『サンキュー またおれでいられることに――スライ・ストーン自叙伝』の詳細情報

サンキュー またおれでいられることに――スライ・ストーン自叙伝
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タイトル サンキュー またおれでいられることに――スライ・ストーン自叙伝
サブタイトル
著者 [著者区分]■スライ・ストーン [著・文・その他]
■新井崇嗣 [翻訳]
出版社 株式会社Pヴァイン レーベル ele-king books
本体価格
(予定)
3200円 シリーズ 書籍
ページ数 480p Cコード 0073
発売予定日 2025-07-30 ジャンル 一般/単行本/音楽・舞踊
ISBN 9784910511955 判型 46
内容紹介
ストーンはあまりにも高く舞い上がり、あまりにも激しく墜落したため、挫折した希望と閉ざされたユートピアの生きたメタファーとなったのだ。
――『ガーディアン』書評より

黒人音楽のルールを完全に変え、
サマー・オブ・ラヴの象徴となって
ブラック・ポリティクスをポップスに流し込み、
そして時代の頂点に立った男の、ウィットに富んだ赤裸々な回想録

 2025年6月9日、永眠したスライ・ストーン。『サンキュー またおれでいられることに――スライ・ストーン自叙伝』は、スライの波瀾に満ちた人生の “光と影” を、余すところなく綴った回想録だ。
 キャリア初期のラジオDJやレコード・プロデューサー時代から、60年代末のサンフランシスコ音楽シーンの頂点、そして70~80年代ロサンゼルスの深く重く、混沌とした日々へと物語は進む。舞台はステージであり、豪邸であり、家族や著名人たちとの交遊のなかでもある。ここに描かれるのは、欠落を抱えた人間の姿と完璧なまでの芸術性とのせめぎ合い。
 共著者には、ジョージ・クリントンやブライアン・ウィルソンの回想録にも携わった作家ベン・グリーンマンを迎え、『サンキュー またおれでいられることに――スライ・ストーン自叙伝』は、鮮烈で、ときに恐ろしく、だが最終的には深く肯定的な人生とキャリアの旅路となっている。

[本文より]
 「連れて行きたい、もっと高くに」。おれが歌うと、観客は最後の言葉を歌い返してくれた、「もっと高くに!」。全員がだ。すげえ。
 そのまま続けさせた。おれがそうした。
 「そう、『もっと高くに』。で、ピースサインを掲げるんだ。大丈夫、何も損はしないから。ただ、うん、やっぱりまだ躊躇してる人がいるみたいだね。承認が要ると思ってるんだろ、自分にとって得になるかもしれないことをするだけなのに」
 「連れて行きたい、もっと高くに」が出て行った。「もっと高くに」が返って来た。言葉の意味するものがぐんと広がった。それはいまや、たんに良い気持ちや良い薬物で自らを上げ続けろ、とは言っていなかった。それはいまや、自分を下げてしまうあらゆるものを打ち負かせ、と言っていた。それは、自らが抱える問題の乗り越え方を教えてくれる一つの指南だった。それは、一つの解決策だった。
目次
著者略歴(スライ・ストーン)
1943年、テキサス州デントンにてシルヴェスター・スチュワートとして生まれ、幼少期にカリフォルニア州ヴァレーホへと移住。ドゥーワップ歌手、ラジオDJ、レコード・プロデューサーとしての短いキャリアを経て、彼は〈スライ&ザ・ファミリー・ストーン〉を結成、その中心人物として活動する。このバンドは、黒人と白人、男性と女性、兄弟姉妹による混成グループであり、ロック、ソウル、ファンクを融合させた革新的なサウンドによって、ポップ・ミュージックの地平を大きく塗り替えた。ウッドストック・フェスティヴァルへの出演で一世を風靡し、「エヴリデイ・ピープル」「サンキュー」「ファミリー・アフェア」といった代表曲は、1960~70年代のアメリカ文化の変遷を映し出すと同時に、その時代を象徴する国民的アンセムとして今なお鳴り響いている。絶頂期から薬物依存に苦しみ、次第に表舞台から姿を消すことになるが、その音楽的影響力はむしろ増すばかりだった。気まぐれで風変わり、唯一無二の閃きを放つスライ・ストーンは、まさにアメリカが生んだ真のオリジナルである。2025年6月9日、ロサンゼルスにて永眠。
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