『地獄の反逆者 松村喬子遊廓関係作品集』の詳細情報

地獄の反逆者 松村喬子遊廓関係作品集
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タイトル 地獄の反逆者 松村喬子遊廓関係作品集
サブタイトル
著者 [著者区分]■松村喬子 [著・文・その他]
■山家悠平 [解説]
出版社 琥珀書房 レーベル こはく文庫
本体価格
(予定)
2300円 シリーズ こはく文庫
ページ数 170p Cコード 0193
発売予定日 2024-08-05 ジャンル 一般/文庫/日本文学、小説・物語
ISBN 9784910993577 判型 A5
内容紹介
名古屋中村遊廓から逃走、無産婦人活動家となった松村喬子が残した、遊廓脱出群像劇。

「私も、つい、この頃おもいついたのだけれど、実際、こうして働いていても、いくら一生懸命になっても、少しも借金が減らないで残ったものはかるたさんや、羽衣さんのように、病気位しかない、それはどうしてだろうかと云う事をハッキリみとめた事があるのよ(中略)
そして、おしまいに、悪い病気で死んで了しまうか、目がつぶれてしかたなく帰すというのですもの散々儲けておいて、そのあげく死体になってからか片輪で使い道がなくなって帰される時でも、親の方に少しでも、何かが取れる見込があれば、月々くずしで借金を入れさせたり、差押えをやったりすると云うのではありませんか、皆な考えましょう、少しは強くなって下さい」(「地獄の反逆者」本文より)

想像絶する戦前の遊廓における収奪の有り様と、そこに生きる女性たちの活き活きとした言葉と思いが、当事者によって描かれる「地獄の反逆者」。
また、作品からは公娼制度の廃止という世論が高まる1926年の遊廓を「内側」から描いた貴重な証言でもある。

戦前の娼妓自身が自らの生活について綴った文章は極めて限られている。
現在公刊され確認できる森光子の著作群(『吉原花魁日記―光明に芽ぐむ日』、『春駒日記―吉原花魁の日々』)につづく稀有な作品が、読みやすい形で、2万字に及ぶ詳細な伝記的解説を添えて初公刊。
目次
地獄の反逆者 =人生記録=
脱出―前出「地獄の反逆者」綴目をなすもの―
続地獄の反逆者
盲目鳥よ どこへ行く

解説   五枚の肖像写真から―「地獄の反逆者」   (解説者)山家悠平
著者略歴(松村喬子)
1900年、大阪西成郡に三女として生まれる。高等女学校を2年で中退。その後、大阪の難波遊廓で働きはじめる。母親の病気が悪化し、追借金が必要になり、「1年働けば半分の借金は返済できる」という紹介人の言葉にしたがって、名古屋中村遊廓の徳栄楼に鞍替えするが、結果として借金は倍増してしまう。1926年の春、同僚の娼妓が警察署に徳栄楼について告発、その際に負傷する事件が起こる。その告発がもとになり、徳栄楼は営業停止になる。同年夏、短期間、遊廓病院に入院。病床で『婦人公論』掲載の論考「公娼廃止の善後策」(片山哲)を読み感銘を受ける。同年9月、同僚3名と徳栄楼を脱走。その後、無産政党である日本労農党の指導下にあった全国婦人同盟に参加し、公娼廃止など労働運動に関わる。演説が得意であったという記録が残っている。
著者略歴(山家悠平)
1976年、東京都国立市出身。専門は女性史。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。現在、京都芸術大学、佛教大学等で非常勤講師を務める。著書に『遊廓のストライキ―女性たちの二十世紀・序説』(共和国、2015年)、『生き延びるための女性史―遊廓に響く〈声〉をたどって―』(青土社、2023年)がある。また、青波杏名義にて『楊花の歌』(集英社、2023年、第35回小説すばる新人賞受賞)を刊行。作家としても活動中。最新作に『日月潭の朱い花』(集英社、2024年)がある。
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