『現代アメリカ教員養成改革における社会正義と省察 ~教員レジデンシープログラムの展開に学ぶ ~ 』の詳細情報
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タイトル |
現代アメリカ教員養成改革における社会正義と省察 |
サブタイトル |
教員レジデンシープログラムの展開に学ぶ |
著者 [著者区分] | ■髙野 貴大 [著・文・その他] ■髙野 貴大 [著・文・その他]
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出版社 |
学文社 (GAKUBUNSHA) |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
4800円 |
シリーズ |
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ページ数 |
260p
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Cコード |
3037 |
発売予定日 |
2023-03-06 |
ジャンル |
専門/単行本/教育 |
ISBN |
9784762032233 |
判型 |
A5 |
内容紹介 |
人種・性別・貧困・障害…。多様化・多層化する、現代教育現場における課題。
さまざまな背景をもつ子どもへの理解が求められるなか、社会正義を志向する教師とはどのように養成されるのか。 多文化社会アメリカの事例からその方法をさぐる。
社会が自明と考える「正義」からこぼれ落ちる子どもたちを理解するため、 「省察」によって自身のなかの「正義」を刷新していく。 いま、アメリカでは大学や自治体、NPOなどと公立学校が連携し、 このようなマインドの教師を育てるプログラムが多数存在する。
本書ではボストン・シアトル・デンバーのプログラムについて、 学区内の人種構成、提携する組織、カリキュラム、財源、新人教員への支援などの側面から分析。 その「ガバナンス」の違いによる地域ごとの成果と課題を明らかにした上で、 連邦政策との関係も考察した。
一方で日本において、「省察」する力を育てる教師教育の実践はなぜ表層的なのか。その歴史的考察と、 このような教師教育を本格的に行うために日本の教育現場に必要なことは何なのかを、補章において論じた。
日本においても進む社会の多様化に、教師はどのように対応していくべきか。 これからの世代が生きる多文化社会の未来をうらなう一書。
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目次 |
まえがき 図表一覧 略語一覧
序 章 本研究の目的・課題・方法 第1節 問題の所在と研究目的 第2節 対象国・地域設定の理由と概要 第1項 アメリカの教員養成改革に着目する理由 / 第2項 アメリカ都市部の公立学校の課題状況 / 第3項 教員養成における「臨床経験」の奨励と都市部での新たな動向 / 第4項 「第三の領域」としての教員レジデンシープログラム(TRP) 第3節 先行研究の検討 第1項 「社会正義」と教師教育に関する研究 / 第2項 現代アメリカの教員養成改革に関する研究 / 第3項 TRPに着目した研究 第4節 本研究の課題と方法 第1項 本研究の課題 / 第2項 研究方法 第5節 本研究における鍵概念の定義 第1項 社会正義(social justice) / 第2項 省察(reflection) / 第3項 レジデンシー(residency)
第1章 教職固有の「省察」概念の展開とその論理 第1節 D.ショーンによる専門職の「省察」論の提起 第1項 D.ショーンによる「省察的実践者」論の概要 / 第2項 「省察的実践者」論の特徴 第2節 ショーン所論の教職論への影響とザイクナーとリストンによる「省察的教育実践」論 第1項 「省察」概念の教職への応用とそれへの疑義の提起 / 第2項 ザイクナーとリストンによる教師の「省察」概念の分類 / 第3項 「社会改造主義」に基づくショーンの「省察」論への疑義 / 第4項 「社会的アクター」としての「倫理的熟考」をめざす「省察」概念 / 第5項 ザイクナーとリストンによる教師の「省察」概念の必須要件 第3節 「 省察的教育実践」論における「臨床経験」と大学での学修の連関関係 第1項 共同研究のプロセス / 第2項 共同研究における基盤理論 / 第3項 教育実習の実験的研究とモデル化 第4節 小 括
第2章 1980年代以降の教員養成改革と教員レジデンシープログラム 第1節 1980~90年代の全米的教員養成改革の趨勢 第1項 教師教育の高度化・教職の専門職化を標榜する全米的改革 / 第2項 「臨床経験」重視の改革と1998年高等教育法の修正 / 第3項 代替ルートの拡充 第2節 「 社会正義」と臨床経験重視の両者を強調するTRPの登場―2000年代以降の改革 第1項 NCLB法成立以後の教員養成政策アカウンタビリティと連邦補助金整備 / 第2項 連邦補助金による「臨床経験」の奨励 / 第3項 教員養成におけるパートナーシップの推進 第3節 TRPの特徴と全米教員レジデンシーセンター 第1項 TRPの基本的特徴 / 第2項 全米教員レジデンシーセンターの創設と展開状況 / 第3項 全米教員レジデンシーセンターの役割 第4節 TRPの成果と評価の現状 第5節 小 括
第3章 自営型TRPの特徴と課題―ボストン教員レジデンシーの事例分析― 第1節 ボストン学区とBTRの概況 第1項 ボストン学区の概要 / 第2項 BTRの基本的特徴 第2節 BTRの創設経緯と理念,カリキュラム 第1項 創設の背景―教育困難校での草の根的改革,資金援助,学区の問題意識の連関 / 第2項 学区教育委員会の外部機関としての組織化 / 第3項 医療専門職養成モデルの応用 / 第4項 「理論と実践の融合」と「社会正義」 第3節 BTRの運営体制 第1項 パートナーシップの特徴 / 第2項 科目担当者と大学の位置づけ / 第3項 アフリカ系集住地域への焦点化 第4節 BTRの特徴と課題 第1項 「第三の領域」としての教員養成プログラムの勃興 / 第2項 教師教育施策におけるアクターの多様性と「社会正義」志向 / 第3項 BTRをめぐるガバナンスと「自営型」への結実 / 第4項 「理論と実践の融合」における「大学」の位置
第4章 混合型TRPの特徴と課題―シアトル教員レジデンシーの事例分析― 第1節 シアトル学区とSTRの概況 第1項 シアトル学区の概要 / 第2項 STRの基本的特徴 第2節 プログラム設計のイシューとしての教育困難校での「社会正義」の実現 第1項 学区教育委員会の問題意識 / 第2項 創設経緯と理念 第3節 ミッションの具体化としてのカリキュラムとその是非 第1項 カリキュラムの内実 / 第2項 STRの効果 / 第3項 カリキュラムの過密 第4節 STRの運営体制 第1項 パートナーシップの特徴と運営における各アクターの混合 / 第2項 給付金取得条件による課題 第5節 STRの特徴と課題 第1項 「社会正義」志向のカリキュラム / 第2項 パートナーシップにおける「混合型」の特質 / 第3項 STRのインパクトを示す指標と葛藤状況
第5章 大学基盤型TRPの特徴と課題―コロラド大学デンバー校・NxtGENプログラムの事例分析― 第1節 コロラド州および連携学区の概要とNxtGENプログラムの基本的特徴 第1項 コロラド州の概況 / 第2項 NxtGENプログラムの基本的特徴 / 第3項 デンバー学区およびデンバー周辺の都市学区の概況 第2節 コロラド大学デンバー校における教員養成プログラムの全容 第1項 教員養成プログラム全体の概要 / 第2項 州スタンダードと大学独自のスタンダード / 第3項 アセスメントツール 第3節 NxtGENプログラムのカリキュラムの特徴 第1項 学部段階のプログラム / 第2項 「社会正義」志向のプログラムとしての特徴 第4節 NxtGENプログラムの運営体制 第1項 学区教育委員会と大学での2者関係によるプログラム運営 / 第2項 臨床経験と学修の両立をめぐる課題 第5節 NxtGENプログラムの特徴と課題 第1項 豊富な臨床経験を持つ「社会正義」を掲げた学部4年間のプログラム / 第2項 大学を基盤としたパートナーシップの意義と課題
第6章 教員レジデンシーの特質―3つの事例分析から― 第1節 各事例の小括 第1項 BTRの事例 / 第2項 STRの事例 / 第3項 NxtGENプログラムの事例 第2節 プログラムの理念とカリキュラム構造 第1項 プログラムの理念としての「社会正義」志向の「省察」 / 第2項 土台―実践の往還によるカリキュラム構造 / 第3項 「学修」のプログラム間での差異と課題 第3節 プログラムの運営体制 第1項 各地域の課題に対応したアクター間の連携によるパートナーシップ / 第2項 プログラム運営のイニシアチブ 第4節 3事例の比較と教員レジデンシーの特質
終 章 現代アメリカ教員養成改革における教員レジデンシーの意義と課題 第1節 研究課題への応答 第2節 総合考察―現代アメリカ教員養成改革におけるTRPの意義と課題 第1項 プログラム理念としての「社会正義」志向の省察と教職の専門性 / 第2項 TRPの意義と課題―パートナーシップによる教員養成プログラム / 第3項 「第三の領域」としてのTRPによる「大学と教員養成」の関係性再考 第3節 本研究の成果と今後の課題 第1項 本研究の成果 / 第2項 今後の課題
補 章 日本における「社会正義」志向の「省察」の展開可能性 第1節 現代日本における教職の専門性を取り巻く課題状況 第1項 教職の専門性の存立基盤の揺らぎ / 第2項 教職の「公共的使命」と「社会正義」 第2節 教職の専門性の価値基盤としての「社会正義」 第1項 「社会正義」を教職の専門性の価値基盤へ / 第2項 複層的教育課題への対応と「社会正義」を基盤とした教職の専門性 / 第3項 教授―学習過程における「社会正義」の反映と教職の専門性 第3節 「教員育成」をめぐるガバナンスと大学の位置
資料 インタビューガイド 引用・参考文献
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著者略歴(髙野 貴大) |
(たかの たかひろ)茨城大学大学院教育学研究科(教育実践高度化専攻)助教。
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著者略歴(髙野 貴大) |
(たかの たかひろ)茨城大学大学院教育学研究科(教育実践高度化専攻)助教。
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