『初期仏典の解釈学 ~パーリ三蔵と上座部註釈家たち ~ 』の詳細情報
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タイトル |
初期仏典の解釈学 |
サブタイトル |
パーリ三蔵と上座部註釈家たち |
著者 [著者区分] | 清水俊史 [著・文・その他]
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出版社 |
大蔵出版 |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
12000円 |
シリーズ |
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ページ数 |
466p
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Cコード |
3015 |
発売予定日 |
2024-06-25 |
ジャンル |
専門/単行本/仏教 |
ISBN |
9784804305998 |
判型 |
A5 |
内容紹介 |
なぜ〈聖典〉はいつの時代でも〈正しい〉のか?
“仏陀の言葉”に遺された矛盾?
この「つまずきの石」は初期経典編纂時から問題視されていた。以来、連綿と続けられてきた〈解釈〉のメカニズムを、上座部註釈家の思想とともに解明する。?
聖典中には現代的価値観からすれば問題のある記述が散見されるが、それらは「時代的限界」と見なされるのではなく、むしろ解釈や文献操作を通して聖典の真意が現代的価値観に合致するものであると発見される。(本書より)
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目次 |
はしがき 凡 例 序 論 一 仏典の現象 (一) 「つまずき」と「解釈」 ⒜ 如是我聞 ⒝ 阿毘達磨仏説論 ⒞ 成道後に発した言葉 ⒟ 業果の先取り ⒠ 堕地獄 ⒡ 楽受 ⒢ 中有 ⒣ 五時八教 ⒤ 往生の可否 (二) 聖典の意味と解釈 二 先行研究の推移 (一) 解釈研究の進展 (二) 上座部研究と近代仏教学 三 研究の目的と範囲 [序論註]
第一部 聖典解釈の法理 はじめに 第一章 聖典と解釈-対機説法と方便 問題の所在 第一節 対機説法と方便 第一項 表現の二重性 第二項 調和的解釈の萌芽 第三項 まとめ 第二節 「解釈」の必要性 第一項 初期経典における註釈的要素 第二項 「法の指針」の制定 第三項 まとめ 結 び 第二章 真俗二諦説 問題の所在 第一節 二諦説の萌芽と形成 第二節 アッタカター文献における解釈 第三節 ティーカー文献における解釈 第一項 「勝義=自性」の関係 第二項 存在論に基づく再定義 結 び 第三章 了義・未了義 問題の所在 第一節 初期経典における用例 第二節 『中部』第44経「小有明経」とその解釈 結 び 第四章 異門・不異門 問題の所在 第一節 初期経典における用例とその註釈 第二節 註釈文献における用例 第一項 「経説=異門」と「阿毘達磨説=不異門」 第二項 「仮有=異門」と「自性法=不異門」 結 び 第五章 解釈の権威と正統性 問題の所在 第一節 解釈の法源 第二節 ブッダゴーサの註釈方針 第三節 上座部における「アッタカター」 第四節 弥勒となったブッダゴーサ、聖典となった註釈 結 び 総 括 一 聖典解釈の萌芽 二 上座部におけるブッダゴーサの地位 [第一部註]
第二部 上座部註釈家の思想 はじめに 第一章 楽受 問題の所在 第一節 初期経典における受 第一項 初期経典における受の種々相 第二項 初期経典における会通 ⑴ 一切皆苦と三受 ⑵ 二受と三受 ⑶ 三苦性と三受 第三項 まとめ 第二節 上座部における楽受の有無をめぐる論争 第一項 『論事』「熱灰論」における議論 第二項 『イティヴッタカ註』におけるヴィタンダ論者との対論 ⑴ 対論の導入 ⑵ 対論一異門・不異門 ⑶ 対論二苦の定義(一) ⑷ 対論三苦の定義(二) ⑸ 対論四想顚倒 ⑹ 対論五楽因と楽想 ⑺ 対論の結び 第三項 まとめ 結 び 第二章 中有否定論 問題の所在 第一節 上座部における中有否定論の萌芽 第二節 「中般涅槃者」の解釈と、有部が抱く自派阿含への不信感 第三節 『論事復々註』における上座部と有部との対論 第一項 導入 第二項 教証一中般涅槃者 第三項 教証二生まれようと求める者 第四項 理証一相続と断絶 第五項 理証二⑴鏡に映った写像 第六項 理証二⑵宝石の煌めき 第七項 理証二⑶鏡と有情・非有情 第八項 理証三因と果に距離があるという問題 第九項 結語 結 び 第三章 獄卒論 問題の所在 ㈠ 地獄の原風景 ㈡ 業論との矛盾、有部と唯識派の理解 ㈢ 先行研究の概観 第一節 閻魔王と獄卒の位置づけ 第一項 閻魔王 第二項 獄卒 第三項 まとめ [補足] 帝釈天とエーラーヴァナ象 第二節 『論事』『論事註』の獄卒論 第一項 懲罰者の有り方 第二項 獄卒論の教証 ⑴ 非有情論の根拠 ⑵ 有情論の根拠 第三項 まとめ 第三節 ダンマパーラ作品における獄卒論 第一項 獄卒は地獄の有情か 第二項 なぜ獄卒たちは地獄で苦しまないのか 第三項 なぜ獄卒は地獄に再生するのか 第四項 獄卒非有情論とそれへの反論 ⑴ 唯識派の主張と上座部の反論 ⑵ 餓鬼と棒を手にした男 ⑶ 夢中の過ち 第五項 上座部における獄卒の定義 第六項 大種説への反論 第七項 獄卒論の総括 結 び 第四章 三世実有批判 問題の所在 第一節 実在論と教証 第一項 三世実有説と有部三蔵 第二項 現在有体・過未無体説と上座部三蔵 第二節 ダンマパーラが展開する実在論の特徴 第一項 有部教理の単純化 第二項 教証「勝義空経」の置き換え 第三項 過去業の実有性 結 び 第五章 業と律 問題の所在 第一節 犯罪アディカラナ 第一項 パーリ律本文における定義 第二項 『律註』における定義 ⑴ 世間罪と制定罪 ⑵ 善心による犯罪 ⑶ 不善心による犯罪 ⑷ 無記心による犯罪 ⑸ 犯罪を起こす心と犯罪アディカラナ 第三項 『ヴァジラブッディティーカー』と『サーラッタ ディーパニー』における定義 ⑴ 定義の継承 ⑵ 勝義説として理解される〈犯罪アディカラナ〉 第四項 まとめ 第二節 学処 第一項 『律註』における定義 第二項 『ヴァジラブッディティーカー』と『サーラッタ ディーパニー』における世俗説としての〈善の学処〉 第三項 まとめ 第三節 犯罪と業果 第四節 『ヴァジラブッディティーカー』と『サーラッタ ディーパニー』による律蔵理解 第五節 『ヴィマティヴィノーダニー』の律蔵理解 第一項 〈犯罪アディカラナ〉と〈学処〉 第二項 犯罪と業果 結 び 総 括 一 聖典は完全に“有意義”という前提 二 上座部における註釈家の位置づけ 三 インド仏教における上座部註釈家の位置づけ [第二部註]
第三部 上座部註釈家の系譜 はじめに 第一章 ブッダゴーサの年代論と真作問題 問題の所在 第一節 登場年代の上限と下限 第二節 著作群の真作問題 第一項 律蔵への註釈 第二項 阿毘達磨蔵への註釈 ⑴ 『法集論註』『分別論註』 ⑵ 五論註 第三項 小部への註釈 ⑴ 『クッダカパータ註』『スッタニパータ註』 ⑵ 『ジャータカ註』『ダンマパダ註』 結 び ㈠ 年代論 ㈡ 真作問題 第二章 ダンマパーラの年代論と真作問題 問題の所在 第一節 著作群の成立順序 第一項 清浄道論註→ニカーヤ復註 第二項 小部註→清浄道論註・ニカーヤ復註 第三項 阿毘達磨復々註→小部註・清浄道論註・ニカーヤ復註 第四項 導論註→阿毘達磨復々註・小部註・清浄道論註・ニカーヤ復註 第五項 導論註・阿毘達磨復々註→導論復註 第六項 まとめ 第二節 真作問題-二人説と一人説 第一項 ダンマパーラ二人説 第二項 小部註とニカーヤ復註の著者別人説 ⑴ 大乗的上座部であった可能性 ⑵ アバヤギリ派であった可能性 ⑶ 三派統合後にマハーヴィハーラ派に編入された可能性 ⑷ 要訣 第三項 ダンマパーラ一人説 ⑴ 『導論』の権威 ⑵ 『導論註』の真作性 第四項 まとめ 第三節 年代論 第一項 先行研究の概観 第二項 『清浄道論註』跋文 第三項 相対年代 ⑴ 先行研究の問題点 ⑵ アーナンダ、ヴァジラブッディとの前後関係 第四項 まとめ 結 び 第三章 アーナンダの年代論 問題の所在 第一節 先行研究の概観 第二節 年代の策定 結 び 第四章 マハーナーマの年代論 第五章 ウパセーナの年代論 問題の所在 第一節 絶対年代 第一項 シリサンガボーディ王 第二項 キッティセーナ書記官 第二節 相対年代 結 び 総 括 [第三部註] 結 論 一 聖典解釈の起源 二 パーリとアッタカター 三 ブッダゴーサ註の権威と正統性 四 上座部註釈家の思想と系譜 [結論註]
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著者略歴(清水俊史) |
仏教学者。2013年、佛教大学大学院博士課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究院PD、佛教大学総合研究所特別研究院などをつとめる。 著書 『阿毘達磨仏教における業論の研究―説一切経有部と上座部を中心に』(大蔵出版 2017年)、『上座部仏教における聖典論の研究』(大蔵出版 2021年)、『ブッダという男―初期仏典を読み解く』(筑摩書房 2023年) |