [編集]
出版社 共立出版 レーベル
本体価格
(予定)
3600円 シリーズ
ページ数 280p Cコード 3045
発売予定日 2023-03-25 ジャンル 専門/単行本/生物学
ISBN 9784320058408 判型 A5
内容紹介
樹林地保全のために生物多様性保全に関する基礎情報を提供する。

近年の温暖化を含む環境激変下での森林植物と昆虫類の相互作用に関して、特に植物の防衛に焦点をあて、昆虫類や昆虫の食害活動を植物が巧妙に防ごうとする姿(被食防衛)を解説する。本書を通して、樹林地保全を目指した生物多様性保全に関する基礎情報を提供する。具体的には、変動環境下での植物-昆虫間の関係性、ナラ枯れやマツ材線虫病への話題、植物の環境要因(高CO2、窒素沈着、対流圏オゾンなど)への応答、そして対策としての環境教育と森造りについて、樹木生理解剖学から群集生態学レベルの視点までのトピック(コラムも含め)を集結させた。
前線で調査を行っている約50名の研究者による解説書であるため、実験の詳細や、現象としてそれぞれがどのようなものなのかなど具体例が記述されていることが特徴である。虫害をはじめ緑地の保全・保護に資する資料も提供しており、本書が植物生態学・保全生態学、森林保護学を学ぶ学生から現場の実務者まで、今後の変動環境への戦略に向けた必携書となることを期待する。
目次
第1章 変動環境と木本植物の応答
1. 1 変動環境と被食防衛
 1. 1. 1 無機環境と木本植物
 1. 1. 2 無機環境変化
 1. 1. 3 成長に伴う防御能力と無機環境ストレス
 1. 1. 4 複合影響の作用 ―窒素を例に
1. 2 被食防衛の原理
 1. 2. 1 固着性生物・植物の被食防衛
 1. 2. 2 多様な被食防衛
 1. 2. 3 植物の被食防衛をめぐる様々な仮説
 1. 2. 4 環境変動が被食防衛機構にもたらす影響予測
 1. 2. 5 天敵の役割 ―ブナの例
 1. 2. 6 寄生バチと植食者
1. 3 植物の香り
 1. 3. 1 誘導的な香りと恒常的な香り
 1. 3. 2 誘導的な香りの機能(1) 昆虫に対して
 1. 3. 3 誘導的な香りの機能(2) 病気に対して
 1. 3. 4 誘導的な香りの機能(3) 植物に対して
 1. 3. 5 地上部と地下部のクロストーク
1. 4 樹皮の構造と機能
 1. 4. 1 基本構造のあらまし
 1. 4. 2 被食防衛に関与する構造・含有物
1. 5 地球温暖化と樹木の形成層活動
1. 6 昆虫による地下部の食害
 1. 6. 1 土壌の環境要因が樹木-植食者相互作用に与える影響
 1. 6. 2 樹木に影響する地下部の植食者
 1. 6. 3 樹木根の特徴と植食者との関係
 1. 6. 4 樹木根の防衛の仕方と環境要因
参考文献

第2章 主要病虫害
2. 1 ナラ枯れ
 2. 1. 1 カシノナガキクイムシの生態
 2. 1. 2 寄主探索様式
 2. 1. 3 近年の被害拡大の要因
 2. 1. 4 被害の把握と防除
2. 2 カシノナガキクイムシの加害とナラ菌感染に関与するシグナル伝達物質
2. 3 マツ材線虫病
 2. 3. 1 侵略的外来種 ―それはアメリカからやってきた
 2. 3. 2 マツ枯れ被害発生 ―その鍵を握るのは
 2. 3. 3 対策案 ―マツ枯れの拡大をどう防ぐか
 2. 3. 4 マツ林の将来
2. 4 森を動かす菌根共生
 2. 4. 1 菌根菌と植物の共生
 2. 4. 2 海岸クロマツの菌根共生 ―菌根共生の危機はクロマツの危機
 2. 4. 3 菌根タイプと植物群落の形成
 2. 4. 4 植物間相互作用を仲介する菌根菌の菌糸ネットワーク
 2. 4. 5 気候変動と菌根共生
 2. 4. 6 持続性社会と菌根菌
2. 5 クビアカツヤカミキリ
 2. 5. 1 害虫としてのカミキリムシ
 2. 5. 2 クビアカツヤカミキリの生態と加害の特徴
 2. 5. 3 クビアカツヤカミキリの日本への侵入と対策の経緯
 2. 5. 4 クビアカツヤカミキリの防除
 2. 5. 5 被害段階ごとの対策方針
2. 6 ニレ類立枯病
 2. 6. 1 ニレ類立枯病の伝染環
 2. 6. 2 世界的な被害の拡大
 2. 6. 3 ニレ類立枯病のベクター
参考文献

第3章 環境変化と応答
3. 1 CO2
 3. 1. 1 高CO2濃度環境下での葉の被食防衛
 3. 1. 2 高CO2や高O3 環境で生産された落葉と分解者
3. 2 温暖化(気温上昇)
 3. 2. 1 地球温暖化の高木に生息する昆虫への影響
 3. 2. 2 複数の手法の合わせ技
3. 3 低温と攪乱環境
 3. 3. 1 生物季節
 3. 3. 2 攪乱に対する植物の環境応答 ―葉の生理解剖学の視点から
 3. 3. 3 山火事と穿孔虫
3. 4 窒素沈着
 3. 4. 1 窒素沈着が共生菌の活動に及ぼす影響
 3. 4. 2 虫害・葉の形態と窒素
3. 5 香気シグナル攪乱物質としての対流圏オゾン ―植物由来香気成分がつなぐ植物-昆虫間コミュニケーションへの影響
 3. 5. 1 O3による食害発生の変動
 3. 5. 2 O3が植物-昆虫間コミュニケーションに及ぼす影響
 3. 5. 3 O3による生態系へのリスクと課題
3. 6 元素集積と被食防衛
3. 7 放射性物質と森林・樹木
 3. 7. 1 森林域での取り組み
 3. 7. 2 アブラムシにおける形態異常
 3. 7. 3 クモへの汚染
参考文献

第4章 傷害や虫害に対する樹木の応答
4. 1 個体レベルの応答
 4. 1. 1 食害の程度,時期と二次展葉
 4. 1. 2 食害後の枯死,樹冠衰退
 4. 1. 3 年輪に刻まれる食害の特徴
 4. 1. 4 年輪情報を指標とした食葉性昆虫の発生履歴の推定
4. 2 組織構造レベルでの応答
 4. 2. 1 植物ホルモンによる樹脂道の誘導
 4. 2. 2 失葉による木質形成の変化
 4. 2. 3 樹勢回復における根の力
参考文献

第5章 群集 ―様々な生物の関わり
5. 1 樹洞木,立枯れ木が生態系に及ぼす影響
 5. 1. 1 樹洞利用種と植食性昆虫の関係
 5. 1. 2 立枯れ木の管理と環境変動に強い森林の造成
5. 2 増加したシカと植生変化
 5. 2. 1 増える日本のシカ
 5. 2. 2 シカの増加と森林生態系の変化
 5. 2. 3 シカ存在の有無と植生の回復
5. 3 繁殖器官 ―ドングリ
5. 4 植物に関わる地上部と地下部の生物群集と群集遺伝学
 5. 4. 1 植物の種内変異と生物間相互作用
 5. 4. 2 節足動物群集への植物の遺伝的変異の効果
 5. 4. 3 遺伝的類似則と野外の樹木の上の昆虫群集
 5. 4. 4 地下部と地上部の関わり
5. 5 線虫食のきのこ
参考文献

第6章現場へのアプローチ ―森林・樹木の管理,環境教育,里山保全
6. 1 森林・樹木の管理と環境教育
 6. 1. 1 「植物と昆虫の食う-食われる」と人々の暮らし
 6. 1. 2 森林の管理
 6. 1. 3 樹木の管理
 6. 1. 4 環境教育
 6. 1. 5 身近な教材
6. 2 雑木林の管理
 6. 2. 1 日本における広葉樹造林と広葉樹の特徴
 6. 2. 2 広葉樹造林の種類・目的
 6. 2. 3 広葉樹林・雑木林の管理の手法と留意点
 6. 2. 4 雑木林管理の課題
 6. 2. 5 広葉樹造林の課題
6. 3 環境教育と森づくり ―「龍谷の森」から
 6. 3. 1 「龍谷の森」とは
 6. 3. 2 里山とは
 6. 3. 3 学びの場の創出
 6. 3. 4 「里山学」の誕生
参考文献

あとがき

索引

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コラム

第1章
昆虫の大発生
前近代の虫害対応
紫外線と被食防衛
アリ防御
農作物の保護管理 ―生物間のバランスを使った作物の管理
「森の木々の香りコミュニケーション」 ―香りはどこまで届く?
“香りブレンド”を用いた植物種間での天敵の取り合い

第2章
カシノナガキクイムシの命名者
明治神宮内苑のナラ枯れ
ツヤハダゴマダラカミキリ
“クビアカ”の蔓延を防ぐ ―周知の重要性

第3章
ブナに見られる葉内の被食防衛物質の局在
絵描き虫の不思議
落葉と分解者
高濃度CO2環境におけるミズナラ萌芽のうどんこ病感染
リモートセンシングによる被食防衛モニタリング
年輪に刻まれた北方林の厳しい環境と虫害の記録
高CO2大気環境下での低温害
葉における被食防衛応答
シュート形成と葉の前形成
葉の内部構造とその機能的な役割
過剰窒素の毒性か? ―カリフラワーの事例
土壌養分と被食防衛物質の樹冠内分布 ―コナラの事例
セシウム(Cs)の土壌への吸着

第4章
Shigo の隔室化理論

第5章
ツリーシェルター
シカの出没を予測する ―シカ出現予測アプリの開発
ワラジムシの力 ―タンナーゼの働き
ゲノミクスを活用したゲノムワイド関連解析
環境DNAを利用した「食う-食われる」関係解明の可能性
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