小島一郎の写真家としての活動期間は、戦後の復員後から始まり、亡くなるまでの僅か10年という短い期間だが、残された作品は、東北に生きる人々やその大地をドラマティックに表現したもので、現代の今でもそれを観る人をいまだ惹きつけるような魅力的な作品を残しています。
近年の出版物として「小島一郎 hysteric eleven(ヒステリックグラマー刊 2004)」、「小島一郎写真集成 (インスクリプト刊 2009)」が出版されていますが、roshin booksは小島作品に存在する孤独、孤高な側面から作品を見つめ直し、未発表の作品を含めて新たに「Solitude Standing」として編集しました。
また、別冊として小島がカメラ雑誌に発表した最後の作品である「東京の夕日」を制作しました(未発表1点含む6点)。津軽の作品で賞を受賞し、華々しく上京後も自らを成功へと導いた東北の作品から脱却できないという苦悩、静かな東北での暮らしと真逆の騒音の東京での生活の中で擦り切れた心で眺めていたであろう東京の夕日の先には、静かに雪が降り積もる津軽の景色が小島には見えていたのではないか、そんな思いからこの別冊を添えることにしました。
既に小島一郎を知る人にも、またこれから新たに知る人にも大きな衝撃がある1冊となっています。
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