『岩波ホールという伝説 はらだたけひでは語る』の詳細情報

岩波ホールという伝説 はらだたけひでは語る
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タイトル 岩波ホールという伝説 はらだたけひでは語る
サブタイトル
著者 [著者区分]■はらだたけひで [著・文・その他]
■馬場広信 [著・文・その他]
出版社 悠人書院 レーベル
本体価格
(予定)
3000円 シリーズ
ページ数 382p Cコード 0095
発売予定日 2025-11-20 ジャンル 一般/単行本/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN 9784910490151 判型 46
内容紹介
1974年、世界の名作映画を世に紹介してきた川喜多かしこ(後に川喜多記念映画文化財団理事長)とともに、当時は映画専門館ではなかった岩波ホール総支配人だった髙野悦子は、上映運動「エキプ・ド・シネマ」(第一回上映はサタジット・レイ監督『大樹のうた』)を始める。



以後、ジャン・ルノワール、ルキノ・ヴィスコンティ、イングマール・ベルイマン、サタジット・レイ、羽田澄子、アンジェイ・ワイダ、アニエス・ヴァルダ、アンドレイ・タルコフスキー、オタル・イオセリアニ、テオ・アンゲロプロスなど巨匠の作品のみならず、第三世界と言われたアジア・アフリカ・南米・東欧などの優れた作品を、半世紀近く上映し、二〇二二年、惜しまれつつ閉館した。



その岩波ホールで、髙野支配人のもと、一九七四年から二〇一九年まで、中心的なスタッフとして企画・広報に携わった、はらだたけひでが語る貴重な証言。
目次
はじめに 馬場広信



 一、岩波ホールとは何だったのか

   ―日本ATGに始まるアート・ハウス映画館六十一年の歩みを振り返る



1.真のアート・ハウス系映画館が東京から消える 8/2.岩波ホールの先駆け、日本アート・シアター・ギルドの十三年 11/3.川喜多かしこと髙野悦子:岩波ホール―エキプ・ド・シネマという映画公開運動 14/4.二十一世紀の岩波ホール:映画館の色を保った最後の砦 18

 二、 本書の目的と構成 20


第一章 はらださんの放浪時代―岩波ホール入社前史



はらださんとの出会い 24/少年の未来を妨げた壁 26/政治の季節に文学に目覚める 30/カウンター・カルチャーの興隆 33/エヴァンス、コルトレーン、ジャニス 35/六〇年代末、カタストロフと再生の感覚 38/ダダイズム、シュールレアリスムを知る 40/ラモリス監督『白い馬』が創造的原風景の一つ 42/高校における蹉跌 47/カフカの文庫本に書き付けをする男 49/バシュラールとフランチェスコ─希望を探し続ける 51/新聞配達、サンドイッチマンをして得たもの 53/大空詩人と佐々木昭一郎演出「さすらい」 55/美学校入学、現代美術・松澤宥の門下に 58/ドロップアウト、女性のグループとともに 60/広河隆一のコミューン運動に参加 63/独立国宣言不発、そして長野へ 67/フランチェスコに導かれて過疎の村へ 71/インド映画を観るために岩波ホールへ 76/総支配人・髙野悦子さんとの出会い 78



第二章 映画館としての岩波ホール―その伝説の始まり



岩波ホールと髙野さん 84/岩波不動産株式会社ホール部 88/入社間もなく映写技師に 93/多目的文化ホールとして 97/ポルトガルとギリシャ悲劇 101/エキプ・ド・シネマ草創期 104/世界の映画を積極的に紹介 109/IP、フランス映画社、東宝東和 112/岩波ホール演劇シリーズ 114/『惑星ソラリス』、『ねむの木の詩がきこえる』の成功 119/ポスターデザインと髙野さんコード? 128/宣伝費トップオフの50%50% 132/ATGと岩波ホールで上映されたタルコフスキー 136/独自に宣伝を始める 140/「はらださん、なんとかできないかしら?」 142/初の来日監督、ギオルギ・シェンゲラヤ 148/『家族の肖像』、フランス映画社との蜜月 151/アカデミズムの場としての自覚 156/集会室で野球、台所には酒瓶ゴロゴロ 161/『泥の河』と自主応援団 163/幻となった岩波ホール公開作品 166/八〇年代初頭は次の展開への胎動期 172/アンジェイ・ワイダ監督と髙野さんの交流 176/ヘルマ・サンダース=ブラームス監督とともに 179/エキプ・ド・シネマ提供とは 183/髙野さんの勝負師と映画を愛する母の顔 187



第三章 世界の埋もれた映画を紹介する―女性監督作品を中心に



積年の企画、日本・ポルトガル合作『恋の浮島』完成 192/一日一回、長時間映画上映が定着 199/『痴呆性老人の世界』、『八月の鯨』、老いをテーマに 205/ロング・ラン上映が続く日々 209/インドネシア女優との家族的な交流 215/『サラーム・ボンベイ!』で髙野さんと大議論 216/初日が近づくと胃が痛くなる 219/絵本作家としてデビュー 222/ヴァルダ監督のドゥミ監督への思い 225/『森の中の淑女』と髙野さん 228/大竹洋子さんの退職、髙野さんの発病 232/危うく上映中止になりかけた作品 237/「国策映画」というレッテルを覆す 238/戦火のサラエボを描く映画 242/ヴァージニア・ウルフに魅せられて 246/超ロング・ラン上映の背景 250/『山の郵便配達』とタヴェルニエ監督のこと 252/外国映画の買い付け値が高騰する中で 256



第四章 揺れ動く世界のただなかで──岩波ホールの矜持



はらださんと試写室で再会する 260/東宝東和と再び組む 262/岩波ホールパンフレットのロゴ 264/『フィオナの海』の思い出 267/映画上映と原作本の出版 269/配給会社と考えの相違の狭間で 272/スペイン内戦を描く『大地と自由』の顚末 274/黒木和雄監督とともに 283/記録的な冷夏に極北イヌイットの映画 287/クルド民族の映画を相次いで公開 288/黒木監督の急逝と『ヒロシマナガサキ』 293/ジョージア映画『懺悔』を念願の公開 297/新たな配給会社とともに 301/映像作家佐々木昭一郎との出会い 305/邦題作りの苦労と成果 307/『ミンヨン 倍音の法則』 312/髙野悦子さんの逝去 319/『大いなる沈黙へ』を八年越しに公開 322/思いの丈を込めたチラシ 324/期待通りの斬新なポスター 329/エミリー・ディキンスンへの思い入れ 331/邦題は実名で直球勝負に 334/羽田澄子監督とともに 336/退職して思うこと 340



補遺  閉館から三年、岩波ホールへの思い はらだたけひで 346



食は映画に通じる―ジョージア式宴会に学ぶ  347/映画上映は創造的な行為 349/映画『ピロスマニ』に導かれて 352/作家・埴谷雄高氏の思い出 354/アニエス・ヴァルダ監督のことなど 356/緞帳は劇場の大切な顔 357/ジョージア映画祭開催 358/岩波ホールの閉館、そして三年後の今 360



  あとがきにかえて はらだたけひで 363



  エキプ・ド・シネマ/封切映画一覧表〈於・岩波ホール〉 367

  エキプ・ド・シネマ特別上映作品 378
著者略歴(はらだたけひで)
(本名・原田健秀:画家・絵本作家/ジョージア映画祭主宰)

1954年2月15日、東京都小平市に生まれる。1974年から2019年までの44年間、東京・岩波ホール(2022年に閉館)で世界の名作映画の上映に携わる。2018年、2022年、2024年にジョージア映画祭を開催した。
絵本に『パシュラル先生』(産経児童出版文化賞入賞)のシリーズ、『フランチェスコ』(ユニセフ=エズラ・ジャック・キーツ国際絵本画家最優秀賞)、『たびのなかま』、『うたうものたち』、『マルメロ』、『大きな木の家』、『子どもの十字軍』など。挿画は『ダギーへの手紙』(E・キューブラー・ロス)、『十歳のきみへ』(日野原重明)、『森のお店やさん』(林原玉枝)、『報復ではなく和解を』(秋葉忠利)など。ジョージア関係の著作に『グルジア映画への旅』、『放浪の画家ニコ・ピロスマニ』、『放浪の聖画家ピロスマニ』、『ジョージア映画全史―─自由、夢、人間』などがある。
著者略歴(馬場広信)
(ばば・ひろのぶ:映画、比較文化、ディアスボラ研究[ユダヤ・アルメニア])

1964年生まれ。博士(文学)。著書に『タルコフスキー映画』(みすず書房)など。監訳書に『アンドレイ・タルコフスキイ『鏡』の本』(リブロポート)など。編纂書籍に藤本陽子著『新カナダ英語文学案内』(堤稔子、中山多恵子と共同、彩流社)。
現在福岡貴善主催 YouTube「悠人書院チャンネル」の「シネマ・ユージン・ブックス」に出演中。
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