『だから、ワタシは「罪に問われた人たち」と生きる。 ~犯罪と向き合う7人の物語 ~ 』の詳細情報

だから、ワタシは「罪に問われた人たち」と生きる。
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タイトル だから、ワタシは「罪に問われた人たち」と生きる。
サブタイトル 犯罪と向き合う7人の物語
著者 [著者区分]■木下大生 [著・文・その他]
■丸山泰弘 [著・文・その他]
出版社 現代人文社 レーベル
本体価格
(予定)
2500円 シリーズ
ページ数 210p Cコード 3032
発売予定日 2024-11-01 ジャンル 専門/単行本/法律
ISBN 9784877988708 判型 A5
内容紹介
罪を犯し刑務所に入所した人は、死刑判決でない限り(再審無罪の場合もある。もっと言えば死刑確定者であっても支援は必要な場合もある)、原則として出所し、地域社会で生活を送ることとなる。また、執行猶予判決を受けた者は、刑務所へ入所することなく、一定のルールのもと地域社会で生活を送ることとなる。その際に、彼・彼女らに十分な支援はなされているのであろうか? 彼・彼女らを、「あんな奴ら」とみなし、軽蔑し、遠ざけ、排除しようとしているのではないだろうか? そのような世間の風潮とは別に、彼・彼女らの更生を信じ、自立した生活を送れるように彼らに関わる人たちがいる。

本書は、そういった人たちと関わろうとするソーシャルワーカー、公認心理師・臨床心理士、刑事弁護人、依存症当事者・依存症回復施設職員、刑務官(元)・看護師、研究者(犯罪学・刑事政策)による対談を収録したものである。彼・彼女らが罪を犯した人と関わろうとする動機は、再犯防止、罪を犯した人の生き直し、人が生きたいように生きる社会の実現、自身が生きる意味を考えるため、自分の生きる社会を良くしたい、とさまざまである。

罪を犯した人への支援は不要であると考える人もいるかもしれない。また、支援が必要かどうかの答えを持ち合わせていない人もいるであろう。しかし、犯罪とは、どこか遠くで起こっている他人事ではなく、我々の生活する社会と地続きの自分事である。

罪を犯した人との関わりを考えることで、我々が身を置く社会のあるべき姿はどのようなものであるかを検討する機会を提供する。
目次
はじめに

プロローグ 司法と福祉が交わるとき~その方程式は掛け算か割り算か~
木下大生 … 研究者(障害者福祉)・ソーシャルワーカー
●専門職連携による包括的支援の重要性●福祉職が刑事司法領域に関与するまでの経緯●専門職の連携の必要性

第1章 「刑事司法」×「ソーシャルワーカー」= “社会復帰” のその先へ
金子毅司 … ソーシャルワーカー
●経験を積むほど湧き上がる疑問●実践へ●本人の希望に添い、必要な支援を見極める●小さなきっかけで新たな排除が生まれる

Column① 司法と福祉の連携の“これまで”と“これから”

第2章 「刑事弁護」×「治療的司法」=被告人という「人間」と向き合う
菅原直美 … 弁護士
●誰だって「より良く生きたい」と願っている●「治療的司法」という哲学に出会う●ある依頼者のケースから得た気づき●司法と福祉をどう繋いでいくか●「自己責任」という言葉で片づけない

Column② あのオバちゃんは誰やねん

第3章 「薬物依存」×「当事者スタッフ」=安心できる場所で生きる
渡邊洋次郎 … 依存症当事者・依存症回復施設職員
●自分を見つめ直す試みの場●支援者として何をするのか、何ができるか●寂しさから犯罪、依存症に至る●社会でうまくやっていくには、自分が変わらなければならない●「絶対に譲れない価値」を持つ

Column③ 自分の弱みだったことが強みに変わるとき

第4章 「施設の心理職」×「当事者の対話」=ニーズを知りリスクを捉える
毛利真弓 … 公認心理師・臨床心理士
●心理師として少年に向き合う●少年の心の動きや背景にある問題の大きさ●変化のために共同体を使う●変わっていった人たち●センシティブな問題にどう取り組むか●島根あさひの「回復」プロセス●実感したさまざまな効果●支援とともに自分も生きやすくなった

Column④ 治療共同体という存在

第5章 「医療刑務所」×「ニーズが高い人」=地域社会でともに生きるために
加藤公一 … 元刑務官・看護師
●刑務官という職の特殊性に抱いた違和感●脱人格化せざるをえない環境●出所後の社会での適応能力は身につくのか?●新しい刑務所運営と社会復帰支援の取組み●個別対応と教育支援による刑務所改革

Column⑤ 日本から懲役刑が無くなるけど70年ほどは無くならない!?

第6章 「薬物政策」×「ダイバーシティ」=その人らしく生きるということ
丸山泰弘 … 研究者(刑事政策・犯罪学)

●その人と一緒に闘う●刑事政策と向き合う●ドラッグコートとの出会い●刑罰に頼らない薬物政策とは●さまざまな視点から薬物問題を考える●“その人らしく生きる”を支援する

Column ⑥ “Addict” は偏見を生み出すのか

第7章 「誰か」と「社会問題」が交わる時→答え合わせ
●罪を犯した人々への支援感の醸成●刑務所改革の現状と課題―教育刑の導入とその影響●刑務所改革に向けた多様なアプローチ―障がい者対応の改善の必要性●罪を犯した人々への支援の意味

おわりに
編著者略歴
著者略歴(木下大生)
木下大生(きのした・だいせい)
武蔵野大学人間科学部教授。博士(リハビリテーション科学)、社会福祉士。医療ソーシャルワーカー、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究係長等を経て、現職。専門は、障害者福祉、ソーシャルワーク。一般社団法人TSネットワーク理事。近年はソーシャルワーカーとして、罪に問われた人、性風俗で働く女性の支援に携わってきた。著作に、『認知症の知的障害者への支援―「獲得」から「生活の質の維持・向上」へ』(単著、ミネルヴァ書房、2020年)、『ソーシャルアクション! あなたが社会を変えよう!―はじめの一歩を踏み出すための入門書』(共編著、ミネルヴァ書房、2019年)、『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』(岩波書店、2015年)ほか。利き手は右手。利き足は左足。遠近両用+調光レンズ(ブルー)の眼鏡を使用している。
著者略歴(丸山泰弘)
丸山泰弘(まるやま・やすひろ)
立正大学法学部教授。博士(法学)。専門は刑事政策・犯罪学。日本犯罪社会学会理事、日本司福祉学会理事。2017年にロンドン大学バーベック校客員研究員、2018年から2020年にカリフォルニア大学バークレー校客員研究員。テレビやネットニュースでは触れられない問題とこれまでにない角度から「犯罪」を考える市民が増えることを目指したPodcastトーク番組「丸ちゃん教授のツミナハナシ」のメインMC。拙著『刑事司法における薬物依存治療プログラムの意義―「回復」をめぐる権利と義務』(日本評論社、2015年)で守屋研究奨励賞(2016年)。その他の業績としてタモリ倶楽部の空耳アワーのTシャツ獲得がある。朝の連続ドラマ小説が大好きでNHKの人も驚くぐらいかなりのGeekである。
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