『「台湾菜」の文化史 ~国民料理の創造と変遷 ~ 』の詳細情報
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タイトル |
「台湾菜」の文化史 |
サブタイトル |
国民料理の創造と変遷 |
著者 [著者区分] | ■陳玉箴 [著・文・その他] ■天神裕子 [翻訳] ■岩間一弘 [解説]
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出版社 |
三元社 |
レーベル |
台湾学研究叢書 |
本体価格 (予定) |
5000円 |
シリーズ |
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ページ数 |
488p
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Cコード |
1022 |
発売予定日 |
2024-06-18 |
ジャンル |
教養/単行本/外国歴史 |
ISBN |
9784883035915 |
判型 |
A5 |
内容紹介 |
「台湾料理」とはなにか? 本書は国宴、高級レストラン、夜市、庶民の食卓にのぼるさまざまな料理を紹介しつつ、「台湾菜(台湾の料理)」という概念が100年の間にいかに定義され、表現され、実践されてきたかを検証するものである。日本の台湾統治と第2次大戦後の権威主義的政権もまた、多くの新たな飲食の要素を台湾に持ちこみ、民主化後の、現在の「台湾」を形づくってきた。つまり「台湾料理」とは何かを問うことは、まさにこの100年余にわたって台湾社会がいかに大きな変化を経てきたかを理解することなのである。
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目次 |
日本語版への序 iv 序 私の台湾菜の旅 1
第1章 序論 「台湾菜」の文化史 5 第1節 「台湾菜」とは何か? 6 第2節 飲食という新たな研究領域 9 1 飲食体系と構造 11 2 飲食マナー(dining manners)と儀式 12 3 飲食の発展と社会、政治経済の変遷 13 4 飲食と集団の記憶、アイデンティティ 14 5 食物における社会的識別、たとえば族群、階級、性別 14 第3節 国民、国民性、国民料理 16 第4節 マクロからミクロへ 物と具現化の研究アプローチ 22 注 29
第2章 植民地の高級料理―日本統治期の「台湾料理」の誕生 35 はじめに 台湾料理―命名された他者 36 第1節 台湾料理の登場 37 第2節 日本統治期のレストランにおける食の消費 50 1 料理屋と飲食店 50 2 台湾料理、日本料理と西洋料理 53 第3節 台菜の文化パフォーマンス―「支那料理」から「台湾料理」へ 61 1 大型レストランの勃興 61 2 江山楼の「台湾料理」論 65 3 蓬莱閣(一九二七―一九五五)の登場と影響 71 おわりに 植民地料理のパフォーマンスと変形 78 注 80
第3章 古来の台湾の味―庶民の食卓 87 はじめに 台菜の文化パフォーマンスと生活の実践 88 第1節 台湾人の家庭料理 89 1 主食と副食 90 1 主食:サツマイモ、米と雑穀 90 2 副食 93 1 野菜と漬物 93 2 肉類と水産物 98 2 調理と味付けの方法 102 1 調理方法 103 2 調味法 108 3 一九五〇年代以前の台湾家庭における日常の料理 111 1 土地の食材を主に食べる 114 2 漬物を活用した料理 115 3 シンプルな調理法、塩からい味付け 115 4 節句料理の再利用 116 4 ベジタリアン文化 116 第2節 一般大衆の宴席―節句や慶事の食物と辦桌 118 1 節句や慶事の食物 119 2 辦桌 126 1 プロのスタッフ不在の人脈による協力 129 2 人的ネットワークを総動員 130 3 油脂、肉類の多い豪華な料理 131 3 小結―公共パフォーマンス性を備えた生活の実践 135 第3節 日常の点心と街角の軽食 138 1 点心 138 2 街角の軽食と夜市の形成 145 3 日本式点心 150 おわりに―民間の「台湾菜」 152 注 154
第4章 移植と混交―戦後書き換えられた飲食地図 163 はじめに 国家、移民と食物 164 第1節 戦後の激変―経済の困窮と節約運動 168 第2節 反共復国思想のもとでの消費管理―酒家と公共食堂 184 1 人力と金銭資源の徴用 190 2 料理組合の役割 194 第3節 移植された中国の味―レストラン、市場と眷村の飲食 198 1 中国各地の地方料理レストランの集中 199 2 政府宴席の代表―圓山大飯店 205 3 軽食屋台と市場 208 4 眷村と「眷村の味」 212 第4節 新しい地図と新しい階層―「中国菜」の混交と現地化 216 1 傅培梅のレシピにおける「中国料理」の再現 217 2 一九六〇年代以降の新興台菜レストラン 224 1.日本統治期の酒楼文化を踏襲したもの 224 2.粥と小皿料理 225 3 戦後の料理系統の混交のもとで生まれた新たな「台菜」 230 おわりに 戦後中華料理の周縁的一系統となった「台菜」 234 注 238
第5章 エスニシティ、階級と飲食「伝統」の創造 253 はじめに 現代の「台湾菜」が意味するものの変化 254 第1節 「四大族群」論と「客家料理」、「先住民料理」の興り 260 1 先住民料理―自然と無垢の神話 263 2 客家料理の興り―伝統と階級のせめぎ合い 271 第2節 国宴における族群の象徴 284 1 国宴の変化 284 2 「国宴下郷」政策 293 3 「台湾小吃」の形成と「台湾菜」の意味の発展 299 おわりに 台湾化路線に育まれた「台湾小吃」 304 注 308
第6章 台湾菜と「故郷の味」―家および文化的記憶の変遷 315 はじめに―飲食エクリチュールにおける個の記憶と集団の記憶 316 第1節 「故郷の味」のコミュニケーション的記憶から文化的記憶へ 318 1 「故郷の味」とはなにか 318 2 コミュニケーション的記憶から文化的記憶へ 322 3 台湾の現代飲食文学における「故郷の味」 328 第2節 唐魯孫と逯耀東―家庭の味に対する追求 334 1 台湾において北平の故郷を懐かしむ唐魯孫 334 1 文化的記憶として描かれた中国の飲食の伝統 334 2 離散―家、国と文化的記憶の喪失 343 2 逯耀東―中国、香港、台湾における故郷の味の喪失と再建 348 1 流浪の中で失われた「故郷の味」 348 2 台北で改めて再現された(re-staged)「故郷の味」 353 第3節 家の身体実践―林海音の飲食エクリチュールにおける調理と食 361 1 林海音の飲食エクリチュール 361 2 「良い食事」の生産者―家庭の料理 364 3 「第一の故郷」の再認識―台湾の飲食を紹介 374 4 二重の離郷者の「故郷の味」 378 おわりに 「故郷の味」の再定義―文化的記憶が定着する場所 387 注 392
第7章 結論 ガラスの容器のなかの台湾菜 403 1 「国民料理」の三つの特徴―関係性、パフォーマンス性、商品性 405 2 食物消費における「国民料理」の誕生 408 3 「国民」という境界線の流動と個体の感受性(sensibility) 409 4 ガラスの容器のなかの台湾菜 412 注 416
解説 岩間一弘 417 訳者あとがき 434 引用文献 436 事項索引 465 人名索引 468 |
著者略歴(陳玉箴) |
陳玉箴(Yujen Chen )(ちん・ぎょくしん) 国立台湾師範大学台湾語文学系教授。主な著書に『飲食文化』(華都文化事業有限公司、2015)、『大碗大匙呷鮑未?一定要知道的台湾菜故事!』(聯合文學出版社、2018)、『聴布拉格唱情歌』(葉子出版股份有限公司、2004)等、その他飲食文化研究に関する学術論文多数。訳書に『飲食、権力与国族認同:当代日本料理的形成』(Katarzyna Joanna Cwiertka, Modern Japanese Cuisine: Food, Power And National Identity, Reaktion Books, 2007)(韋伯文化國際出版有限公司、2009)『媒介概念十六講』(Roger Silverstone, Why study the Media? Sage Publications UK,1999)(韋伯文化国際出版有限公司、2002)がある。「地球上の食物資源が永遠に豊かで、次世代が美味しい食を楽しむことができますように!」との願いを抱きつつ、日々研究に取り組んでいる。 |
著者略歴(天神裕子) |
天神裕子 大妻女子大学等非常勤講師。主な論文に「絡まり合うディアスポラとジェンダー―女性作家林海音の場合」(『中国女性史研究会』第31号、2022)、「欧陽子『日本童年的回億』についての一考察―“回億”と“記憶”のあいだ」(『文学の力、語りの挑戦 中国近現代文学論集』宮尾正樹教授退休記念論集刊行会編、2021)、翻訳に林海音「英子の手紙」『黒い雪玉 日本との戦争を描く中国語圏作品集』(中国文庫、2022)などがある。 |
著者略歴(岩間一弘) |
岩間一弘 慶應義塾大学文学部教授 専門は東アジア近現代史、食の文化交流史、中国都市史。 おもな著書に、『中国料理の世界史―美食のナショナリズムをこえて』(慶應義塾大学出版会、2021年)、『中国料理と近現代日本―食と嗜好の文化交流史』(編著書、慶應義塾大学出版会、2019年)などがある。 |