『形象・偶像・仮面 ~コレージュ・ド・フランス 宗教人類学講義 ~ 』の詳細情報
Amazonで予約する
|
タイトル |
形象・偶像・仮面 |
サブタイトル |
コレージュ・ド・フランス 宗教人類学講義 |
著者 [著者区分] | ■前田耕作 [解説] ■ジャン=ピエール・ヴェルナン [原著] ■上村くにこ [翻訳] ■饗庭千代子 [翻訳]
|
出版社 |
みすず書房 |
レーベル |
|
本体価格 (予定) |
6000円 |
シリーズ |
|
ページ数 |
320p
|
Cコード |
1010 |
発売予定日 |
2024-08-19 |
ジャンル |
教養/単行本/哲学 |
ISBN |
9784622096917 |
判型 |
46 |
内容紹介 |
なぜ神々は人間の形で表現されたのか。 冥界に消えた死者たちはどう描かれたか。著者はイメージの歴史人類学をめざして、神話と論理の間にイメージ=第三の軸を置いた。それはレヴィ=ストロースが無文字社会で展開した「宗教形象」を、古代ギリシアに適応する試みでもあった。 フランスきっての古代ギリシア研究の泰斗による九年間の講義集である。 ギリシア人は原石・柱・仮面・動物・怪物などに神が宿っていると考えた。神の力がそうした「偶像」に光を送り、シンボルになって人間に話しかけた。やがて偶像が儀式で用いられなくなり、見られるだけの存在になると、宗教的なシンボルはたんなるイメージへと移行した。イメージをフィクションとしてとらえたのがプラトンであり、それは芸術と呼ばれるものへの道を開いた。 さらに考古遺物、碑文、テクスト、図像などの資料を駆使して、仮面の神であるゴルゴン、アルテミス、ディオニュソスを追った。超自然の出現を告げる仮面を目印に、ギリシアの多神教の異教的根源が明らかになっていく。 各セクションの末尾には、共同研究の演習に集った発表者たちの広範なテーマを記載し、宗教人類学の課題と可能性を指し示している。
|
目次 |
梗概 前田耕作
はじめに
第一部 第一章 造形のシンボル 1 シンボルの働きと形象 2 ギリシアのケース 3 コロッソス
第二章 死者たちの像 I 1 エイドーロン――分身からイメ―ジへ 2 ポトス、喪に服す欲望 3 美しい死者
第三章 死者たちの像 II 1 死者を歌い、死者の像を建てる 2 遺体のない墓――分身・身代わり・等価物
第二部 第四章 神々の像 I 1 ゴルゴンの仮面 2 仮面と鏡 3 ナルキッソスとディオニュソスの鏡
第五章 神々の像 II 1 アルテミスと野生の世界 a 背景 b 狩猟、動物、植物 2 若者の育成者であり、処女神であるアルテミス 3 アルテミス・ロキア(出産の神アルテミス) 4 アルテミスと戦争 5 アルテミスとアルクテイア 6 奇妙な偶像 7 成人儀礼 8 人身御供 9 ブラウロンで雌熊を演じる 10 アルテミス・オルティアとラケダイモンの教練
第六章 神々の像 III 1 ディオニュソス、仮面をつけた神 2 『バッコスの信女』と仮面をつけたディオニュソス
訳者あとがき
人名索引 古典書目索引 |
著者略歴(前田耕作) |
(まえだ・こうさく) 1933-2022。名古屋大学文学部哲学科美術・美術史専攻。和光大学名誉教授・東京芸術大学客員教授・アフガニスタン文化研究所所長。ユネスコ・アフガニスタン文化遺産保護国際調整委員、古代オリエント博物館評議員などを歴任。アジア・オリエント諸地域において学術調査を行い、バーミヤン遺跡の保存・修復事業に参加。象徴図像学や史料解読を駆使して東洋・西洋の文化交流を研究した。著書に『巨像の風景 インド古道に立つ大仏たち』(中公新書)、『アジアの原像 歴史はヘロドトスとともに』(NHKブックス)、監訳に『デュメジル・コレクション』(ちくま学芸文庫)など、著書・訳書多数。エミール・バンヴェニスト『インド=ヨーロッパ諸制度語彙集』の翻訳監修で日本翻訳文化賞受賞。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 |
著者略歴(ジャン=ピエール・ヴェルナン) |
(Jean-Pierre Vernant) 1914-2007。フランスのプロヴァンに生まれる。地方新聞の編集長だった父は志願兵として第一次世界大戦で戦死、母も8歳で失う。ソルボンヌ大学に入学、共産党青年団に加盟し、第二次世界大戦中はレジスタンスに参加、内地フランス軍の指揮を執る。48年から国立科学研究所研究員、社会科学高等研究院をへて、75-84年、コレージュ・ド・フランス教授。専攻はギリシア神話および思想史。邦訳された著書に『ギリシャ思想の起源』(原書 1962、みすず書房、1970)『ギリシア人の神話と思想──歴史心理学研究』(1965、国文社、2012〉『プロメテウスとオイディプス――ギリシァ的人間観の構造』(1974年の来日講演集、みすず書房、1978)『眼の中の死――古代ギリシアにおける他者の像』(1985、法政大学出版局、1993)。クロード・レヴィ=ストロースが『野生の思考』で展開した「宗教形象」の分析手法をヴェルナンは古代ギリシア文化に適応した。その考察の厳密さには幾何学を想わせる明晰性があると評せられた。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 |
著者略歴(上村くにこ) |
(うえむら・くにこ) 1944年生。大阪大学文学部仏文学科博士課程修了、パリ第四・ソルボンヌ大学博士号取得。甲南大学名誉教授。著書に『恋愛達人の世界史』(中央公論社)、『失恋という幸福』(人文書院)、『フランス流恋愛の作法』(PHP研究所)、『せつない恋の育て方』(同)『純愛コンプレックス』(大和書房)『白鳥のシンボリズム』(お茶の水書房)『性の崩壊』(フォー・ユー)『暴力の発生と連鎖』(編著、人文書院)、『死にぎわに何を思う 日本と世界の死生観から』(アートヴィレッジ)など。訳書に、エルネスト・ルナン『イエスの生涯』(共訳、人文書院)、エリザベート・バダンテール『XY 男とはなにか』(共訳、筑摩書房)『男は女 女は男』(共訳、筑摩書房)、アーヴィン・D・ヤーロム『死の不安に向き合う』(共訳、岩崎学術出版社)、ジャン=ピエール・ヴェルナン『ギリシア人の神話と思想』(共訳、国文社)など。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 |
著者略歴(饗庭千代子) |
(あいば・ちよこ) 1944年生。関西学院大学文学部仏文学科修士課程修了。元関西学院大学非常勤講師。著書に『フランス文学/男と女と』(共著 勁草書房)、『暴力の発生と連鎖』(共著、人文書院)、『フランスと日本・遠くて近い二つの国』(共編著、早美出版社)、上村くにことの共訳にエリザベート・バダンテール『XY 男とはなにか』(筑摩書房)『男は女 女は男』(同)、アーヴィン・D・ヤーロム『死の不安に向き合う』(岩崎学術出版社)、ジャン=ピエール・ヴェルナン『ギリシア人の神話と思想』(国文社)など。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 |