『火の海の墓標 ~草莽のアジア主義者・市来龍夫とインドネシア ~ 』の詳細情報

火の海の墓標
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タイトル 火の海の墓標
サブタイトル 草莽のアジア主義者・市来龍夫とインドネシア
著者 [著者区分]後藤乾一 [著・文・その他]
出版社 めこん レーベル
本体価格
(予定)
2500円 シリーズ
ページ数 336p Cコード 0030
発売予定日 2025-11-29 ジャンル 一般/単行本/社会科学総記
ISBN 9784839603410 判型 46
内容紹介
不況下の昭和初期、海外雄飛の夢を抱いてオランダ領インドネシアに渡った市来龍夫は「一等国民意識」に染まった典型的な日本青年だったが、植民地の底辺の生活に心の安らぎを得るうちに、次第にインドネシア民族運動に共感を覚えていく。彼にとって、「大東亜戦争」と日本軍政はインドネシア独立を支援する存在であり、軍政に参加することは無上の喜びであった。しかし、日本のホンネは資源獲得にあり、独立の約束はウソだった。そのことに気づいた市来は祖国に裏切られた思いに苛まれる。日本の敗戦後、市来はアブドゥル・ラフマンと名を変えてインドネシア独立軍に身を投じ、神出鬼没の遊撃隊の隊長としてオランダ軍とゲリラ戦を闘うが、1949年1月、東部ジャワ、スメル山南麓で壮絶な戦死を遂げる。
目次
はじめに 
第1章 彷徨(さすらい)の少年時代   
    丙午(ひのえうま)の生まれ   
    カトリック入信   
    東間尋常高等小学校へ入学     
    中学校入学と中退 
第2章 渡南への道    
    渡南の契機   
    からゆきさん   
    トコ・ジュパン時代の到来     
    財団法人・南洋協会の成立   
    市来龍夫、パレンバンへ 
    南洋邦人社会の二重性   
    一等国民の目   
    思索の糧を求めて   
    日本人社会への疑問   
    南洋での一家再興の夢  
    インドネシア語への親近感   
    当時のインドネシア民族運動   
    エロス写真館に勤務   
    バス車掌となる   
    イティとの家庭生活とインドネシア語   
    処女論文・「不毛地耕作」
第3章 「国策」と「アジア解放」のはざまで   
    祖国日本の動向への関心   
    一九三〇年代の親日感情   
    日本の南洋運動の嚆矢   
    大亜細亜協会と南洋   
    M・ハッタの日本視察   
    一九三〇年代前半までの日本・蘭印経済関係   
    日本の輸出攻勢と日本・蘭印関係
    日本の輸出攻勢と日本・蘭印関係   
    邦字紙記者・市来龍夫の誕生   
    南進政策の登場   
    「日蘭商業新聞」と「東印度日報」    
    日本の「文化工作」と蘭印政庁の対日警戒   〝
親日派〟民族主義者の群像――D・デッケル、A・スバルジョ、H・タムリン     
東京での市来龍夫   
    風雲急を告げる国際情勢   
    岩田愛之助グループの工作   
    日本のイスラム関心と小林哲夫=ハジ・オマル・ファイサル   
    東印度共栄同志会の活動   
    東京市経済局バタビア出張所長・佐藤信英を取りまく人間関係
第4章 日本軍政をみつめて   
    「大東亜戦争」勃発と市来龍夫   
    日本政府・軍部の基本的見解   
    インドネシアの反応――期待から失望へ   
    軍政のホンネと市来の憤懣   
    「赤道報」と「うなばら」   
    市来とインドネシア語   
    二つの軍政観   
    市来龍夫と「スメラ」思想   
    大東亜会議とインドネシア   
    ジャワ郷土防衛義勇軍と市来龍夫   
    化物屋敷に住んで   
    アブドゥル・ラフマン氏からの書簡   
    随筆「美食」   
    「東印度」独立容認   
    義勇軍の抗日運動       
スカルノのパンチャ・ダルマ演説   
    運命の年   
第5章 アブドゥル・ラフマン・イチキの流転と帰結   
    敗戦と義勇軍解散   
    八月一五日以後の市来龍夫   
    インドネシア独立軍へ   
    吉住留五郎と特別遊撃隊の誕生   
    アブドゥル・ラフマン・イチキの死   
    「命短き桜花」     
    エピローグ   

あとがき 

市来龍夫、日本・インドネシア関係史等略年表   
人名索引
著者略歴(後藤乾一)
1943年東京生まれ、65年早稲田大学政治経済学部卒、1973-2013年、早稲田大学にて教育・研究に従事。関心分野:「アジアの中の近代日本」の通史的・学際的研究。近年の著作として、『「沖縄核密約』を背負って―若泉敬の生涯』(岩波書店、2010年)、『東南アジアから見た近現代日本』(岩波書店、2012年、高麗大学出版文化会より韓国語版、2023年)、『近代日本の「南進」と沖縄』(岩波書店、2015年)、『「南進」する人びとの近現代史―小笠原諸島・沖縄・インドネシア』(龍溪書舎、2019年)、『日本の南進と大東亜共栄圏』(めこん、2022年)、『われ牢前切腹を賜るー玉蟲左太夫とその時代』(作品社、2024年)、共編著として『東アジア近現代通史』上・下(岩波書店、2014年、台北・台北の聯經出版より中国語版、2024年)等。
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