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タイトル |
燈謎 漢字文化圏文字遊戯の諸相 |
サブタイトル |
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著者 [著者区分] | 呉 修喆 [著・文・その他]
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出版社 |
文学通信 |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
6000円 |
シリーズ |
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ページ数 |
298p
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Cコード |
0098 |
発売予定日 |
2023-02-28 |
ジャンル |
一般/単行本/外国文学、その他 |
ISBN |
9784909658944 |
判型 |
A5 |
内容紹介 |
これはどうやって解く〈なぞなぞ〉なのか。
文字遊戯に心酔し、作品を創り、知的コミュニティを結成し、燈謎というものの価値を世間に大いに喧伝しようとした人々の思いとは。
漢字語彙の多義性を利用し、違う意味に読み替えていく、または、本来の語彙・文字を分解・変形させるなど、多様な技巧が含まれる、燈謎(とうめい)。長い間、性質と輪郭が曖昧な、文学と民俗のはざまにさまようコウモリのようなものになってしまっている、燈謎。本書は、透明にされがちな燈謎の作り手に光をあて、中国の燈謎文化史の欠けたピースを補うものである。
燈謎という漢字文化圏文字遊戯の七世紀にわたる変遷から、漢字文化の根底に潜んでいるエネルギーをダイナミックに描き出した書。附章「平城宮跡出土組み合わせ文字の水脈をたどる」では、遊戯的表現が誕生するきっかけになりうる様態を確認、検討することにより、民間信仰の深層に潜り込んだ文字遊戯からその背後に広がる豊かな文化世界への糸口として捉えようとする野心的な研究。中国文化文学のみならず、漢字文化圏の研究者必携の書です。
【本書は燈謎についてはっきりとした定義を提供することを目的としているわけではない。やや弁解じみた言い方をすると、本書は、研究対象の定義のしにくさを出発点としている。明白な定義を下しにくい現状を作り出したのは何なのか、それをめぐって先人たちはどのような葛藤を抱えてきたのかを考察したものである。ゆえに、本書は燈謎そのものに対する研究というより、そのような文字遊戯に心酔し、作品を創り、燈謎で知的コミュニティを結成し、燈謎というものの価値を世間に大いに喧伝しようとする人々の思いを描こうとするものである。】……序章より。
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目次 |
目 次
序章 謎解きに集う人々
一「燈謎」とは燈籠に掲げるなぞなぞなのか?
二 燈謎研究の現状と問題点
第一章 演じられた謎かけ
一 ライブ・エンターテインメントとしての「商謎」
二 筆記小説に見られる商謎の類例
三 本章のまとめ
第二章 カテゴライズされる謎
一 明末の燈謎攻略書
二 九種の日用類書
三 燈謎の位置付けと分類
四 本章のまとめ
第三章 章回小説に織り込まれた燈謎
一 明末清初の世情小説:西周生『醒世姻縁伝』
二 『紅楼夢』とその続書
三 才学小説:李汝珍『鏡花縁』
四 才子佳人・狎邪小説
五 小説革命以降の章回小説
六 本章のまとめ
第四章 謎作りに興じた人々
一 燈謎に積もる話
二 近代ジャーナリズムの流れに乗って
三 中国民俗学との齟齬
四 本章のまとめ
第五章 文化的郷愁とともに
一 近代台湾における燈謎活動
1 日本統治時代以前(一六六一―一八九五)
2 日本統治時代(一八九五―一九四五)
二 戦後の文化政策と謎社の復興
1 戦後の「中国化」(一九四五―一九六五)
2 中華文化復興運動期(一九六六―一九七六)
3 文化建設から「本土化」へ(一九七七―現在)
三 本章のまとめ
第六章 引き継がれた燈火
一 戦後大陸における燈謎活動
1 謎社の分布と種類
2 一九九〇年代大陸謎人の基本状況
3 全国的な刊行物と組織
二 断層を乗り越えて
1 復活と統制(戦後から文革期まで)
2 蘇生(文革収束後から一九八〇年代まで)
3 組織の移転と競技化ブーム(九〇年代以降)
三 本章のまとめ
終章 境界線上の〈戯れ〉
附章 平城宮跡出土組み合わせ文字の水脈をたどる
一 文字遊戯の水脈
二 呪符説の再考
三 文字遊戯のシルクロード
四 推論と仮説
あとがき
初出一覧
参考文献
索引 |
著者略歴(呉 修喆) |
1983年、中国浙江省生まれ。華東師範大学日本語学科卒業。復旦大学中文系文芸学専攻修士課程在学中、國學院大學文学研究科伝承文学コースに一年交換留学。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。帝京科学大学非常勤講師を経て、現在は独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所アソシエイトフェロー。
研究分野は漢字文化史、地域文化研究。 |