『日本語の外へ』の詳細情報

日本語の外へ
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タイトル 日本語の外へ
サブタイトル
著者 [著者区分]片岡 義男 [著・文・その他]
出版社 筑摩書房 レーベル
本体価格
(予定)
1600円 シリーズ ちくま文庫
ページ数 640p Cコード 0195
発売予定日 2024-12-12 ジャンル 一般/文庫/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN 9784480439994 判型 文庫(A6)
内容紹介
湾岸戦争をアメリカのTV放送だけで追ってみる、という試みから始まった本書は、アメリカを突き動かす英語という言葉の解明へと焦点を移していく。母国語によって人は規定され、社会は言葉によって成立する。たえず外部を取りこみ攻撃し提案していく動詞中心の英語に対し、日本語とは自分を中心とした利害の調整にかまける言葉だと著者は結論付ける。
言語にはそれぞれ美点と歪みがある。日本語のなかで生きる私たちは日本語という「歪み」を通してしか考えられない。「戦後」という時空間は、実はその「歪み」そのものなのだ。ではその歪みから自由になることはできるのだろうか。「歪み」を熟知したうえで「歪み」を駆使すれば、日本語の外へでていくことはできる、と著者は書く。英語と日本語への熟考が、やがて読み手を世界の認識の根源まで導く鮮やかな思考の書。

1997年は加藤典洋の『敗戦後論』と片岡義男のこの本の出現で画期的な年として記憶されることになるだろうと思った。(高橋源一郎『退屈な読書』より)

カバーデザイン 杉山健太郎
目次
第1部 アメリカ
 湾岸戦争を観察した
  八月二日、軽井沢、快晴
  犬にでもくれてやれ 
  ウエイ・オヴ・ライフを守る 
  町を囲んだ黄色いリボン 
  「日本はアメリカとともにあります」と首相は言った 
  「神の目から見れば」 
  仕事をすませて家へ帰ろう 
  大統領の得点 
  帰って来る死体の映像 
  ヘリコプターは上昇し飛び去った 
  メモリアル・デイにまた泣く 
  第九条 
 フリーダムを実行する 
  個人主義にもとづく自由と民主の視点 
  真実はまだ明かされない
 遠近法のなかへ
  『クレイジー』というテーマ曲 
  エルヴィス・プレスリー・エコノミックス 
  現状は好転していかない 
  「彼らはとにかく頑固だよ」 
  ラディカルさの筋道 
  ヒラリー・ロダム 
  ヴァージニア・ケリーの死 
  グレン・ミラー楽団とともに 
  もっとも良く送られた人生 
  大統領が引き受けたこと 
  小さく三角形に折りたたんだ星条旗 
  煙草をお喫いになりますか 
  午後を過ごす最高の場所 
  キノコ雲の切手 
  ジープが来た日
  ちょっと外出してピストルを買って来る 
  キャロル・ホルトグリーン 

第2部 日本語
 世界とは母国語の外のこと
  薄い皮だけがかろうじて英語
  懐かしいネガティヴ・ステレオタイプ 
  頭のなかが日本語のままの英語
  「モースト・インポータント」とは? 
 母国語の呪縛の外へ 
  IとYOUの世界 
  生まれながらにして客観をめざす言葉 
  現実のしがらみと「私」 
  利害の調整、という主観の世界
  動詞とは個人の責任のことだ 
  話しかたと聞きかたの洗練 
  アメリカ国内文脈ではなく、世界文脈の英語を 
 母国語の性能が浪費される日々 
  人生のすべては母国語のなかにある 
  母国語は「いつのまにか自然に」身につくか 
  母国語の性能と戦後の日本 
  江戸から円高まで――日本という試み 
  あらかじめ約束されていた結果 
 ペシミズムを越えようとしていいのか 
  資本主義への合流車線
  遠く懐かしい文化論の時代 
  真の文化とは時間の蓄積だ 
  僕の国は畑に出来た穴だった 

解説 高橋源一郎
著者略歴(片岡 義男)
片岡 義男(かたおか・よしお):1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、1974年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。1975年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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