『ガラパゴスを歩いた男 ~朝枝利男の太平洋探検記 ~ 』の詳細情報
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タイトル |
ガラパゴスを歩いた男 |
サブタイトル |
朝枝利男の太平洋探検記 |
著者 [著者区分] | 丹羽典生 [著・文・その他]
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出版社 |
教育評論社 |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
2400円 |
シリーズ |
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ページ数 |
256p
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Cコード |
0023 |
発売予定日 |
2025-01-08 |
ジャンル |
一般/単行本/伝記 |
ISBN |
9784866241104 |
判型 |
46 |
内容紹介 |
朝枝利男は何者か。「ガラパゴス探検の日本人のパイオニア」でありながら、ほぼ無名の人物である朝枝利男の生涯とガラパゴス諸島への探検などを軸に、彼の残した膨大な写真・スケッチを交えながら紹介する試みである
――本書「序章」の紹介――
「博物館の収蔵庫には、そこで日々働いている者にとってさえ思いがけない事物が保存されている。仕事の机から離れ階段を降りて扉を開けるだけの距離に予想外の出会いが待っているのだ。本書の主人公朝枝利男と筆者との出会いもそうであった。短いエッセイの執筆に必要な太平洋地域の写真の原本を確認するために、業務の隙間をぬって映像音響資料室に足を運んだ時である。
事前に保存を担当していた方に電話で確認すると、朝枝利男という見知らぬ人物によって撮影された写真には、補足資料が併せてあるという。そこでバックヤードに赴くと、そこでは彼の日記、水彩画が何箱も保管されていた。彼の水彩画の美しさにみせられ、日記の証言に胸を躍らされ、時間はあっという間に過ぎていった。この偉業をなした朝枝利男とはいったい誰なのだろうか。
このバックヤードでの偶然の出会いが、本書の執筆に至るきっかけである。本書では、探検家・朝枝利男の生涯についてガラパゴス諸島への探検を軸として紹介する。朝枝利男はいまでは無名といってよかろう。しかるにダーウィンに進化論の着想をもたらした聖地とされるガラパゴス諸島と日本とのかかわりの歴史を考えるときには、欠かすことができない人物である。たとえば、日本ガラパゴスの会の『日本・ガラパゴス50年史』の序章である「前史/朝枝利男物語」は、次のように書き出されている。
朝枝利男(1893-1968)はガラパゴス探検の日本人パイオニアである。本書の日本ガラパゴス交流50年史の枠のなかに入らない1930年代の探検であるが日本ガラパゴス史の中で外す事が出来ない存在である。彼のガラパゴス探検が日本または日本人に与えた影響は、ほとんど皆無と云っていいが、ここに50年史の序章として記録しておく(伊藤・西原 二〇一六)
日本のガラパゴス史における朝枝の重要性と位置づけの難しさは、この手短な紹介から明瞭に伝わる。別言すれば、日本人のガラパゴス研究の草分けであることは確かながら、後世に残る実績とは何かと問われると説明しがたいわけである。先に引用した文章のタイトルに「前史」とあるように歴史の前に属するわけである。日本におけるガラパゴス研究を牽引し、生前の朝枝と会ったことのある伊藤秀三が、朝枝をこのように見立てているのは傾聴に値する。実際のところ伊藤秀三は、朝枝利男の数少ない紹介者である。 (序章より)
カバー(C) 写真:ガラパゴスに立つ朝枝利男(フロレアナ島ブラックビーチ、1932年、国立民族学博物館X0076115) 図版:クロッカー隊のガラパゴス諸島の経路(製作:朝枝利男、国立民族学博物館X0076014)
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目次 |
序章 バックヤードでの出会い 一 ガラパゴス探検の日本人パイオニア 二 日本人最初のガラパゴス諸島への訪問者か
第一章 渡米して探検家となる 一 アメリカ留学まで 二 アメリカでの探検隊への参加
第二章 ガラパゴス諸島探検記 一 ガラパゴスへの訪問 二 風変わりなドイツ人男女との出会い 三 人類未踏のクロッカー山の頂を制覇 四 来島記念を岸壁に記す 五 一九三二年のガラパゴス探検の終わりに
第三章 ガラパゴスでの発見と記録 一 新種の発見 二 火山活動を観察する「最も危険な旅」 三 仙人掌観察 四 「鳥の楽園」のなかで 五 そのほかの動物たち 六 日本へのガラパゴスの紹介
第四章 太平洋を駆け抜ける 一 ピトケアン島を経てイースター島にて神秘の中心を味わう 二 モアイ像の複製をつくる 三 ソロモン諸島にて民族学の調査に協力する
第五章 探検を終えた朝枝利男 一 第二次世界大戦 二 収容所での生活 三 戦後のアメリカにて 四 朝枝利男の最期
年譜 参照文献一覧 |
著者略歴(丹羽典生) |
国立民族学博物館グローバル現象研究部教授、専門は社会人類学、オセアニア地域研究。 主な著書・編著に、『記憶と歴史の人類学――東南アジア・オセアニア島嶼部における戦争・移住・他者接触の経験 』(風間計博・丹羽典生編、風響社、2024年)、『応援の人類学』(丹羽典生編、青弓社、2020)、『〈紛争〉の比較民族誌――グローバル化におけるオセアニアの暴力・民族対立・政治的混乱』(丹羽典生編、春風社、2016年)、『脱伝統としての開発――フィジー・ラミ運動の歴史人類学』(丹羽典生、明石書店、2009年)など。 |