特集 綿田友恵第一歌集『赤鉛筆、父、母……。』
母が頸打たれる音を聞きながら男はすべて滅べと思う
裏庭の枇杷の実を喰むハクビシンのようにわたしも許されていた
アスファルトに硬く孤独な音ひとつ声も上げずに蟬は夜死ぬ(自選)
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、綿田友恵第一歌集『赤鉛筆、父、母……。』(2024)。記憶に刻み込まれている広島・原爆の風景、絡み合う家族という血縁、加害するものへの無意識のシンパシーなど、作歌や歌集編集にあたっての思いをインタビュー。また、タイトルや装丁決定に至るまでの秘話も明らかに。そのほか、6月に行われた黒田和美賞授賞式の報告(福島泰樹)や重信房子など会員の連作を掲載。
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