『夜明け前のセレスティーノ』の詳細情報

夜明け前のセレスティーノ
AmazonカートAmazonで予約する
タイトル 夜明け前のセレスティーノ
サブタイトル
著者 [著者区分]■レイナルド・アレナス [著・文・その他]
■安藤哲行 [翻訳]
出版社 国書刊行会 レーベル
本体価格
(予定)
2600円 シリーズ
ページ数 328p Cコード 0097
発売予定日 2023-02-28 ジャンル 一般/単行本/外国文学小説
ISBN 9784336074683 判型 46変形
内容紹介
【国書刊行会 創業50周年記念復刊】
〈真の創造の奇跡〉を、ここにふたたび。

〈この家はいつも地獄だった。みんな死んでもないのに、もうここでは死んだ人たちの話ばっかり。……でも暮らしがほんとに悪くなったときだった。セレスティーノが詩を書こうと思いついたのは。かわいそうなセレスティーノ! いまぼくには彼が見える。居間のドアの陰に坐って両腕を引き抜いている……〉
母親は井戸に飛びこみ、祖父は自分を殺そうとする。
寒村に生きる少年の目に鮮やかに映しだされる、現実と未分化なもう一つの世界。
ラテンアメリカの魔術的空間に、少年期の幻想と悲痛な叫びが炸裂する!
『めくるめく世界』『夜になるまえに』のアレナスが、さまざまな手法を駆使して作り出した奇跡の傑作。

『夜明け前のセレスティーノ』はリズムである。
ちょうどその著者がリズムであったように――ファン・アブレウ

***

〈アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス……
斧(アチャス)の音がしないとぼくは眠れない。止まるな!
 止まるな!
 止まるな!〉

〈「斧(アチャス)はどんな音たてる?」
 「パスッって音、まるで空中で鳴きつづけてる霊みたいに」
 
 「斧(アチャス)はどんな音たてる?」
 「パスって音……。パスッ……」〉

***

少年期を、そしてキューバの生活を描いた最も美しい小説の一つ。
 カルロス・フエンテス(作家)

この並外れた小説を読むことは創造の真の奇跡と接触することだった。新鮮な爽やかさへ、旧態を打破するような恐れを知らない屈託のなさへと通じる空間にわたしを近づけてくれたのだ。危険にみちた領域に。
……いま日本の読者の手に届くこの本は、思春期の輝かしい時代に、このうえない教訓をわたしに与えてくれた。つまり、「本当の文学とはわたしたちを変わり者にする文学、わたしたちを危険にさらす文学である。書くことはひとつの仕事ではなく、呪わしい儀式なのだ」という。
 フアン・アブレウ(作家/画家)
 —―本書日本語版のための特別エッセイ「ハバナの奇跡」より

 『夜明け前のセレスティーノ』をどう語ったらいいか。濃緑の草がしゃべり出したような本だ。木の幹に詩を書くセレスティーノと、彼のいとこ「ぼく」。むきだしの生と死、暴力と抑圧。自由と抵抗の根っこには「詩」がある。叩きつけるリズムが日本語に乗り移った。
 小池昌代(詩人/作家)
 ――『私が選ぶ国書刊行会の3冊 国書刊行会創業50周年記念小冊子』より
目次
夜明け前のセレスティーノ

ハバナの奇跡(フアン・アブレウ)
訳者あとがき(安藤哲行)
新装版に寄せて(安藤哲行)
著者略歴(レイナルド・アレナス)
レイナルド・アレナス
1943年、キューバの寒村に生まれる。作家・詩人。1965年、『夜明け前のセレスティーノ』が作家芸術家連盟のコンクールで入賞しデビュー。翌年の『めくるめく世界』も同様に入賞したものの出版許可はおりなかった。だが、秘密裏に持ち出された原稿の仏訳が1968年に仏メディシス賞を受賞し、海外での評価が急速に高まる。ただ、政府に無断で出版したことから、その後いっそうカストロ政権下での立場が悪化。そうした国内での政治的抑圧や性的不寛容から逃れるため、1980年、キューバを脱出しアメリカに亡命する。主な作品には『夜明け前のセレスティーノ』から続く5部作《ペンタゴニア》(『真っ白いスカンクどもの館』『ふたたび、海』『夏の色』『襲撃』)『ドアマン』『ハバナへの旅』、詩集『製糖工場』『意思表明をしながら生きる』、自伝『夜になるまえに』などがある。1990年、ニューヨークにて自死。
著者略歴(安藤哲行)
安藤哲行
1948年岐阜県生まれ。ラテンアメリカ文学研究者。摂南大学名誉教授。著書に『現代ラテンアメリカ文学併走』(松籟社)、訳書に、レイナルド・アレナス『夜になるまえに』『夜明け前のセレスティーノ』、ルイス・セプルベダ『パタゴニア・エキスプレス』(いずれも国書刊行会)、マヌエル・プイグ『天使の恥部』(白水社)、カルロス・フエンテス『老いぼれグリンゴ』、ホルヘ・ボルピ『クリングゾールをさがして』、マリアーナ・エンリケス『わたしたちが火の中で失くしたもの』(いずれも河出書房新社)、エルネスト・サバト『英雄たちと墓』(集英社)、レイナルド・アレナス『ハバナへの旅』、マルタ・トラーバ『陽がかよう迷宮』(いずれも現代企画室)、フアン・ホセ・アレオラ『共謀綺談』(松籟社)、ホセ・エミリオ・パチェーコ『メドゥーサの血』(まろうど社)などがある。
他の書籍を検索する