『文化的記憶 ~古代地中海諸文化における書字、想起、政治的アイデンティティ ~ 』の詳細情報

文化的記憶
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タイトル 文化的記憶
サブタイトル 古代地中海諸文化における書字、想起、政治的アイデンティティ
著者 [著者区分]■ヤン・アスマン [著・文・その他]
■安川 晴基 [翻訳]
出版社 福村出版 レーベル
本体価格
(予定)
6300円 シリーズ
ページ数 424p Cコード 3010
発売予定日 2024-07-01 ジャンル 専門/単行本/哲学
ISBN 9784571300424 判型 A5
内容紹介
文化における想起と忘却の営みがもつダイナミズムに関する画期的な著作を邦訳。文書が集団のアイデンティティや国家・宗教の発生に与えた意味に関する分析は必読である。
目次
〔ドイツ語版〕緒言(一九九二年)
〔英語版〕緒言(二〇一〇年)
序 論

第一部 理論的基礎
 第一章 想起の文化
  序 言
  1 過去の社会的構成――モーリス・アルヴァックス
   (1)個人的記憶と集合的記憶
   (2)想起の形象
   (3)記憶 対 歴史
   (4)まとめ
  2 集合的想起の諸形式――コミュニケーション的記憶と文化的記憶
   (1)「フローティング・ギャップ」――二つの記憶の様態(モーディー・メモランディー)
   (2)文化的記憶の最初の組織形式としての儀式と祝祭
   (3)想起の風景――「記憶の場所(ムネモトープ)」パレスチナ
   (4)過渡的形式
  3 文化的記憶の選択――「熱い」想起と「冷たい」想起
   (1)「歴史感覚」の神話
   (2)「冷たい」選択と「熱い」選択
   (3)支配と記憶の同盟
   (4)支配と忘却の同盟
   (5)記録――歴史の管理か意味づけか
   (6)絶対的な過去と相対的な過去
   (7)想起の神話原動力
 第二章 文字文化
  1 儀式による一貫性からテクストによる一貫性へ
   (1)反復と解釈
   (2)儀式による繰り返しと解釈による現在化
   (3)初期の文字文化――伝統の流れ
   (4)カノン化と解釈
   (5)反復と変異
  2 カノン――概念の明確化
   (1)古代の語義の歴史
   (2)より新しい語義の歴史
   (3)まとめ
 第三章 文化的アイデンティティと政治的想像力
  1 アイデンティティ、意識、再帰性
   (1)人としてのアイデンティティと集合的アイデンティティ
   (2)基本構造と強化形態
   (3)アイデンティティ、コミュニケーション、文化
  2 民族の生成(エスノジェネシス)――集合的アイデンティティの基本構造の強化
   (1)統合と中心性
   (2)区別と平等

第二部 事例研究
 序 言
 第四章 エジプトと国家の発明
  1 エジプトの文字文化の基本的特徴
   (1)統合の神話原動力
   (2)「記念碑的言説」――権力と永遠の文字
   (3)カノンとアイデンティティ
  2 「カノン」としての末期神殿
   (1)神殿と書物
   (2)神殿のノモス
   (3)プラトンとエジプトの神殿
 第五章 イスラエルと宗教の発明
  1 抵抗としての宗教
   (1)「青銅の壁」の建設――正統実践による境界設定にいたるイスラエルとエジプトの道
   (2)想起の形象としてのエクソドス
   (3)記憶を形作る想起の共同体としての「ヤハウェのみ運動」
   (4)抵抗としての宗教――(自)文化との対立から生まれた宗教
   (5)ペルシアの文化政策としての伝統の回復
  2 想起としての宗教――文化の記憶術の典型としての申命記
   (1)忘却の衝撃――文化の記憶術の創始伝説
   (2)想起の危機と、忘却の社会的条件
 第六章 法の精神からの歴史の誕生
  1 罰と救助を主調として歴史を記号化すること
   (1)結びつける正義(ユースティティア・コネクティーウァ)
   (2)紀元前一三〇〇年頃のヒッタイトの歴史記述
   (3)救助を主調として歴史を記号化すること
  2 意志の神学を主調として歴史を神学化すること――「カリスマ的出来事」から「カリスマ的歴史」へ
   (1)記号と奇跡――歴史を神学化する第一段階としてのカリスマ的出来事
   (2)歴史を神学化する第二段階としてのカリスマ的歴史
   (3)罪の系譜学
 第七章 ギリシアと思考の規律化
  1 ギリシアと文字文化の結果
   (1)アルファベットの文字体系
   (2)文字体系と文字文化
  2 ホメロスとギリシアにおける民族の生成(エスノジェネシス)
   (1)ホメロスによって想起された英雄時代
   (2)ホメロスを想起すること――古典と擬古典主義
  3 ヒュポレープシス――ギリシアにおける文字文化と理念の進化
   (1)ヒュポレープシスによって言説を組織する諸形式
   (2)権威と批判を制度化するヒュポレープシスのプロセス
   (3)思考には歴史があるか――ヒュポレープシスのプロセスとしての精神史
 文化的記憶――総括の試み

訳者解説

[原題]Das kulturelle Gedächtnis: Schrift, Erinnerung und politische Identität in frühen Hochkulturen
著者略歴(ヤン・アスマン)
※初版刊行時のものです
ヤン・アスマン(Jan Assmann)
1938年生まれ。世界的に著名なドイツのエジプト学者・宗教学者・文化学者。アライダ・アスマンとともに「文化的記憶」のコンセプトを提唱し、1990年代以降の人文学における「記憶論的転回」を牽引。また、一神教の誕生が西洋文明にとって有する根源的意義について、古代から現代までを遠望しながら考察。1976年から2003年までハイデルベルク大学エジプト学教授。そのほか、コレージュ・ド・フランス、イェール大学、ヘブライ大学、シカゴ大学、コンスタンツ大学などの客員教授を歴任。ドイツ歴史家賞(1998)、ドイツ出版協会平和賞(2018、アライダ・アスマンとともに)、プール・ル・メリット平和勲章(2020)、ドイツ連邦共和国功労勲章・大功労十字星章(2022)など輝かしい受賞・受勲歴を誇る。2024年没。本書『文化的記憶』のほか著書多数。邦訳書に『エジプト――初期高度文明の神学と信仰心』(関西大学出版部、1998)、『エジプト人モーセ――ある記憶痕跡の解読』(藤原書店、2017)がある。
著者略歴(安川 晴基)
※初版刊行時のものです
安川晴基(やすかわ・はるき)
名古屋大学大学院人文学研究科准教授。専攻はドイツ文学。著書に『虚構の形而上学――「あること」と「ないこと」のあいだで』(共著、春風社、2015)、『古代地中海世界と文化的記憶』(共著、山川出版社、2022)、訳書にアライダ・アスマン『想起の空間――文化的記憶の形態と変遷』(水声社、2007、新装版2023)、同『想起の文化――忘却から対話へ』(岩波書店、2019)などがある。
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