『〈声なき声〉のジャーナリズム ~マイノリティの意見をいかに掬い上げるか ~ 』の詳細情報
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タイトル |
〈声なき声〉のジャーナリズム |
サブタイトル |
マイノリティの意見をいかに掬い上げるか |
著者 [著者区分] | 田中瑛 [著・文・その他]
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出版社 |
慶應義塾大学出版会 |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
3200円 |
シリーズ |
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ページ数 |
288p
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Cコード |
3036 |
発売予定日 |
2024-05-08 |
ジャンル |
専門/単行本/社会 |
ISBN |
9784766429633 |
判型 |
46 |
内容紹介 |
SNS時代のジャーナリズム論 誰もが情報を発信し、フェイクニュースが氾濫するこの時代に、 ジャーナリストは「真正性」をいかに担保し、 マイノリティの声を掬い上げ、活性化させるべきなのか。
本書は、現代のデジタル化するメディア環境において、言説がより個別に、より自然に、より親密になり、「真正性」(本物らしさ)を追い求めるなかで、ジャーナリズムをどのように再定義すべきかを論ずるものである。 『真相深入り!虎ノ門ニュース』や『ハートネットTV』、『クィア・アイ』といったTV番組の言説構造の分析から、情報の送り手と受け手の関係性を編み直し、ジャーナリズムが〈声なき声〉をいかに掬い上げ、活性化すべきかの方途を探る。 そして、ジャーナリズムの担い手が送り手と受け手の垣根を超え、等身大の自分自身として語り、自分たちの居場所としてのメディアについて考える。 そうした社会のかたちのイメージを描き出し、もっと幅広い文化的実践をジャーナリズムとして再評価していく。
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目次 |
序論 「声なき声」をどのように活性化すべきか 1 本書の論点――不可視化された「声なき声」をどのように活性化するのか 2 本書のアプローチ――生存戦略としての「真正性」 3 本書の構成
第1章 「声なき声」の活性化、「真正性」の政治 1 ジャーナリズムの役割を問い直す 2 民主主義の課題としての「声なき声」 3 「真正性」という価値の浸潤 4 「真正性」を媒介とする「声なき声」の連帯へ
第2章 「声なき声」と娯楽化する政治――『虎ノ門ニュース』における「読解の肩代わり」 1 反動的な実践に潜む「声なき声」を考える 2 「ネット右翼」が社会において占める位置 3 『虎ノ門ニュース』の批判的言説分析 4 日常生活から切断される「政治」
第3章 公共サービスメディアの葛藤――『ハートネットTV』におけるメッセージ性と「真正性」の調停 1 「声なき声」の活性化の拠点としての公共サービスメディア 2 福祉番組と公共性 3 相反するメッセージ性と「真正性」 4 公共サービスメディアの葛藤――普遍と個別、規範と「真正性」の架橋に向けて
第4章 ポピュラー・ジャーナリズムとしてのリアリティTV?――『クィア・アイ』における「裏側の物語」と連帯の政治 1 テレビ的なものと真正性 2 『クィア・アイ』にみる連帯の兆し 3 「裏側の物語」を通じた対話と「声なき声」の活性化 4 テレビ的なものの透明性、ジャーナリストの有名性
第5章 ジャーナリズムの境界線を引き直す――対話の場を紡ぐための役割 1 ジャーナリストの専門職的役割の変化? 2 「送り手-受け手」の相互主体を再検討する 3 「真正性」の政治における自己演技――ジャーナリストの直面するジレンマ 4 対話の場の共創としてのジャーナリズム
第6章 「真正性」の政治を内側から攪乱する――オルタナティヴなメディア環境はどのように可能か 1 メディアに潜む権力を読み解く 2 メディアにおける新自由主義的な権力構造 3 対話のための居場所をどのように蘇らせるか 4 メディア=場所を政治的問題にしていくこと
補論 対話のためのメディア・デザインに向けた試論――メディア・ワークショップの設計と批判的考察から 1 対話のためのメディア環境をDIYする――批判と創造の往還に向けて 2 メディアを用いたワークショップの意義 3 設計の背景――どのように呼びかけ、どのような場を作るのか 4 メディア・ワークショップの実施と省察――デジタル・ネイティヴの対話感覚の考察 5 「声なき声」の活性化の実践のネットワーク化に向けて
結論 今後のメディア・ジャーナリズム研究に向けて |
著者略歴(田中瑛) |
田中瑛(たなか あきら) 実践女子大学人間社会学部専任講師 1993年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業(同メディア・コミュニケーション研究所修了)後、 東京大学大学院学際情報学府社会情報学コース博士課程修了。博士(社会情報学)。 日本学術振興会特別研究員(DC1)、九州大学大学院芸術工学研究院助教を経て、2024年より現職。 主要論文に、「真正性の政治とジャーナリズム――ポピュラーな正当化の可能性と矛盾の考察」『メディア研究』102号、183-199頁。「公共放送における「声なき声」の包摂の葛藤――NHKの福祉番組『ハートネットTV』のソーシャルメディア活用を事例として」『マス・コミュニケーション研究』95号、125-142頁。日本計画行政学会・社会情報学会若手研究交流会優秀賞受賞、など受賞多数。共著書に、小熊英二・樋口直人編『日本は「右傾化」したのか』(慶應義塾大学出版会、2020年)、伊藤守編『東京オリンピックはどう観られたか――マスメディアの報道とソーシャルメディアの声』(ミネルヴァ書房、2024年)など。 |