Amazonで予約する
|
タイトル |
ゴダール/映画誌 |
サブタイトル |
|
著者 [著者区分] | 山田 宏一 [著・文・その他]
|
出版社 |
草思社 |
レーベル |
|
本体価格 (予定) |
3200円 |
シリーズ |
|
ページ数 |
432p
|
Cコード |
0074 |
発売予定日 |
2024-04-22 |
ジャンル |
一般/単行本/演劇・映画 |
ISBN |
9784794227218 |
判型 |
A5 |
内容紹介 |
不世出の映画監督ジャン=リュック・ゴダールは2022年9月13日、91歳で自死を遂げた。本書はその追悼文から始まる。いかに彼が革新的な映画監督だったか。フランス・ヌーヴェル・ヴァーグのフランソワ・トリュフォーと並ぶ象徴的存在で、映画史に決定的な影響を与え、いかに多くの模倣者を生んだか。そして、1968年のフランス五月革命以降、二人は訣別し、ゴダールは暴走し、映画の破壊へと向かい、孤独の隘路に陥り、誰にも理解されない「不幸な映画」をいかに撮り続けることになったか。
本書は映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」同人としてフランス現地で出会って二人をよく知る著者が、これまで書いてきたゴダール論を大幅に加筆改稿してまとめた集大成ともいえる大著。「さらばゴダール」ともいうべき哀悼の序章(「キネマ旬報」、「ユリイカ」等の追悼文を収める)から、2章以降、特に著者が愛してやまなかった1960年代ゴダール各作品をつぶさに論じた「映画誌」から成り立っている。「映画誌」というのは著者特有の言い方で、その作品にまつわるもろもろの事象、エピソード、雑感、作品背景、関係者の言葉、分析などを含めたすべてを言い、エッセイというか批評というか読みどころ満載の作品論である。
1959年作品『勝手にしやがれ』から1967年作品『ウイークエンド』まで15本の長編作品、9本の短編作品を取り上げた。『勝手にしやがれ』は公開当初から、社会を震撼させ、若者たちを熱狂させた。これは映画技法の革命と言ってもいいほどの作品だった。山田宏一氏は1964年から1967年までフランスに留学し、その熱狂の中で映画を見続け、ゴダール、トリュフォーとも交友を結んだ。
氏の初期評論集『私が映画についてについて知っている二、三の事柄』(1971年、三一書房刊)の第1章は「私がゴダールについて知っている二、三の事柄」から始まっている。そこから2020年刊の「増補新版 ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代」(ワイズ文庫)まで50年にわたってゴダールについて多くの文章を書き続けてきた。60年代のゴダールはすべてに輝かしく作品も素晴らしかった。アメリカの高名な女流映画コラムニスト、ポーリン・ケールは「豊穣の1960年代ゴダール」と呼んだ。
本書の巻末に付録としてゴダールとトリュフォーの訣別喧嘩状がついている。1968年を境に二人は訣別し、その熱狂は冷めてしまった。著者ももうその後のゴダールに関してはあまり触れていない。
本書は著者の愛してやまなかった60年代ゴダールとその後のゴダールへの愛憎半ばする総決算である。
|
目次 |
はじめに――わがゴダール
第1部 追悼ジャン=リュック・ゴダール
さらばゴダール、さらば映画――幸福な映画と不幸な映画 ゴダールもまた死す――息切れの友情のはてに ゴダール/映画のみ イカロスのように――シリル・ルティ監督『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』
第2部 豊穣なる60年代ゴダール
『勝手にしやがれ』 『勝手にしやがれ』の即興撮影――ジャン=ポール・ベルモンドに聞く 『小さな兵隊』 『紹介あるいはシャルロットと彼女のステーキ』――声だけの夫婦共演 『マクドナルド橋の恋人たち』新婚のゴダール/カリーナ夫婦共演 『女は女である』 『怠けの罪』――エディ・コンスタンチーヌ登場 『女と男のいる舗道』 『新世界』――『アルファヴィル』に向かって 『カラビニエ』 『立派な詐欺師』――シネマ・ヴェリテとは何か 『軽蔑』 『軽蔑』撮影ルポ――ジャック・ロジェ監督『パパラッティ』『バルドー/ゴダール』 恐竜と赤ん坊――『軽蔑』をめぐるフリッツ・ラングVSジャン=リュック・ゴダール対談 ヌーヴェル・ヴァーグによるヌーヴェル・ヴァーグ――『はなればなれに』撮影風景 『はなればなれに』
原作と映画化(1)fool’s gold/鳩が飛ぶ/はなればなれに 『モンパルナスとルヴァロア』――『女は女である』から遠く離れて、『恋人のいる時間』 限りなく近く 『恋人のいる時間』 『アルファヴィル』 『気狂いピエロ』
原作と映画化(2)――妄執/11時の悪魔/気狂いピエロ 『男性・女性』 『メイド・イン・USA』 『彼女について私が知っている二、三の事柄』 『未来展望』――最後のアンナ・カリーナ 『中国女』 『カメラ・アイ/カメラの眼』――集団オムニバス映画『べトナムから遠く離れて』の一篇 『アモーレ』――オムニバス映画『愛と怒り』の一篇 『ウイークエンド』
付録――ゴダールVSトリュフォー喧嘩状 終わりに 索引 |
著者略歴(山田 宏一) |
山田 宏一(やまだ・こういち) 映画評論家。1938 年、ジャカルタ生まれ。東京外国語大学フランス語科卒。1964 ~ 1967 年パリ在住、その間「カイエ・デュ・シネマ」誌同人。著書に「友よ映画よ〈わがヌーヴェル・ヴァーグ誌〉」「何が映画を走らせるのか?」「映画 果てしなきベストテン」「ハワード・ホークス映画読本」「フランソワ・トリュフォーの映画誌」「日本映画について私が学んだ二、三の事柄Ⅰ、Ⅱ」など。訳書に「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」(フランソワ・トリュフォー著、蓮實重彥と共訳)など。1999 年、第1回Bunkamura ドゥマゴ文学賞(「トリュフォー ある映画的人生」に対して)。2007 年、第5回文化庁映画賞(映画功労表彰部門)。2017年、第35 回川喜多賞。2022 年度日本映画ペンクラブ賞(功労賞)。 |