山川山荘から岡山の住宅、熊本県営保田窪第一団地へ。家族という単位を「共同体内共同体」として空間モデルから問いなおし、ビルディングタイプ=制度の臨界点へと踏み入った20年間(プラス10年)の記録。新たな「コモン」を探る思索と実践。2024年、プリツカー建築賞受賞者の原点がここに。解説・原武史。
【目次】 はじめに
1 住居論 住宅擬態論 住居シミュレーション 形式としての住居 パブリック/プライベートは空間概念である 〈閾〉という概念をめぐって
2 住居計画 私的建築計画学 破産都市
3 『住居論』以後 建築は仮説にもとづいてできている 痴呆性老人のための施設 看護・福祉は社会システムである ネットワークの建築 建築は隔離施設か 建築の社会性
4 領域論 領域論試論 閾論1 閾論2 〈ルーフ〉に関する考察
あとがき 平凡社ライブラリー版あとがき 新版あとがき
解説 原武史
【著者略歴】 山本理顕(やまもと・りけん) 1945年中国北京生まれ。建築家。1971年、東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。東京大学生産技術研究所原広司研究室研究生を経て1973年、山本理顕設計工場設立。2002-07年、工学院大学教授、2007-11年、横浜国立大学大学院教授、2018-22年、名古屋造形大学学長、2022-24年、東京藝術大学客員教授。2024年より神奈川大学客員教授、横浜国立大学名誉教授・名誉博士、日本大学名誉教授・名誉博士(工学)。おもな作品に山川山荘(1977)、GAZEBO(1986)、ROTUNDA(1987/GAZEBOとともに「雑居ビルの上の住居」として日本建築学会賞作品賞)、熊本県営保田窪第一団地(1991)、岡山の住宅(1992)、岩出山中学校(1996/ 毎日芸術賞)、埼玉県立大学(1999/ 日本芸術院賞)、公立はこだて未来大学(2000/ 日本建築学会賞作品賞)、東雲キャナルコートCODAN1街区(2003)、横須賀美術館(2006)、横浜市立子安小学校(2018)、名古屋造形大学(2022)ほか。著書『細胞都市』(INAX出版1993)『住居論』(住まいの図書館出版局/ 増補改題『新編 住居論』平凡社ライブラリー2004/本書)『建築の可能性、山本理顕的想像力』(王国社2006)『権力の空間/ 空間の権力』(講談社選書メチエ2015)、編著『徹底討論 私たちが住みたい都市』(平凡社2006)、共著『地域社会圏主義』(INAX出版2012/ 増補改訂版、LIXIL出版2013/TWO VIRGINS 2023)ほか。2024年、プリツカー賞、文化庁長官表彰(国際芸術部門)、神奈川文化賞受賞。
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