『人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学』の詳細情報

人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学
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タイトル 人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学
サブタイトル
著者 [著者区分]■竹ヶ原 春貴 [著・文・その他]
■佐原 宏典 [著・文・その他]
■石井 信明 [著・文・その他]
■古本 政博 [著・文・その他]
出版社 コロナ社 レーベル
本体価格
(予定)
5000円 シリーズ
ページ数 324p Cコード 3053
発売予定日 2024-06-12 ジャンル 専門/単行本/機械
ISBN 9784339046892 判型 A5
内容紹介
本書は,大学理工系初年度生,工業高等専門学校上級生,また宇宙に興味を持つ高校生の皆さんを念頭に執筆しました。70年にわたる人類の宇宙開発は,気象衛星やGPS衛星等の分野で実用化を迎える一方,月や太陽系の他の惑星の探査や太陽系生成の謎を探るプロジェクトの実施,さらには人類の宇宙居住のための検討がされています。
宇宙開発には多岐にわたる学問が関連しています。宇宙機の製造や打上げ,運用,さらに気象観測・農漁業観測などの機械,電気電子,通信,誘導,制御等の工学分野や,太陽系生成や宇宙誕生の謎を探る理学分野,打上げや軌道,地球まわりのスペースデブリに関する世界各国の取り決めに関わる法学分野,莫大な費用の大型プロジェクトに関する経済学分野,宇宙環境の人体に与える影響を評価する医学分野なども関係してきます。
本書は,宇宙工学に興味を持つ皆さんに,今(これから)何をどう勉強していけばよいのか,何が必要とされているのかを示すことができればという思いで執筆しました。衛星実用分野においても,宇宙探査分野においても,皆さんが勉強して(しようとして)いる大学教養課程や高校の数学・物理などが,どのように宇宙開発に繋がっているかをご理解いただければ幸いです。
本書1章から6章は,「宇宙航行の基礎と実例」ともいう内容で,人工衛星・宇宙探査機の打上げから予定軌道への投入までを,物理的観点から説明しています。7章は「宇宙航行のための数学・物理」として,1章から6章までの定量的基礎となる数学・物理等を単なる公式集ではなく物理現象を理解できる数学として紹介しています。
1章は万有引力下での天体に成り立つケプラーの法則の物理的意味とその証明を導いています。得られた円錐曲線から,楕円軌道を中心に軌道を定義します。2章は,実用・観測・探査の対象である恒星(太陽),地球を始めとする惑星,衛星,準惑星,小惑星(帯),彗星,エッジワース・カイパーベルト天体やオールトの雲など太陽系天体の概要を述べ,現在までの知見や将来計画について簡単に紹介しています。
3章は衛星・探査機を打ち上げるロケット推進の原理,その性能パラメータ,必要な速度増分を説明し,その後実際の打上げ手順を静止衛星を例に紹介します。4章では静止衛星など地球周回衛星の,その軌道設計から各種軌道(太陽同期軌道,回帰軌道など)について説明します。
5章では,月や惑星を目標とし,打上げからそれらの周回軌道に投入するまでの軌道遷移手順と,それぞれの軌道を表現する鍵となるパラメータを示しています。6章では,1章で二体問題として求めたケプラー運動に対し,他天体の重力の影響,さらに国際宇宙ステーションへの接近やフォーメーションフライト等のランデブー問題や軌道遷移に関するランベルト問題等を取り扱っています。
本書は,天体運動の基礎,宇宙開発の現状から展望・計画まで,少し欲張りな内容となっていますが,その基礎となる数学・物理がどのように使われているかはご理解いただけるように留意したので,ご活用いただければ幸いです。
目次
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1. 衛星・探査機の運動,軌道
1.1 ケプラーの法則
 1.1.1 ケプラーの法則とは
コラム1:天体力学の基礎を築いた人々
 1.1.2 ケプラーの法則を導く
コラム2:シリウスAとシリウスB
1.2 座標系
 1.2.1 絶対座標系と慣性座標系
 1.2.2 慣性座標系
 1.2.3 天体や軌道面を基準とした座標系
 1.2.4 機体固定座標系[XB,YB,ZB]T
 1.2.5 速度および加速度の座標変換
1.3 軌道要素
 1.3.1 軌道の大きさと形状を指定するパラメータ
 1.3.2 軌道面の向きを指定するパラメータ
 1.3.3 軌道上の位置を指定するパラメータ
章末問題
2. 太陽系の天体
2.1 太陽系の構成
2.2 太陽系天体の概要
 2.2.1 太陽と惑星間物質
コラム3:HR図
 2.2.2 地球型惑星と小惑星帯までの天体
コラム4:世界の宇宙機関
コラム5:軌道共鳴
 2.2.3 木星型惑星と天王星型惑星
コラム6:ガリレオ衛星エウロパ
 2.2.4 太陽系外縁天体
コラム7:太陽系外惑星あるいは系外惑星
3. ロケット方程式と打上げから静止軌道投入まで
3.1 ロケット方程式
 3.1.1 ロケット推進の原理
 3.1.2 ロケット方程式の導出
3.2 実際のロケット打上げ時に働く力
 3.2.1 重力損失
 3.2.2 グラビティターン
 3.2.3 空気抵抗損失
 3.2.4 コースティング
3.3 軌道への投入方式
 3.3.1 ダイレクトバーン方式とダイレクトアセント方式
 3.3.2 ホーマン軌道遷移方式
 3.3.3 軌道面変更
 3.3.4 オール電化衛星(電気推進)による静止軌道投入方式
章末問題
4. 種々の地球周回軌道
4.1 軌道設計の目的
4.2 地球の重力場のゆがみによる摂動
4.3 太陽同期軌道
4.4 回帰軌道・準回帰軌道
4.5 地球同期軌道・静止軌道
4.6 太陽同期回帰軌道・太陽同期準回帰軌道
4.7 モルニヤ軌道・ツンドラ軌道
4.8 凍結軌道
4.9 準天頂軌道
4.10 軌道の比較
章末問題
5. 月・惑星への航行
5.1 パッチドコニックス法と影響圏
5.2 スイングバイの原理
5.3 地球を出発し月または惑星に至る軌道
 5.3.1 ロケットによる打上げ軌道と地球周回パーキング軌道
 5.3.2 地球を脱出する双曲線軌道
 5.3.3 太陽周回軌道
 5.3.4 天体を周回する軌道
 5.3.5 外惑星探査などへの拡張(スイングバイの利用)
5.4 月周回軌道への移行
5.5 惑星探査ミッションの解析
5.6 火星ミッションおよび金星ミッションへの応用
コラム8:火星大接近
 5.6.1 これまでの火星探査(打上げ日の特徴)
コラム9:火星探査機「のぞみ」
 5.6.2 地球出発→火星到着軌道の相対速度
 5.6.3 火星離脱→地球帰還軌道の相対速度
 5.6.4 地球出発→金星到着軌道の相対速度
章末問題
6. より高度な軌道設計に向けて
6.1 多体質点系の運動方程式
6.2 惑星方程式
 6.2.1 ラグランジュの惑星方程式
 6.2.2 ガウスの惑星方程式
 6.2.3 惑星方程式に基づくミッション軌道の設計
 6.2.4 静止軌道の軌道保持
6.3 ランデブー問題
6.4 ランベルト問題
6.5 DVEGA
6.6 制限三体問題
6.7 ラグランジュ点まわりの擬似軌道
6.8 弾道捕獲
章末問題
7. 宇宙航行のための数学・物理
7.1 運動量と角運動量
7.2 微分,積分と微分方程式
7.3 円錐曲線
 7.3.1 円錐曲線の概要
 7.3.2 楕円のデカルト座標表示
 7.3.3 楕円の極座標表示
 7.3.4 楕円の幾何学的関係
7.4 ベクトルと座標変換
 7.4.1 ベクトルの演算
 7.4.2 極座標を使ったベクトルの微分
 7.4.3 座標変換とベクトルの回転
7.5 数値計算
 7.5.1 代数方程式の解法
 7.5.2 微分方程式の解法
 7.5.3 高階微分方程式の解法
 7.5.4 連立微分方程式の解法
 7.5.5 数値積分の求積
引用・参考文献
章末問題解答
索引
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