『笹本晃 ラボラトリー』の詳細情報

笹本晃 ラボラトリー
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タイトル 笹本晃 ラボラトリー
サブタイトル
著者 [著者区分]■笹本晃 [著・文・その他]
■岡村恵子 [著・文・その他]
■ティム・グリフィン [著・文・その他]
出版社 torch press レーベル
本体価格
(予定)
3000円 シリーズ
ページ数 192p Cコード 0071
発売予定日 2025-11-14 ジャンル 一般/単行本/絵画・彫刻
ISBN 9784907562588 判型 B5変形
内容紹介
東京都現代美術館で開催される個展「笹本晃 ラボラトリー」の展覧会図録として刊行する本書は、笹本晃の20年にわたる活動を回顧的に検証した初のモノグラフとなります。笹本はニューヨークを拠点に、造形表現とパフォーマンス・アートを往還しながら活動を重ねてきました。2000年代半ばより、パフォーマンス、ダンス、インスタレーション、映像など、自身のアイディアを伝えるのに必要なメディアを横断的に用いた作品を手掛けています。特に、自ら設計・構成した彫刻/装置/造形物を空間に配してインスタレーションを創り出し、その中で自身がその環境の構成要素の一つとなって即興的なパフォーマンスを行うスタイルで広く知られています。

日常的な所作や行為に、私小説的なエピソードを絡めた軽妙な語りを巧みに組み合わせつつ、初期作品では、癖や習慣、行動パターンなどの分析から個人のパーソナリティの有り様を考察し、また近年は、気象や動植物の生態などを観察の対象として、作品構造やナラティブ(物語)に採り入れてきました。緻密に設計されたそれぞれの造形物は、そうした語りを際立てる道具であるだけでなく、即興的なパフォーマンスの思いがけない展開を誘発するスコア(譜面)となります。展示会期中に複数回行われるパフォーマンスの前後には、空間はインスタレーションとして鑑賞されます。

タイトルの「ラボラトリー」は、実験、演習あるいは研究のための空間を指し、鑑賞者が、美術館のホワイトキューブ内で笹本とその作品の生態を観察し検証する機会という意味合いとともに、この世界で起きる大小さまざまな現象について、注意深く観察し、分析しようと試みる、笹本の視点を示唆しています。本展では、初期のパフォーマンス/インスタレーションの代表作から、造形物自体のキネティックな要素が強まる最新作まで、独自の実践を重ねてきた笹本の異才とその作品を、動的に検証します。

本図録は、出品作品を中心として笹本晃のミッドキャリアを概観するモノグラフ(これまでの作家の活動を包括的に検証する図録)となり、作家の言葉、撮り下ろしのインスタレーション風景、ティム・グリフィンと担当学芸員他による論考、活動年譜など、充実した内容を収録しています。
目次
図版
026 cooking show[クッキング・ショー]
030 remembering/modifying/developing[思い出して/改造して/展開して]
034 Secrets of My Mother’s Child[母の娘の事実] 038 Strange Attractors[ストレンジ・アトラクターズ]
050 Skewed Lies[ねじれた嘘]
056 Wrong Happy Hour[誤りハッピーアワー]
070 Delicate Cycle[デリケート・サイクル]
074 random memo random[ランダム・メモ・ランダム]
076 Yield Point[降伏点]
090 Do Nut Diagram[ドゥー・ナット・ダイアグラム]
092 Spirits Cubed[スピリッツの3乗]
096 Squirrel Ways[リスの手法]
100 Sink or Float[浮き沈み]
104 Point Reflection[点対称]
106 Sounding Lines[測深線]
110 catch or be caught[とるかとられるか]

024 決定と献身、自己の二重化
055 ダイアグラムについて
067 ビデオについて
109 年齢について

130 笹本晃 ラボラトリー 岡村恵子
140 笹本晃、その軌跡と時代 ティム・グリフィン
146 笹本晃:年譜 1980–2025
166 パブリック・コレクション
169 主要参考文献
著者略歴(笹本晃)
1980年神奈川県に生まれ、10代で単身渡英。その後アメリカに移り、ウェズリアン大学でダンスや美術を学ぶ。2007年にコロンビア大学大学院(ニューヨーク)より芸術学修士号取得。現在はイェール大学芸術大学院彫刻専攻で教鞭を取り、専攻長を務める。
主な個展に、スカルプチャー・センター(ニューヨーク、2016年)、クイーンズ美術館(ニューヨーク、2023-2024年)、パラサイト(香港、2024年)がある。横浜トリエンナーレ(2008年)、ホイットニー・ビエンナーレ(2010年)、第9回光州ビエンナーレ(2012年)、第11回上海ビエンナーレ(2016-2017年)、第3回コチ=ムジリス・ビエンナーレ(2016年)、国際芸術祭あいち(2022年)、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2022年)など多数の国際展に出品。2023年、アレクサンダー・カルダーの才能を反映する革新的な彫刻作家に贈られるカルダー賞を受賞。
著者略歴(岡村恵子)
東京都現代美術館事業企画課企画係⻑。学芸員として東京都現代美術館(1995–2007年/2021年–現在)、東京都写真美術館(2007–2021年)で数々の企画を手掛ける。2009年に映像とアートの国際フェスティバル「恵比寿映像祭」の創設を担う。2021年開催の第13回まで毎年携わり、映像インスタレーションや映画、パフォーマンス作品を領域横断的に数多く紹介した。主な企画に「躍動するイメージ。石田尚志とアブストラクト・アニメーションの源流」(2009–2010)、「フィオナ・タン まなざしの詩学」(2014)、「しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像 1970年代から現在へ」(2019)、「山城知佳子 リフレーミング」(2021)、「MOTコレクション 被膜虚実」(2023)がある。
著者略歴(ティム・グリフィン)
ロサンゼルスを拠点に活動する作家およびキュレーターで、現在は現代美術作家や作曲家による新しいオペラのモデルを展開するThe Industryの芸術監督および事務局長を務める。以前はニューヨークのザ・キッチン(2011–2021年)で事務局長およびチーフキュレーターを務め、シャンタル・アケルマン、ローリー・アンダーソン、ANOHNI、コリー・アーケンジェル、アブラハム・クルズヴィエイガス、ラルフ・レモン、ダン・ヴォなどのアーティストと共同でプロジェクトを行っていた。2003–2010年の間は『Artforum』の編集者として活躍し、パフォーマンスの拡張的役割、アートと詩、現代的文脈における美術館のあり方などに関する特集号を編集。刊行を控えた著書『Compression』(Sternberg Press、2026年)では、2000年以降のアーティストによる歴史と記憶との関わりを考察している。
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