『言語教育のマルチダイナミクス ~多様な学びの方向性 ~ 』の詳細情報

言語教育のマルチダイナミクス
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タイトル 言語教育のマルチダイナミクス
サブタイトル 多様な学びの方向性
著者 [著者区分]■杉野 俊子 [監修]
■田中 富士美 [編集]
■柿原 武史 [編集]
■野沢 恵美子 [編集]
出版社 明石書店 レーベル
本体価格
(予定)
3400円 シリーズ
ページ数 320p Cコード 0037
発売予定日 2024-04-05 ジャンル 一般/単行本/教育
ISBN 9784750357256 判型 A5
内容紹介
グローバル化と急速なテクノロジーの進展により、言語教育も多様な課題への対応を迫られている。本書では、言語には多方向から作用するダイナミクスがあることを認め、様々な地域や文化の言語教育の実践事例を通じて、複合的な視点を持つことの重要性を強調する。
目次
 まえがき

第Ⅰ部 断絶の現状例――はざまを埋める努力は徒労にすぎないのか、埋めるべきなのか

第1章 継承語とアイデンティティーの形成――シンガポール在住の日本語継承語話者の事例を通して[磯崎みどり、内海朋子]
 はじめに
 1.シンガポールの教育制度
 2.継承語教育
 3.継承語話者の事例
 4.継承語としての日本語と語学学習について
 おわりに

第2章 社会的ニーズと「結びつける」「結びつけない」視点から英語教育を考える[岡戸浩子]
 はじめに――学校における英語教育
 1.社会的ニーズと「国際理解・異文化理解」
 2.「社会的ニーズ」からみた「グローバル人材」と「英語教育」
 3.社会的ニーズと英語教育――あえて結びつける必要はあるのか
 おわりに――社会的ニーズの「多様性」と英語教育のあり方

第3章 小学校英語教育における異文化理解授業の提案――現状と課題を基に[蒲原順子、祁答院惠古]
 はじめに
 1.文科省が扱う異文化理解教育
 2.外国語教育における異文化理解教育の意義
 3.小学校英語教育における異文化理解教育の現状と課題
 4.異文化理解を扱った一般的な授業例
 5.異文化理解教育の実践例
 おわりに

第4章 第二外国語学習の意義――高校スペイン語授業の実践から[樋口拓也]
 はじめに――学習するということ
 1.英語の優位性と英語以外の外国語教育
 2.日本の外国語教育における英語偏重の問題点
 3.第二外国語を学ぶ意義
 4.第二外国語を学ぶこと――スペイン語を事例に
 おわりに――繋げられない不確実な言語教育

第5章 天幕からショッピングモールの言葉へ――南アジアの外で継続するウルドゥー語教育[須永恵美子]
 はじめに
 1.ウルドゥー語と教育
 2.パキスタン人の広がりと「外」で学ばれるウルドゥー語
 3.神のために学ぶウルドゥー語――ヤンゴンのムスリム・コミュニティ
 4.移民コミュニティに選ばれる話し言葉――アブダビの街中にて
 おわりに

第6章 カナダ・ヌナブト準州の言語と教育に関する法と現状[長谷川瑞穂]
 はじめに
 1.カナダのイヌイット
 2.カナダのイヌイットの教育と歴史
 3.言語・教育に関する法と現実との乖離の有無
 おわりに

第Ⅱ部 言語教育の理念と現実のはざま――教育施策や社会の二極化からの脱却や再構築の試み

第7章 「教学マネジメント指針」と「グランドデザイン」をめぐる批判的思考と実践の重要性[三村千恵子]
 はじめに
 1.グローバル化、ポスト・コロナの時代におけるポストモダニズムとクリティカル・ワーク(批判的思考と実践)
 2.4つの焦点についての批判的考察
 3.地方国立大学の英語プログラムにおける実践
 4.結論――クリティカル・ワーク(批判的思考と実践)の重要性
 おわりに――ノーマルでなく

第8章 外国語教育における異文化理解能力の育成の必要性[原隆幸]
 はじめに
 1.異文化理解と異文化理解能力
 2.大学で育成されるべき能力
 3.大学における外国語教育と異文化理解力教育
 4.欧州評議会による言語教育と異文化に関する参照枠
 おわりに

第9章 時代が求める英語力を再考する――ディコロニアリティーの観点から[齋藤浩一、田中藍渚]
 はじめに
 1.英語教育とDecoloniality
 2.日本人の英語観について――共通語としての英語の視点から
 3.ELFコミュニケーションとTranslanguaging
 4.これからの時代に求められる英語力とは

第10章 英語教育は「異文化理解」につながるのか[森谷祥子]
 はじめに
 1.英語教育と「異文化理解」の関係性についてのこれまでの議論
 2.夜間定時制高校での現地調査の概要
 3.夜間定時制高校の教職員が語る英語教育と「異文化理解」のつながり
 4.教職員の語りの中に見られた「異文化理解」の3つの意味付けとは
 おわりに

第11章 「多文化共生」の理念と現実とのギャップを埋めるために――ことばの教育に求められること[山川智子]
 はじめに
 1.「複言語・複文化主義」が拓く可能性
 2.言語の限界を補う「非」言語的要素
 3.運用能力への過度な期待から生ずる「ギャップ」を乗り越えるために
 おわりに

第12章 「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」へ――英語のスキルと共に人間性も養う内容重視の英語教育[井上恵子]
 はじめに
 1.英語教育について考察してみたい問題点
 2.英語を使う人も使わない人も何かを得られる授業
 おわりに

第13章 ティームティーチングの教師間関係に見るネイティブ・ノンネイティブ問題[宮里恭子]
 はじめに
 1.ALTと日本人英語教員のティームティーチング
 2.TTにおけるネイティブ・ノンネイティブ問題
 3.TTにおける初心者・熟達者(novice-expert)関係――教師としての職業力
 4.TTの教師間関係――現職のTTと大学生同士のTTのケースの比較から
 おわりに――より良好なTTに向けて

第Ⅲ部 言語のメタ機能から見た断絶――はざまを乗り越えて新たな地平へ

第14章 言語を超える存在としての言語――言語が言語としての存在意義以上の意味を持つ社会で[田中富士美]
 はじめに 言語と人々――言語の本来の役割
 1.言語の個別化――言語と国家
 2.覇権言語の登場――強い言語はなぜ強いのか
 3.言語の価値化――言語に価値が付随するとき
 4.共通言語への認識――覇権言語の「脱構築化」
 おわりに

第15章 なぜシニアは英語を勉強し続けるのか――協働センターの学習者を通して「学び」の本質を考える[杉野俊子]
 1.「学び」とは何か
 2.日本の大学における英語学習の位置づけとその目的
 3.先輩市民(senior citizen)にとって生涯学習とは
 4.協働センターでの先輩市民の英語授業
 おわりに

第16章 新学習指導要領「生きる力」としての外国語――求められる競技英語からの脱却[飯野公一]
 はじめに――「若い人」と英語
 1.競技英語とは?
 2.競技英語のルール
 3.「適切」、「正しく」というルール
 4.「ネイティブ・スピーカー」という審判
 おわりに――競技英語からの脱却

第17章 「異言語」を学ぶ意義を再考する――「断絶」を克服するために[柿原武史]
 はじめに
 1.オンラインによる交流の可能性と課題
 2.英語偏重の語学教育の課題と異言語習得の利点
 おわりに

付録 シンポジウム「これからの大学言語教育:DX、DHでの言語教育、グローバル人材教育の方向性――現在と未来」

 あとがき
著者略歴(杉野 俊子)
前工学院大学教授、元防衛大学校教授、JACET言語政策研究会代表
専門分野:英語教育学、社会言語学(日系移民、継承・少数言語)
主な著作:『「つながる」ための言語教育――アフターコロナのことばと社会』(監修、明石書店、2021年)、『英語とつきあうための50の問い――英語を学ぶ・教える前に知っておきたいこと』(監修、明石書店、2020年)、Raising Awareness of Language Minorities in Japan: Teaching about the Ainu, Okinawans, and Nikkei-jin. In M. Kai, and T. Okamura (Eds.), Indigenous Language Acquisition, Maintenance, and Loss and Current Language Policies. IGI publishing Co., 2020.
著者略歴(田中 富士美)
金沢星稜大学副学長・人文学部教授
専門分野:英語教育学、国際英語論、言語政策
主な著作:『「つながる」ための言語教育――アフターコロナのことばと社会』(共編著、明石書店、2021年)、『英語とつきあうための50の問い――英語を学ぶ・教える前に知っておきたいこと』(共編著、明石書店、2020年)、『言語と教育――多様化する社会の中で新たな言語教育のあり方を探る』(共編著、明石書店、2017年)、『言語と格差――差別・偏見と向き合う世界の言語的マイノリティ』(共著、明石書店、2015年)、A Survey-based study of Japanese university student attitudes toward EIL and implications for the future of English education in Japan. Asian Englishes, 13(1), 2010.
著者略歴(柿原 武史)
関西学院大学商学部教授
専門分野:社会言語学、言語政策、スペイン語教育
主な著作:『対抗する言語――日常生活に潜む言語の危うさを暴く』(共編著、三元社、2021年)、『今そこにある多言語なニッポン』(共編、くろしお出版、2020年)、A difusión exterior do galego e a diáspora galega. Madrygal: Revista de Estudios Gallegos, 22. Universidad Complutense de Madrid, 2019.
著者略歴(野沢 恵美子)
中央大学法学部准教授
専門分野:比較教育学、社会言語学、ジェンダー論
主な著作:『教育からみる南アジア社会――交錯する機会と苦悩』(共編著、玉川大学出版部、2022年)、『「つながる」ための言語教育――アフターコロナのことばと社会』(共編著、明石書店、2021年)、Boys’ Love, Transmedia Storytelling, and LGBT Awareness in Contemporary Japan. In S. Salenius (Ed.), Gender in Japanese Popular Culture: Rethinking Masculinities and Femininities. Palgrave Macmillan Cham, 2023.
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