『恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか』の詳細情報
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タイトル |
恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか |
サブタイトル |
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著者 [著者区分] | 西原 志保 [著・文・その他]
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出版社 |
春秋社 |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
2000円 |
シリーズ |
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ページ数 |
248p
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Cコード |
0095 |
発売予定日 |
2024-09-04 |
ジャンル |
一般/単行本/日本文学、評論、随筆、その他 |
ISBN |
9784393441718 |
判型 |
46 |
内容紹介 |
華々しい恋愛物語だけが『源氏物語』じゃない!!!
光源氏の妻でありながら、恋愛に消極的なことから「幼い」「空虚」な人物とされてきた女三の宮。しかし、アセクシュアル・アロマンティックなど様々な性のあり方があることからも分かるように、恋愛しないことが未熟や空虚であるということを意味しません。 現在でも、恋愛してないとプライヴェートが充実していないと見なされたり、恋愛から人間の内面を読み解こうとしたり、恋愛中心の人間観がいまだに浸透しています。 ヘテロセクシュアルの男女を前提とする近代の価値観を相対化し、『源氏物語』『紫式部日記』などの古典文学に加え、現代のドラマや漫画を読み直すことで、現代に生きる人々のセクシュアリティやアイデンティティ、仕事とプライヴェートの境界、家族・結婚や親密圏のあり方などの問題を解きほぐしていきます。
装幀:高木達樹 装画:カシワイ
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目次 |
まえがき
はじめに セクシュアリティとアイデンティティ 物語と「作者」 物語と文化的背景 平安時代の「セクシュアリティ」は多様だったのか 古典作品を現代的な観点から読むこと セクシュアリティとアイデンティティ 「セクシュアリティ」や「アイデンティティ」のようなもの 身と我 平安時代の身と心 現代における身と心 恋はプライヴェートではない 「女流日記文学」と「私小説」 一人称「私」と公/私の布置 仕事と公/私 「内面」という言葉 アクチュアルなものとしての古典
第1章 仕事で恋愛をすること――現代におけるセクシュアリティとアイデンティティ 1 はるな檸檬『ダルちゃん』 内面と擬態 擬態と仕事 仕事と恋愛 アロマンティック・アセクシュアルにとっての仕事とプライヴェート オフィシャルなプライヴェート 商品化されない自己の領域 2 『逃げるは恥だが役に立つ』の仕事とプライヴェート みくりにとっての感情と仕事 『逃げ恥』の新しさと古さ 3 『恋せぬふたり』における「家族」 セクシュアリティの物語 仕事と「好き」 「好き」を仕事に全振りしてしまったら、プライヴェートに何が残るのか 「好き」ではないプライヴェートとしての「家族」 現代におけるセクシュアリティとアイデンティティ
第2章 心と体で分けられた自己――『源氏物語』のアイデンティティ 『源氏物語』のあらすじ 恋愛しない女三の宮 「内面」のように見えるもの 『源氏物語』の「身」と「心」 「我は我」 「同じ心」と「我は我」 同じ心 「心を分く」 宇治十帖のあらすじ 宇治十帖における「同じ心」 『源氏物語』のアイデンティティ
第3章 融合する身体――宇治十帖のアイデンティティ① はじめに 分身 薫の「身を分く」 身を分けた相手に心を譲る 「身」と「衣」 同じ枝 同じ身 和歌表現「同じ身」 「身を分く」から「同じ身」へ 身ども おわりに
第4章 浮舟の変身――宇治十帖のアイデンティティ② はじめに 浮舟の最後の歌 「かはれる身」 『落窪物語』の「変はらぬ身」と裁縫 身代わりとしての衣 浮舟と分身 「魂」と「もののけ」 浮舟ともののけ 浮舟の魂 我にもあらず 「我は我」 おわりに
第5章 セクシュアリティを自認しない世界――『源氏物語』のセクシュアリティ 女三の宮の「セクシュアリティ」 末摘花のセクシュアリティ 宮の御方の結婚拒否 宮の御方のセクシュアリティ 「女」であることの無自覚 「女の身」意識 『源氏物語』研究とジェンダー 「女にて見たてまつらまほし」 小君との関係 須磨巻のホモソーシャリティ 六条院は異性愛の帝国か――ポリアモリーについて 最小の結婚 男女における規範の差 ポリアモリーとアセクシュアル、アロマンティック
第6章 作者と作品を結びつけること――紫式部のセクシュアリティ 1 紫式部は「同性愛者」だったのか 『紫式部日記』と『紫式部集』 「エス」と『紫式部集』 「つがひし鴛鴦」と同僚への愛 少女たちの享受 2 「紫式部」の恋愛 物語と作者 『紫式部集』四番歌、五番歌 「性愛」の意味 3 水の上の戯れ 『紫式部集』冒頭部分 水底の交流 水の上の戯れ おわりに
おわりに |
著者略歴(西原 志保) |
東北大学文学部・大学院文学研究科現代日本学専修助教。博士(文学)。 1980年香川県生まれ。2009年3月、名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。名古屋大学高等教育研究センター研究員、国立国語研究所研究員、共愛学園前橋国際大学非常勤講師などを経て、2022年10月より現職。単著に『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』(新典社新書、2017年)、近年の論考に「自然/人工と生殖:『源氏物語』における動物と人形」(『文学・語学』235号、2022年8月)、「『恋せぬふたり』におけるインターセクショナリティと「家族」」(『物語研究』24号、2024年3月)がある。 もともとの専門は平安文学だが、恋愛や生殖に忌避的な女性の感性に注目し、日本近現代文学・文化も対象とする。現在の研究テーマは、動物・植物・人形表象。 |