『台湾と沖縄 帝国の狭間からの問い ~「台湾有事」論の地平を越えて ~ 』の詳細情報

台湾と沖縄 帝国の狭間からの問い
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タイトル 台湾と沖縄 帝国の狭間からの問い
サブタイトル 「台湾有事」論の地平を越えて
著者 [著者区分]■駒込武 [編集]
■呉叡人 [著・文・その他]
■宮良麻奈美 [著・文・その他]
■張彩薇 [著・文・その他]
■加藤直樹 [著・文・その他]
■上里賢一 [著・文・その他]
■齊藤ゆずか [著・文・その他]
■元山仁士郎 [著・文・その他]
出版社 みすず書房 レーベル
本体価格
(予定)
3000円 シリーズ
ページ数 304p Cコード 0036
発売予定日 2024-10-15 ジャンル 一般/単行本/社会
ISBN 9784622097341 判型 46
内容紹介
米中対立の高まりを背景として、近年、「台湾有事」の可能性が現実味をもって議論されている。在日米軍基地の7割を抱える沖縄では、自衛隊の「南西シフト」構想のもと、さらなる軍事化が進む。前線に押し出された沖縄の人びとは、戦時には攻撃対象となるリスクを背負わされている。一方、中国による併合の意図に抗い、自主独立の現状を守りたい台湾にとって、日米の参戦は自らの防衛に有利にはたらく。このような地政学的構造から見たとき、台湾と沖縄は明らかに対峙する関係にある。
だが、歴史的に見れば、両者は、日本と中国という二つの大国の狭間で相似した運命をたどってきた。いまそれぞれが直面する危機も、元をたどれば、帝国による植民地支配や中央集権的包摂/排除に起因する側面が大きい。リアルな戦争に備えて生活空間の軍事化が進展している点においても、こうした境遇の自力での解決が困難な立場にある点においても、共通の課題をもつ。
台湾と沖縄――この〈帝国の狭間〉に置かれた人びとが、立場の違いを乗り越え、ともに平和である道はないのか? 日本の「本土」に暮らすわたしたちは、このようなジレンマを生みだす者としての当事者性を自覚したとき、どのように言葉を紡ぐことができるのか? 本書は、この問いを起点として、歴史認識と倫理的価値にもとづく〈同盟〉を模索する対話の試みである。
目次
〈I 帝国の狭間から考える〉
無意識の「大国主義」――台湾処分・琉球処分を支えるもの  駒込武
帝国の狭間の中の台湾民主――永続する危機の克服に向けて  呉叡人
悲劇の循環を乗り越えるために――呉叡人「帝国の狭間の中の台湾民主」を読んで  張彩薇
軍事化に抗う石垣島の民主主義  宮良麻奈美
東アジアの平和を「帝国の狭間」から考える  加藤直樹
近世東アジアの朝貢体制と「漢文の力」――『琉館筆譚』にみる琉球詩人の漂流経験  上里賢一

〈II 対話の試み〉
シンポジウム:台湾と沖縄 黒潮により連結される島々の自己決定権
往復書簡:「わたし」の自己決定権から考える  齊藤ゆずか×張彩薇×宮良麻奈美
対談:台湾と沖縄がともに平和であることは可能か?  呉叡人×元山仁士郎×駒込武

編者あとがき
執筆者一覧
著者略歴(駒込武)
(こまごめ・たけし)
1962年東京都駒込生まれ。東京大学教育学部卒、教育学博士(東京大学)。現職は京都大学大学院教育学研究科教授。専攻は植民地教育史、台湾近現代史。単著に『植民地帝国日本の文化統合』(岩波書店、1996)、『世界史のなかの台湾植民地支配――台南長老教中学校からの視座』(岩波書店、2015)、編著に『生活綴方で編む「戦後史」――〈冷戦〉と〈越境〉の1950年代』(岩波書店、2020)、『「私物化」される国公立大学』(岩波書店、2021)等。訳書に呉叡人『台湾、あるいは孤立無援の島の思想――民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて』(みすず書房、2021)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(呉叡人)
(Wu Rwei-ren / ご・えいじん)
1962年台湾桃園生まれ。国立台湾大学政治系卒、シカゴ大学政治学博士。現在、中央研究院台湾史研究所副研究員。専門は比較史的な歴史分析、思想史、文学。著書に『台湾、あるいは孤立無援の島の思想――民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて』(駒込武訳、みすず書房、2021)、『フォルモサ・イデオロギー――台湾ナショナリズムの勃興 1895-1945』(梅森直之・山本和行訳、みすず書房、2023)、訳書にベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』の中国語版《想像的共同體:民族主義的起源與散布》(時報文化、1999)がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(宮良麻奈美)
(みやら・まなみ)
1992年生まれ。沖縄県石垣市出身。2015年駒澤大学法学部政治学科卒業。2018年10月、「石垣市平得大俣地域への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票」の実施を求める「石垣市住民投票を求める会」(代表 金城龍太郎)を立ち上げる。「石垣市住民投票義務付け訴訟」「石垣市住民投票地位確認訴訟」原告。馬奈木厳太郎編著『土地規制法で沖縄はどうなる?――利用される「中国脅威論」、軽視される人権』(影書房、2022)にコラムを寄稿。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(張彩薇)
(Dyu-Chaibî / ちょう・あやみ)
1993年生まれ。台湾出身。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程。専門は台湾近現代史。主な論文に「廖文毅の「台湾再解放」構想――戦後初期(1945-1948年)における中国民主同盟とのかかわりに着目して」(『歴史学研究』2021年9月号)、共著に駒込武編『生活綴方で編む「戦後史」――〈冷戦〉と〈越境〉の1950年代』(岩波書店、2020)などがある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(加藤直樹)
(かとう・なおき)
1967年東京生まれ。ノンフィクション作家。著書に『九月、東京の路上で――1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから、2014)、『謀叛の児――宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社、2017)、『TRICK――「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから、2019)、『ウクライナ侵略を考える――「大国」の視線を超えて』(あけび書房、2024)。訳書にチェ・ギュソク『沸点――ソウル・オン・ザ・ストリート』(ころから、2016)がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(上里賢一)
(うえざと・けんいち)
1944年沖縄県宮古郡城辺町生まれ。琉球大学文理学部国語国文学科卒、東北大学大学院中国文学専攻修士課程修了、同大学院博士課程中退。1976年より琉球大学で教鞭を執り、現在は琉球大学法文学部名誉教授。専門は中国文学・琉球漢詩。第18回沖縄文化協会仲原善忠賞受賞。単著に『閩江のほとりで――琉球漢詩の原郷を行く』(沖縄タイムス社、2001)。そのほか、『校訂本 中山詩文集』(編著、九州大学出版会、1998、第26回伊波普猷賞受賞)、『琉球漢詩選』(注釈、おきなわ文庫、1989/2015)、徐恭生『中国・琉球交流史』(共訳、おきなわ文庫、1991/2015)、潘相『訳注 琉球入学見聞録』(監修、榕樹書林、2018)など。「沖縄対話プロジェクト」呼びかけ人。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(齊藤ゆずか)
(さいとう・ゆずか)
2001年北海道札幌市生まれ。2020年、大学進学のため京都に移り住む。同年にパレスチナ問題について学び発信する団体として「SHIRORU」(しろる)を立ち上げる。現在、京都大学大学院文学研究科博士前期課程1年。専攻は現代史学。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
著者略歴(元山仁士郎)
(もとやま・じんしろう)
1991年沖縄県宜野湾市生まれ。「辺野古」県民投票の会元代表。INIT国民発議プロジェクト共同代表。現在、一橋大学大学院法学研究科博士後期課程在籍。専門は日米軍事・外交史。2019年1月には「辺野古」県民投票への不参加を表明した5つの市の市長に対してハンガーストライキをおこない、全県実施の実現に尽力した。2022年5月には沖縄の「復帰50年」に際し、辺野古新基地建設の断念を求め、首相官邸前などで再びハンガーストライキをおこなった。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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