『「予想外」を予想する方法』の詳細情報

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タイトル 「予想外」を予想する方法
サブタイトル
著者 [著者区分]■キット・イェーツ [著・文・その他]
■冨永 星 [翻訳]
出版社 草思社 レーベル
本体価格
(予定)
3200円 シリーズ
ページ数 480p Cコード 0041
発売予定日 2025-12-02 ジャンル 一般/単行本/数学
ISBN 9784794228123 判型 46
内容紹介
予測に失敗し、予測に騙され、それでもなお予測する。
もしかして、あなたも、そう?
予測にまつわる古今東西の実話を、数学で読み解く!

〔内容より〕
ノストラダムスがスペースシャトル墜落を予言?
宝くじ抽選で1等当選の数字が2回連続同じに!
狩猟採集民が占いで狩りに行く方角を決める利点
予言することでそれが実現する「自己成就的予言」
確実に戦争に突入してしまう状況はあり得る?
地震予知は無理でも確率とリスク評価で対策可能


信じがたい偶然、嘘から出た誠、番狂わせ、見当違いなどの「予想外」は、たびたび起こる。私たちがそれらの出来事に驚かされるのはなぜだろうか。
それは、現実世界が「おかしい」からではなく、それを見る私たちの認知が「おかしい」からだ。
あらゆるものが比例などの線形関係で増減すると思い込む「線形バイアス」や、ランダムなノイズの中にパターンを見いだしてしまう「パターン化特性」など、数多くの認知バイアスのせいで、私たちは、数学的に考えれば実は驚くほどでもないことに、しょっちゅう驚いている。
つまり、私たちは数学を使わない限り、世界を正しく認識できないし、正しく予測することもできず、したがって自分と世界を安全に保つこともままならない。さらには、人間の認知バイアスを知り尽くした人に、騙され、つけ込まれてしまう危険さえある。
世界中から「予想外」の出来事の実話を数多く集め、数学的に解説し、私たちのバイアスを解きほぐす本書は、私たちに「予想外」を予想する方法を教えてくれるだけでなく、「予想外」の出来事を、数学を使って楽しみ、味わう方法も教えてくれるだろう。
目次
はじめに 「予想外」を予想する
予言の歴史は予言失敗の歴史である
予測のはずし方はじつにさまざま
不確かさには種類がある
人間は非線形な問題が苦手
「予想外」を予想する

1 予言・透視・占術
 偶然性と曖昧さを利用するさまざまな占い
 ランダムさを使って信じ込ませる
 誰もが納得できる言葉を与える
 お世辞を使って顧客を満足させておく
 因果関係について魔術的思考に陥らせる
 バーダー=マインホフ現象を利用する
 確率に基づいて探りを入れるテクニック
 記憶の想起を都合よくゆがめる
 否定と肯定を駆使し疑われずに情報を探る
 万能の話法「ウォーム・リーディング」
 入念な下調べ「ホット・リーディング」
 心霊術は害のないお遊びといえるか
 教訓

2 起こりそうにない出来事が起こる確率
 原因や意図を探したがる脳
 奇妙な符合の科学研究における有効性
 ノイズのなかにパターンを見いだしてしまう
 「近接性原理」と「真に大きな数の法則」
 起こりそうもないことがほぼ必ず起こる
 組み合わせの数は急激に増大する
 錯誤相関を見抜くことの楽しみ

3 ランダムの上手な取り扱い方
 脳はランダムさを作り出せない?
 鳩の巣原理で「確実だ」といい切る
 成功したもののみを公表することでだます
 試合結果を正確に予想し続ける動物
 宝くじの期待当選金額を最大化する方法
 自分の自由意志の存在を疑いたくなる実験
 ランダム発生装置に行動をゆだねる?
 選択肢が多すぎて選べなくなるとき
 選択にランダムの力を借りることのすすめ

4 不確かさのなかでも推論はできる
 方針転換は悪いことではない
 最初の桁の数字がかなりよく従う法則
 ベンフォード分布で不正会計をあぶり出す
 世界は「ジップの法則」「べき乗則」に従う
 個別事象は予測不能でも確率はわかる場合
 「ベイズの定理」で信念を更新する
 教訓1 新しい証拠がすべてではない
 教訓2 異なる視点を考慮する
 教訓3 自分の意見を徐々に変える
 不確かさとうまく付き合う法

5 ゲーム理論で先を読み未来を設計
 エジプトとイスラエルの6日戦争
 相手の立場に身を置いて損得を考える
 先制攻撃を選択せざるを得ないとき
 そうするしかない「ナッシュ均衡」
 「なぜそれは起きなかったのか」を考える
 核武装が平和をもたらすという皮肉な事実
 「狂人理論」による瀬戸際外交
 3人による対決の思いがけない結末
 「コモンズの悲劇」は世界のあらゆるところに
 ゲームのルールを変えれば行動も変わる
 新車購入時の価格交渉ルールを変える
 全員が勝者になれるゲームに変える

6 線形バイアスに欺かれる
 予想外に進んだ新型コロナワクチン接種
 線形思考に陥って失敗する場合
 株価変動を先読みする方法はあるか
 反比例や逆数に直観がだまされる
 累乗が関係するとさらに混乱
 面積と体積の関係「2乗3乗の法則」
 大きくなることによる弊害の数々
 確率も時には非線形に振る舞う

7 雪だるま式に膨らむ影響
 指数的成長バイアスによる過小評価
 正のフィードバック・ループの威力
 人名は自己成就的予言となり得るか
 「プラセボ効果」という本当になる嘘
 他者の影響による自己成就的予言
 概念も指数的成長を見せて広まる

8 自らの行為が招く思わぬ結末
 見せないようにすると注目が集まる
 インセンティブの設定を間違える
 目標の設定を誤ると悲惨な結果に
 AIも目標達成の抜け道を取る
 複雑なモデルほど優秀とはいえない
 当たらない予言「自己破壊的予言」
 「アンダードッグ効果」による番狂わせ
 負のフィードバック・ループに生じる問題

9 予測の限界を知る
 予測を原理的に不可能にする要因
 数理モデルなしの推論の欠陥
 「状況はいつも通り、すべてがめちゃくちゃ」
 天気に関する格言に根拠はあるか
 天気予報はなぜ評判が悪いのか
 天気予報はどこまで正確になり得るか
 予測に限界を課すカオスとは何か
 予測可能な領域をわきまえる

エピローグ

謝辞
訳者あとがき
原注
著者略歴(キット・イェーツ)
キット・イェーツ(Kit Yates)
英バース大学数理科学科上級講師であり同大学数理生物学センターの共同ディレクター。2011年にオクスフォード大学で数学の博士号を取得。2020年に英国で刊行された著書The Maths of Life and Death(邦題:『生と死を分ける数学』草思社刊)は、英サンデー・タイムズ紙の科学書オブ・ザ・イヤーに選ばれた。本書は2冊目の著書となる。イングランド・オックスフォード在住。
著者略歴(冨永 星)
冨永 星(とみなが・ほし)
1955年、京都生まれ。京都大学理学部数理科学系卒業。国立国会図書館、イタリア東方学研究所図書館司書、自由の森学園教員を経て、現在は一般向けの数学啓蒙書などの翻訳に従事。2020年度日本数学会出版賞受賞。訳書は、ワイル『シンメトリー』(筑摩書房)、ヘイズ『ベッドルームで群論を』(みすず書房)、マグレイン『異端の統計学 ベイズ』(草思社)、ウィルクス『1から学ぶ大人の数学教室』(早川書房)、オーディング『1つの定理を証明する99の方法』(森北出版)、ロヴェッリ『時間は存在しない』(NHK出版)など。
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