『幻覚剤と精神医学の最前線』の詳細情報

幻覚剤と精神医学の最前線
AmazonカートAmazonで予約する
タイトル 幻覚剤と精神医学の最前線
サブタイトル
著者 [著者区分]■デヴィッド・ナット [著・文・その他]
■鈴木ファストアーベント理恵 [翻訳]
出版社 草思社 レーベル
本体価格
(予定)
3000円 シリーズ
ページ数 392p Cコード 0045
発売予定日 2024-10-21 ジャンル 一般/単行本/生物学
ISBN 9784794227409 判型 46
内容紹介
うつ病やPTSD、依存症の治療に、
LSDやMDMAなどの幻覚剤が
非常に高い効果を発揮するというエビデンスが続々!
第一人者にして世界的権威の著者が、研究の最前線を報告する。

もうすぐ、うつ病は幻覚剤で治す時代に

精神医学と神経科学の世界に今、革命の大波が押し寄せようとしている。
うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者に対し、LSDやMDMA、マジックマッシュルームなどの幻覚剤投与を伴う治療を1~2回行うことで、大きな改善が見られるというエビデンスが蓄積しつつあるのだ。さらには、強迫性障害、摂食障害や依存症、慢性疼痛に対しても、非常に強力な治療法になり得ると目されている。
うつ病やPTSDなどいくつかの疾患の幻覚剤療法について、米国などでは臨床試験や承認申請が進んでおり、近いうちに実用化が見込まれている。それだけではない。すでにオーストラリアでは、MDMAのPTSDへの処方と、サイロシビン(マジックマッシュルームの有効成分)のうつ病への処方が認められている。

 幻覚剤には、とかく異論反論、流言飛語がつきまとう。幻覚剤の危険性・有害性は著しく誇張され、喧伝されてきた。神経精神薬理学の世界的権威として知られる著者デヴィッド・ナット教授が最新の研究成果を伝える本書は、幻覚剤に対する読者の考えを一変させ、うつ病などの疾患の治療に大きな希望を与えるだろう。

〔内容より〕
●幻覚剤は脳の可塑性を高め「再配線」させることで病を癒す
●幻覚剤は繰り返される固着した思考から脳を解放する
●オーストラリアではすでにMDMAなどを使った治療が合法化
●幻覚剤の有害性は著しく誇張されている。不合理な規制の裏側
●しかし幻覚剤を使った自己治療は危険。決して勧められない

目次
第1章 幻覚剤研究のルネサンス
第2章 幻覚剤とは何か――古典的幻覚剤:LSD、マジックマッシュルーム、アヤワスカ
第3章 非古典的幻覚剤入門――MDMA、ケタミン、イボガイン
第4章 幻覚体験中の脳内では何が起きているのか
第5章 うつ病に対する幻覚剤療法の研究
第6章 幻覚剤療法の歴史と実践
第7章 幻覚剤を用いた依存症の治療
第8章 MDMAを用いる療法――PTSDとトラウマの治療、人間関係の修復
第9章 幻覚剤による神秘体験とその効用
第10章 古典的幻覚剤をうつ病以外に用いる――不安症、疼痛、摂食障害、ADHD、強迫性障害
第11章 マイクロドージングの効果を探る
第12章 MDMAの危険性は大幅に誇張されている
第13章 幻覚剤の依存性と危険性の真実
おわりに 幻覚剤の未来に向けた重要な問い
目次
はじめに

第1章 幻覚剤研究のルネサンス
今や幻覚剤はうつ病治療研究の中心的存在
幻覚剤研究が実質的に禁止されるまでの歴史
人類は先史時代から幻覚剤を摂取してきた
幻覚剤は脳科学にとっても重要なツール

第2章 幻覚剤とは何か――古典的幻覚剤:LSD、マジックマッシュルーム、アヤワスカ
古典的幻覚剤はいずれも2A受容体に作用する
古典的幻覚剤が生じさせる幻覚効果
古典的幻覚剤入門
コラム:危険ドラッグNBOMeの問題

第3章 非古典的幻覚剤入門――MDMA、ケタミン、イボガイン
2A受容体には働きかけない幻覚剤

第4章 幻覚体験中の脳内では何が起きているのか
幻覚剤が有望な医薬になるとは思っていなかった
セロトニンとうつ病の関係を探る試行錯誤
幻覚剤影響下の脳を脳画像技術で観察する
脳内のネットワークの働きと幻覚剤の影響
コラム:幻覚体験中に起こるその他のこと

第5章 うつ病に対する幻覚剤療法の研究
既存のうつ病治療が効かない患者は多い
うつ病の幻覚剤療法の研究はどう進んできたか
効果がある人とない人は何が異なるのか
幻覚剤は脳を成長させていた
コラム:他の古典的幻覚剤もうつ病の治療に効果があるか
抗うつ剤とも併用可能なケタミンによる治療
コラム:ケタミン療法の長所と短所
コラム:サイロシビンは治療抵抗性うつ病以外のうつにも効くか

第6章 幻覚剤療法の歴史と実践
年代に行われたLSDを使った非倫理的実験
同じ頃に始まった幻覚剤を治療に使う研究
コラム:幻覚剤によって異なる治療スケジュール例
コラム:バッド・トリップになってしまったら

第7章 幻覚剤を用いた依存症の治療
依存症の克服には大変な困難が伴う
アルコホーリック・アノニマスとLSD
隠されてきたLSDによる依存症治療研究の歴史
幻覚剤を使った依存症治療研究が再開
アルコール依存症へケタミンなどの幻覚剤を用いる
コラム:イボガインは依存症治療に安全な薬物か
幻覚剤はアルコール以外の依存症にも効果があるか
コラム:依存症治療に幻覚剤はすでに使われているか

第8章 MDMAを用いる療法――PTSDとトラウマの治療、人間関係の修復
MDMA支援療法承認を目指す長い道程
1970年代からMDMAはセラピーで用いられてきた
コラム:古典的幻覚剤のPTSD治療薬としての研究状況
コラム:MDMA支援療法を構成する主な要素
コラム:不安症に対するMDMAの効用

第9章 幻覚剤による神秘体験とその効用
死の間際にLSDを摂取したオルダス・ハクスリー
終末期患者のケア手段は限られている
コラム:自我解消体験とはどのようなものか
コラム:DMT幻覚体験は臨死体験によく似ている

第10章 古典的幻覚剤をうつ病以外に用いる――不安症、疼痛、摂食障害、ADHD、強迫性障害
幻覚剤は幅広い疾患に効く可能性がある
不安症
反復税群発頭痛
慢性疼痛と疼痛症候群
脳卒中と外傷性脳損傷
アルツハイマー病と認知症
摂食障害
強迫性障害(OCD)
注意欠陥・多動性障害(ADHD)と注意欠陥障害(ADD)

第11章 マイクロドージングの効果を探る
幻覚剤の微量摂取が流行している
コラム:経験者の報告に基づくマイクロドージングの恩恵
マイクロドージングはどのように行われているか
コラム:マイクロドージングにリスクはあるか
コラム:プラセボ効果とは何か
コラム:子どもたちへの低用量の幻覚剤投与をどう考えるべきか

第12章 MDMAの危険性は大幅に誇張されている
著者が薬物乱用諮問委員会委員長を罷免された理由
幻覚剤の有害度はアルコールよりずっと低い
コラム:その他の薬物リスク評価方法
MDMA摂取後の死亡事故の原因
エクスタシーを摂取するリスクを整理する
コラム:人々の命を救う薬物鑑定
MDMAが命取りとなるのはどのようなときか
コラム:MDMA、ケタミン、幻覚剤の使用の実用的ガイドライン

第13章 幻覚剤の依存性と危険性の真実
幻覚剤が禁止されたのは危険だからではない
古典的幻覚剤に依存性はない
幻覚剤が精神疾患を引き起こすことはあるか
コラム:世にも奇妙なLSD神話の本当と嘘
コラム:幻覚剤の臨床試験に適さない人

おわりに 幻覚剤の未来へ向けた重要な問い
幻覚剤療法を支える制度上の革新
幻覚剤をめぐるルールを変える必要がある
幻覚剤研究の発展の方向性

謝辞
原注
索引
著訳者略歴
著者略歴(デヴィッド・ナット)
デヴィッド・ナット
精神科医。インペリアル・カレッジ・ロンドン付属ハマースミス病院医学部脳科学部門の神経精神薬理学教授。脳内での薬物の影響を研究するために、PETやfMRI、EEGやMEGといった最先端のイメージング技術を駆使。脳画像研究の成果を中心にこれまで500本を超えるオリジナル論文を発表しており、これは世界の研究者の上位0.1%に入る。欧州脳委員会、英国精神薬理学会、英国神経科学学会、欧州神経精神薬理学会の会長職など、科学および医学分野で数々の要職を歴任。一般視聴者向けの情報発信にも注力しており、ラジオおよびテレビに広く出演する他、ポッドキャスト番組も配信。2010年には英『タイムズ』紙の科学雑誌『エウレカ』が選ぶ英国でもっとも影響力ある科学者100人に、唯一の精神科医として選出された。2013年には、科学のために立ちあがった功績により、科学ジャーナル『ネイチャー』と慈善団体センス・アバウト・サイエンスの共同イニシアティブであるジョン・マドックス賞を受賞。2017年にはバース大学から名誉法学博士号を授与された。
著者略歴(鈴木ファストアーベント理恵)
鈴木ファストアーベント理恵
学習院大学法学部政治学科卒業、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)国際関係学修士課程修了。外資系企業、在ドイツ経済振興組織などでの勤務を経て、英日・独日翻訳に従事。訳書に『熟睡者』(サンマーク出版)、『Amazon創業者ジェフ・ベゾスのお金を生み出す伝え方』(文響社)などがある。
他の書籍を検索する