◆第三句集
カーネーション母起さずに帰りけり
第二句集上梓後、母が亡くなりました。母は寝たきりで、何の反応もありませんでした。介護士さんや私以外の家族の前ではそうでしたが、私が面会に行き「母ちゃん来たよ」と言うと顔をしわくちゃにして笑うのです。母はちゃんとわかっていたのです。最後の日は母の部
屋に泊まり、深夜一時半頃亡くなるのを見届けました。母は私に俳句を教えてくれました。この句集を母に報告したいと思います。
(あとがきより)
◆収録作品
ひとつづつ持ち上げてもぐ林檎かな
雪もよひ悲しい時に飲む薬
栗ごはん炊きふさはしく暮らしけり
春の灯にうすくなりたるお母さん
夜濯や来世も母を介護せむ
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