空も焦げ血のりとなって地を圧す帝都壊滅 戒厳令下
大正をしぶく疾風霧時雨 佩剣の音の熄まざりしかば
地の涯へゆこうとつねに民衆と歩まんパリ潜入の夜
人差しの指もて人を指すことの人刺すことの鶏頭の花
労働の機械となるな逸楽の機械となるな淑女諸君よ
『大正十二年九月一日』より
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、関東大震災から100年を迎えた2023年刊の福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』。自身の父母や血縁と地続きにあったという関東大震災。大杉栄、伊藤野枝、辻潤、宮嶋資夫、古田大次郎……当時を生きた人物の声が「住み着き」「生き返る」とはどのような体験か? 特集内では、第35歌集編纂にあたって福島が思いを語ったインタビューのほか、会員による一首評などを掲載。大和志保による短歌評論連載では、2023年下半期以降の歌集を取り上げる。
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